■マップスマップス

マップス。

マップス、という漫画がある。MAPSつまりはそういう意味でのマップスなわけだ。この漫画が途方もなく面白いという話を耳にしてから、いつの日かマップスを手にして読んでみたいという欲望が生まれ、それは日に日に募っていき、とうとうあの大嵐の晩僕は出航を決意する。あの海の向こうに何が待っていようと、僕は必ずマップスを手に入れてやる! しかし行く先々の島にあるどの漫画喫茶にもマップスは置いておらず、途方に暮れた僕は生まれ故郷へと帰ることにした。

きっとマップスは、もう誰かに盗られてしまったんだ。僕は、その誰かがトレーシングペーパーを使って写したのにも関わらず「俺が描いたんだぜ!」と言い張る日までマップスをビタ一コマ読むことさえかなわないんだ!

そう思って半年、失意のどん底にいた僕は何か気が向いたのでこうなったら全巻通販すりゃいいや、ということでマップスを全巻購入。先日ようやく待望のマップスが届いた。

最終巻だけ。

金惜しさに中古と新品の二種類を、さらにAmazonとlivedoor booksの二つをちゃんぽんして注文したのが思わぬ形で仇となった。負けず嫌いのAmazonの自己アピールが祟って最終巻だけが御許に鎮座、イエス、鎮座。Amazonとかいう名前からして不安だったけど所詮ジャングル、空気を読むってことしない。どうせ「のろまなlivedoor booksめ! 俺なんて昼寝したってお前に勝てるぜ!」みたいな調子で序盤にスパートかけちゃったらうっかりゴールだろ。そんな童話から子供達が学べることなんていったら「出荷時期をよく見てから注文するか、通販するならショップを統一しろ」なんてことぐらいだ!

まあ恨み弁をいくら垂れても仕方のないもの、だけどこの目の前にある最終巻をどうしよう。当然、読んじゃったらこれから始まるであろう大冒険が台無しになってしまうから残りが届くまで封印、いやでも表紙をちらっと見るぐらいなら別にネタバレにならないかな。表紙ぐらいならね。ちょっとだけ見るだけ。包装を剥がし表紙を見る、そこには「マップス」の文字に宇宙船らしき絵と妙に露出の高い女の絵と「銀河滅亡まで、あと一日!」の文字。

やられた。近年まれに見るジャイアントお世話をこめかみに叩き込まれ脳震災に見舞われる。銀河滅亡て。一体何をどう失敗すりゃ銀河が滅亡するんだ。うっかり八兵衛でもせいぜい江戸をピンチに追い込むぐらいだからうっかり八ギガ兵衛くらいないと到底無理、ちょっと読んでみようか、いや! 駄目だ! ここで読んじゃったら台無しだぞ? せっかくの面白い漫画が、台無しになるんだぞ!? 表紙を見るだけって「伝承族の目的がついに明らかに!」えー!伝承族って何! 誰! 芸能人で言ったら誰!? 「二人は捨身で最後の戦いに挑む!」二人って誰!? チャゲと誰!? 畜生小馬鹿にしやがって、こんなので負けたりはしねえぞ! 読みたくなんかならないぞ! 読みたくなるもんか! マップスなんて読みたくねえ!

早く残りが届いてくれよ、読みたくなんかねえけど!

2006年10月14日 16:06