■ミイラ取りミーツガール

百円貯金を始めた。

例の、入れることは出来ても出すことはかなわないという缶型の貯金箱だ。「入れることが出来るんならそのまま中で出しちゃえばいいじゃねーか!」と憤る諸兄の気持ちは痛いほどわかるが、そもそも何もかもを下半身の事象だと受け止めるそのハート、戦場には優しすぎる。

まあ軽い気持ちで始めたものだし、普段何気なく清涼飲料水やスナック菓子や乾燥麺に消費している銀色のニクい奴を少しでも貯金できれば生産的ではないだろうか。しかもこの貯金箱は中身を全て百円玉で埋めれば三万円になるという。今日びスライムでも八匹集まらなければキングスライムになれないのに百円玉で缶を満たすだけで三万円がもらえるというのは中々に太っ腹。バブルの兆しここにあり。

そんなわけで毎日一枚ずつ百円玉を投入しているのだが、これを始めてから明らかに生活水準が落ちた。財布の中から見る見るうちに金は減っていき天空は暗黒に覆われ無数のエンゲル係数が王国を埋め尽くした。一体どういうことだろう。僕の生活はたった百円に支えられていたということだろうか。百円を入れるたびにまるで身を殺がれるような痛みが脳髄を走る。しかし止められない。一種マゾヒスティックな喜びさえ感じられる。百円を貯金すればまた生活が苦しくなるのはわかっている、わかっているのに、なのにどうして!

最早生活費も底を衝くがバイトの給料は月末にならないともらえないので、いざというときのために用意しておいた虎の子貯金を崩そう。仕方ない。百円貯金のためだ。

2006年09月16日 20:30