このごろは思い出したように暑くなる。
今日など半袖とパンティ一丁といった体でのオリコン五位入賞を果たし、僕は寝起きにぐしゃぐしゃの髪の毛をかきむしりながらその都度落ちる毛髪一つ一つに祖母の顔を彫り、窓際に並べる。そうすると一陣のいたずらな風が祖母ヘアーたちをさらっていき、一瞬翻ったかと思うと、重力に惹かれて祖母たちは落ちていくのだ。何もいわず。何も残さず。
僕はそんな祖母たちを傍らに見ながら、鉛筆を持ってたいまつのふりをする。僕は勇者だ。このダンジョンにお姫様を助けに来た勇者だ。どんな怪物が来ようとへっちゃらだ、このたいまつと、そしてこの右手に持ったボールペン然としたカリバーで、お前らなんかインクまみれにしてやる。
そうしてダンジョンの深部にてお姫様を見つけ、抱き上げる。もう大丈夫だよお姫様、僕が来たからには無事にお父様のところへ帰らせてあげるからね。さあ怪物ども、僕を止められるものなら止めてみろ、この左手にもったたいまつと、そしてこの右手に持ったお姫様然としたカリバーで、お前らを滅多打ちにしてやる。殴るたびに返り血と悲鳴がエコーする。
さて、強い武器も手に入ったことだし、お姫様を探さないと。
2006年05月06日 19:41