■そして伝説へ

あの。

あの名ゼリフ「俺は就職をしない!」で幕を閉じたクリトレシート第一章なんですが、どうにかして金を稼がないと生活できないということに第二章で気づき、第三章でもうひとつくらいバイトしないと駄目かなあ、と思いつつ第四章でちょっと麦茶を買いに行ってただいま第五章の真っ最中。

とりあえずこういうときは街にふらっと出かければいいのだ。街には可能性があふれている、ぶらぶらと歩いているだけでも可能性に触れることが出来るかもしれない。可能性、そう可能性を大事にしないといけないのだ。賢人ぶって取捨選択するより体力のある限り可能性を貪っていく愚民の方が結果として成功することが多い。そんな僕の目の前にぶらさがる「アルパイト募集」のチラシ。なんだよその宇宙金属は。

アルパイトの使い道をエクスカリバーを造る以外にありはしないかと思索をめぐらすもいまいち思い当たらない。そんなものを募集する人間の気が知れない。なあお前もそう思うだろう。ふと気づくと横に僕と同じくチラシを眺める明らかな文無し、「お願いします! これ以上は死んでしまいます! お慈悲を!」と哀願してるようなシャツを無表情で着こなす辺り衣服にとっては悪夢のような存在だろう。

ニカッと笑うその骨董人に軽く会釈をし、僕は家路に着く。戦慄する。あれが僕の近い将来ではないだろうか。戦慄する。あながち冗談でもない未来が僕に笑いかけてきた。あるいは未来からの警鐘としてのホームレスえもんか、未来道具どころか木っ端で火を起こせそうな説得力があるぜ。まあとにかくもちょっと速度を上げないと飲み込まれて帰ってこれなくなってしまう。よし、やるぞー!

第五章・完

2006年06月03日 13:24