■ロイヤル粥

横顔の凄くかっこいい人。

強制収用所略して教習所に入り浸っている街一番の不良といえば僕のことでもちろん家族も漏れなく不良、兄貴は授業中に寿司を握ってアルカトラズに立たされているし親父は元ヤクザ今は足を洗って立派なヒットマンで母親は中森明菜、そんな僕が今日も凶とて教習所で自分で考えた新しい夜露死苦を机に彫っていると横に凄く横顔のかっこいい人が座った。

年の頃は僕と同じくらいだろうか、しかし身長はすらっと長く180cm着ている服はとてもじゃないけれど常人には着こなせないような奇抜なファッション、僕が来たら間違いなく「村興し」というあだ名が付きそうなその服をかっこよく着こなしている。しかし残念ながら彼ったら恥ずかしGARIYAでこっちを向いてくれないものだから横顔しか拝めない。だがその横顔も、かっこいい。

鼻はすらっと高くその下の唇は甘く引き締まっておりそれと照応するかのごとくきりりと上がった目元。どこをどう見ても非の打ち所の無い顔をしている。綺麗な異性が目の前に現れては当然見とれてしまうが、極端にかっこいい同姓が現れても同じく見とれてしまう。全貌を知りたい、かっこよさの全貌を知りたい。しかし彼は前を見据えている。おそらくそこに俺の居場所がある的なことを考えているのだろう、しかしそこには空気の読めない短髪メガネが座っているため彼は僕の横に座っているのだ。

もうきっと彼はこのまま動かないだろう。きっと僕が正面に回ってもこの横顔だけしか見えないのだ。完全な美になるべくして生まれた横顔だ。彼の神聖性は揺るがない、その横顔が揺るがない限り。その正面を知りたいと思うのは冒涜に過ぎないのだろう。やんごとなきものは、やんごとなき故にやんごとない、きっと彼はとても高貴な生まれなのだ。僕が近づくことなど許されないほど高貴な横顔、ロイヤル横顔ストレートフラッシュ、そう彼は貴族だった。前から見たら鼻が前方後円墳みたいな形してた。

2006年09月08日 13:56