■テニス放射能part1

『テニスの放射能』part1


「ええええー!!!」
「わ、私があの数学の溝口先生を拉致ったにっくき私立二層式高校テニス部略して「にそテニ」との試合で、シングルスワンを!?」
「ええ、そうよ」
「だっ、無理です! 私なんてまだそんな初潮も来てないのに」
「あら、そこまで無理だと、私は思わないわ」
「そうよ、ブイ美ならできるわ!」
「おだまり!」
「ひっ! 部長!」
「私は天才テニスプレイヤーだし、選手を見る目も確かだからこの子の才能が凄いってことは丸わかり、そう、不自然に手首を内側に丸めて店を出ようとする子供が万引きしたボールペンを袖の中に隠してるってことぐらい丸分かりなのよ! あなたみたいなテニスの才能というか呼吸の才能も人並みで生まれもさほどよくないからかさぶたほどの教養も持ち合わせてなく葬式にジーパンで着ちゃって「え、でもブラックジーンズですよ?」とか答えてしまう凡JEANが軽々しく私の意見に賛同しないでちゃぶだい!」
「部長! いくらなんでも、それは」
「あら、失礼」
「古すぎます! ちょうだいとちゃぶだいを掛けたダジャレ……いくらなんでも、古すぎます!」
「!!」
(なんてこと! この子ったら、目の前で友達がメガなじられてるっていうのに、私がこっそり隠した、そう、肥溜めに落とした鼻くそのようなダジャレに気づくなんて……!)
「いいの! ブイ美いいの! 悪いのは私だから……」
「人間(ひと)み……! でも、さっきのはいくらなんでもダジャレとして古すぎて」
(超人的な反射神経!!)
「う、うふふふ」
「ぶ、部長!?」
「あは、あーはっはっはっはっは!」
「部長! どうしたんですか!? どこか具合でも、前頭葉? 前頭葉かしら!」
「いいえ、ますます楽しみになってきただけ……。ブイ美さん、胸を張りなさい。あなたは、本当にダイヤの原石よ!」
「いえ、そんな……」
「話は聞かせてもらったぞ!」
「あなたは! 国語の大口先生!」
「こんな俺でも何かできるかわからんが、力にならせてもらう!」
「ちょっとまった!」
「あ! 理科の橋本先生まで!」
「へへっ、大口くん、もし敵が石灰石と塩酸を反応させてきたら、誰が水上置換法を行うんだい…?」
「先生……!」
「おっと、忘れてもらっちゃ困る!」
「ああー! 社会の谷木先生!」
「赤潮の出来る原因、知ってるぜ……?」
「さあ部長さん、我々も老いたとはいえ教師のはしくれ、そのシングルスワンに一臂の力添えをしたい!」
「先生がた……!」
「ま……テニスも教育も紙一重ってね」
「わかりました、では、今回のシングルスワンは

ブイ美さんにやってもらいます全部! いいわね!? ブイ美さん!」
「はいっ!」

2007年02月03日 23:38