誕生日。
先日十月二十一日が、僕の誕生日であり同時に二十二歳の命日になった。誕生日の数だけ僕は僕を殺してきているのだろう。一番思い出に残っている誕生日は十歳の頃である。九歳の僕を(単一電池の両極を指でつまんだことによる感電死で)殺した達成感か、余りの嬉しさに近年まれに見るモラル安テンション高の状態を記録した僕は、焼肉のタレを蓋を閉めずに振る、という暴挙に出てゼウス(父)とヘラ(母)の怒りに触れ仏間へ幽閉。肉の焼ける音を客観的に聴きながら、仏壇の鐘でハッピーバースディを演奏するという十月を過ごした。
あれからもう十二年も経つのか、未だにドレッシングなどを振る際は蓋を確認してしまうことから、あの事件は僕に相当のトラウマを残していることがわかるが、それでも誕生日は楽しいものだった。誕生日の前は例外なくワクワクしていたし、前日など意味も無く走っていた。たぶん走れば時間の流れも早くなると思っていたに違いない。生憎50mを10秒という鈍足だったため、物理法則はくつがえされずに済んだのだが。
中学生も後半になると別に誕生日にそこまで情熱を抱かなくなっていったが、幼少のあの頃、一体何を楽しみに誕生日を心待ちにしていたのだろう。プレゼントか。プレゼントだろう。ケーキや肉の揚げ物といったご馳走もプレゼントの前の煩雑物に過ぎなかったように思える。一体何をもらっていたのか、少し思い出してみる。
レゴブロック(基地。宇宙船とかロボットとか持ってないのに。基地。)
バーコードバトラー(with 母親が勘違いして買ってきたデータックのカードデッキ)
テトリス(何かルーレットを回して出たブロックを手動で積んでく奴。ゲームじゃないので一列そろったら一列分だけボーダーを手動で上げる。対戦可。)
着せ替えオセロ(オセロ盤をボードを入れ替えることで他のゲームも出来るようにしたやつ。オセロ以外のゲームが将棋、囲碁、ダイアモンド、チェスといった子供心をわしづかんでそのまま握りつぶすラインナップ)
トランスフォーマー(カセットデッキに変身するやつ)
拳闘王(グローブとボクサーのキャラがチューブで繋がってて、グローブをはめてパンチするとボクサーもパンチするおもちゃ。対戦用。パンチ力がそのままキャラのパンチ力になるので、父親にどうしても勝てず最終的にグローブを直にキャラに当てて倒してたりしてた。)
ガンダムのプラモデル(アッガイ)
ガンダムのプラモデル(ズゴック)
ガンダムのプラモデル(武器セット)
そりゃ情熱も冷めるか。
2006年10月22日 14:56