大杉さんは凶暴な熊だ。
凶暴な熊である大杉さんは、近所の人たちから怖がられている。僕は鮮魚コーナーでシャケをその場食いしてしまって従業員にこっぴどく叱られている大杉さんのさびしそうな背中と、リポビタンDばりに首をねじ切られる従業員をしょっちゅう見ている。
大杉さんは凶暴な熊だ。
大杉さんの家は、小杉さんの隣にある。小杉さんは大杉さんのことを、そこまで凶暴な熊だとは思っていないらしい。というのも、小杉さんの家には獰猛な鷹がすんでいるからだ。小杉さんはよく大杉さんのことを「凶暴な熊だとは思っていない」とよく言いながら、砂利を子供にぶつけていた。砂利をぶつけることで骨を強くするらしい。
大杉さんはいつも帰ってくるのが遅い。深夜二時ぐらいに千鳥足で帰ってくる。そしてハチミツに映った自分の姿を見て、泣く。大杉さんは、凶暴でもなんでもない熊だと僕は思う。大杉さんの家にあるタンスには、おちょこがたくさんある。暇なときはおちょこを部屋にしきつめ、その上を転がることでエクスタシーを得るのだと言う。おちょこの中には一匹ずつ大きい芋虫が住んでいて、それらが育つとルータになるんだそうな。
いつかこのルータたちが、ITの未来を背負うことになるんだろうか。
2006年02月28日 20:06