■テニス放射能part2

『テニスの放射能』part2

「でも、部長、やっぱりどうして私なんですか? シングルスワンは、やはり実力で部No.1の部長がやるべきだと……」
「ブイ美さん、私は見てみたいのよ」
「ターミネーターの続編をですか?」
「違うわ。あなたの本当の力を」
「本当の力だなんて、私にはそんなもの」
「いいえ、あるわ、申し訳ないけど、私あなたのこと少し調べさせてもらったの」
「え!?」
「過去に全米であらゆるタイトルをかっさらっていった幻の日本人テニスプレイヤー……」
「……」
「その野性味あふれるプレイスタイルと、ラケットを二本同時に使う技術……そんな彼の姿から、当時のテニスプレイヤー達は彼のことをこう呼んだわ

『おサムライ何時郎』

知ってるわよね?」
「……はい」
「そして私は調べているうちにあるとんでもないことに気づいたの、彼の、何時郎選手とあなたの驚くべき共通点」
「…………」
「彼とあなた、血液型が同じなのよ!」
「!!!」
「それだけじゃないわ、利き腕も国籍も箸を使ってご飯を食べる癖も、何もかも!
……あなたを最初見たときから、何時郎選手が重なって見えたのも納得できたわ」
「私は……

私は、比べられたくなかったんです! 血液型とか利き腕が一緒ってだけで、みんな私と何時郎選手を比べてしまう、辛かったんです……! それが、とても!」
「でもブイ美さん、私は知りたいのよ」
「美味しいオムライスの作り方をですか?」
「違うわ。何時郎選手と多くの共通点を持ちながら、何時郎選手を否定するあなたが、どういう力を発揮できるのかをよ」
「そんな……」
「やってくれるわね、ブイ美さん!」
「どこまでやれるかわからないけど、私、頑張ります!」

2007年02月03日 23:39