■向こうは就活の帰りだったし

就職活動をしようと思う。

一体何一つ手をつけていないこの状態から、果たして僕は就職なんかすることができるのだろうか、そもそも就職活動って、どういうことだ。活動というからには何か、動かなければいけない。動くだって、この居心地の良いこたつから動くだって、そんなことが!

とりあえずはリクナビ、に登録すれば超大陸パンゲアが復活するのでそこで気に入った企業にエントリーするとオリハルコンの原石が見つかるので、エントリーシートを書いて面接に行くというのが全体の大まかな流れらしい。まあ細かいことはいいとしてまずはリクナビ、しかしリクナビ、一体全体これはどこにあるのだろうか。

僕はリクナビを探す旅に出た。リュックサックにたくさんの勇気とその緩衝材に拾った髪の毛を詰め込んで僕はリクナビを探す旅に出たんだ。道のりは激しく険しい、双子山を通り過ぎたあたりでマンホールがゼリー状になってきた。もうすぐアメリカだ。アメリカに行けばきっとリクナビの事を知っている人たちがいる、なんてったってアメリカも四文字だしカタカナだもの。勇気付けられた僕の足取りは俄然リズムを速め進む進む、しかし突然、鞄の中の髪の毛がざわざと波立ち始め、鳥たちがざわめき出し、小動物が急に怯えだし、暗雲が立ち込め、故郷がダムに沈み、ジャンプが月曜日に手に入り、妹と血が繋がらなくなった。ふと地面に視線をやると、さっきのマンホールが一定のリズムで震えている。ずん、ずん、ずん。ある脅威の接近を知らせるかのように、マンホールの震えが大きくなっている。ずん、ずん、ずん。僕は引っ張られるかのように後ろを、振り向いた。

白亜紀最大最強の恐竜・ティラノサウルスだ。

鋼のような鱗、研ぎ澄まされた牙、貪欲に光る眼、全てを引き裂いてしまいそうな爪を持っていた僕は圧勝した。

2006年02月28日 20:09