■中学生

実家に帰ってきた。

あきれ返るほどの雪国なので、まっとうに雪は積もっており、またその寒さも大阪のそれに比べてかなり染みるものがある。実家に帰るのは一年ぶりなのだけれども、故郷というのは昔見たエロ動画と同じく、そのときの情緒や景色を記憶しておいてくれるものだと、帰る度に思う。

そして一度来たら、しばらくはまたどうでもよくなるという点においても故郷とエロ動画は似ているともいえよう。そう考えると故郷はエロ動画ではないか、という気がしてくる。変わっていく町並みのなかに佇む確かな正常位、僕はそれに包まれながら故郷の土を踏みそのあはんあはんという音を聞く。聞き覚えのある声。

駅から出てバスに乗る、いつも降りるバス停とは少し違う、家からは少し遠いバス停で降りて歩くこの背中に感じる息遣いは微かに震える。ローター。それもピンクの。ローターがある。ローターは震えながら変わっていく町並みに綻びをつくり、その奥に見える記憶どおりのあの日の故郷。染み付いた故郷。ぶるぶると震えるローター。そして故郷。

決して絶頂に達しない、前戯のような道を歩いていくと我が家が見えていく。ローターと、そして前戯と、確実な正常位でびしょびしょになった我が家が佇んでいる。我が家その扉を開けて僕を迎え入れる。

「ただいま」

んこ。

2006年12月30日 22:07