実を言うと前回「免許とじっちゃんの仇をとる!」といって村を飛び出したっきりずっと家でテトリスをしてたため未だに教習所なんか行ってない。
このままでいくとまた就職活動の二の舞「やるやる今度やる」の口だけコットン大法螺ひと拭き、そうして忘れたつもりの現実がたまに虚構の海から目だけ出して僕をじっとり見つめるのだ。これではいかん。いや、僕は何度もこの言葉を使っている。これではいかんという言葉をジャムにできるほど使ってきた。だが! これではいかんと言って! 本当にいかんことになった試しが無いのだ!
つまりこの時点で僕は欺瞞の沼とお友達から始めちゃってるわけだ。そんなことに今更気づくとは全く今までどこをほっつき歩いていたんだい! もうおてんと様だって床についてる時間だよ! ああ? 何だって? 珍しい鳥がいたから、おいかけてたら? 森の中に大きな木があって? あんた、まさかその木のうろに入ったんじゃないだろうね。何だって。あんた、そこを動くんじゃないよ。一歩もだ。平八! 長老様をよんどくれ! 憑き払いの婆さんもだ! 早く!
「どうです、長老。時間はそんなにたってませんが、なにぶん若いもので」
「うむ、今はまだ、しかし、潜んどる」
「え! じゃあ……」
「うむ、このままでは、いかん」
2006年08月02日 20:59