■チェル野ブイ美ep09

「テニスの放射能」

ホロコースト! あたし、チェル野ブイ美! 今年の春から東京都立帝政ペプシヶ丘高等学校に通うことになった、ピッチピッチの十七、八歳よ! こないだは憧れのペプ高テニス部の体験入学をさせてもらったんだけど、ひょんなことから先輩と試合することになっちゃってひょんなことから勝っちゃった! 人生ひょんよね!

「あーあーどっかのDVDに素敵な殿方でも焼かれてないかなー」
「おっはよ! ブイ美!」
「あ、人間(ひと)み、おはよー」
「どうしたの? 朝からため息なんかついてると、あのメテオ曇り空割ってぶつかっちゃうぞ?」
「ううん、何でもないの、ただなんか憧れのテニス部に入れたのに」
「あ! ブイ美、ほら、もうこんな時間! 学校遅れちゃう!」
「どうせまた東部標準時に時計合わせてるんでしょ、急がなくたって」
「違うわよ! こないだちゃんとJSTに合わせて来たんだから! ほら、急いで急いで!」
「あ、ちょっと、待ってよ人間みー! もう追い抜いてるけど!」
「あ、こら、先に行くなんて酷いぞブイ美! 今追い抜いたけど!」

「貴様ら入学早々遅刻とはいい度胸だな!」
「「す、すいませぇーん!」」
「しかも校則違反まで犯しおって」
「で、でも、ブイ美はちゃんと自転車通学の許可を!」
「そいつの許可は下りてるが、お前のレッカー車は許可降りてないぞ!」
「す、すいませぇぇん!」
「しかもチャリに牽引されてるって、どういうことだ! 普通逆だろ! その他にもミニ四駆を違法改造したり……」
「(ね、ブイ美、逃げちゃおうよ)」
「(え? ヤバいよ。体育のアゴ田坊はしつこいって有名だよ)」
「(大丈夫★ あたしにいい考えがあるの!)」
「肉抜きしたシャーシを裏から針金で補強するなど規定外のパーツを、聞いてるのか!」
「すいません先生! あたしこれで!」
「まて! まだプロローグだ、ぐわあああああ!」
「早く逃げてブイ美!」
「貴様、教師を牽引してただで済むと、ぐわああああ!」
「ごめんね人間み! 恩の重ね着するわ!」
「シャツ恩ジャケットね! 今年の春は来るわよ!」
「ぐわあああああ!」

2007年01月27日 21:15