■テニス放射能part3

『テニスの放射能』part3

「じゃあブイ美さん、早速練習を」
「でも待ってください部長、軽はずみにシングルスワンに出るって言ってしまったけど、その『にそテニ(二層式高校テニス部)』は、どんなテニスをするんですか?」
「そうね、ラフなプレイヤーが多いわ」
「というと?」
「反則スレスレの行為を平気でする連中なの。ラインをはみ出すギリギリでサーブを打つし、ギリギリ規定内のラケットをためらいもなく使用する。さらには反則スレスレのシューズをはいてきたり、一歩間違えば退場の言葉を吐きながらかろうじてルールにひっかからない打ち方をするわ」
「それって……!」
「そう、やることなすこと全て反則スレスレなの」
「いいんですかそんなの!?」
「ええ、だって反則スレスレなだけで、反則ではないもの。めちゃくちゃフェアプレーよ」
「そんなこと、許せない!」
「そういうところ、何時郎選手にそっくりね……でも大丈夫、対抗策がないわけではないわ」
「え!?」
「相手が反則スレスレの行為をしてくるなら、こっちはもうド反則で対抗するのよ!」
「毒にはより強い毒を……ですか?」
「そうよ、本番用の仕込みラケットと麻酔銃はこちらで用意しておいたわ」
「部長……! ありがとうございます! こんな私のために……!」
「ふふ、さっきも言ったでしょ、私はあなたの今後に興味があるだけ。
さ、このシューズとユニフォームは、あなたのものよ!」
「凄い、このシューズつま先からチェーンソーが出る! ユニフォームも裏に数学の公式がびっしり! いつテストが来ても大丈夫ですね!」
「そしてこの笛を……」
「これ何ですか?」
「吹くとゴリラが来て、相手をくしゃくしゃにするわ」
「すごい!」
「でも吹くところを見られると反則を取られるから、ユニフォームの脇に仕込んでおいて、脇の匂いをかぐ振りをしながら吹きなさい」
「はい! これだけ反則できれば、相手の反則スレスレの行為なんて目じゃないですね!」
「油断は禁物よ、なんたって相手は反則スレスレのことをしてくるんですからね」
「はい、部長、ありがとうございます!」
「お礼は勝ってから、ね?」
「はい! にっくき『にそテニ』を、このチェーンソーでバラバラにしてやります!」
「その意気よ! さ、次こそ練習シーンに行くわ!」
「はい!」

2007年02月03日 23:39