下着ドロ。
要するにベランダに干してあった洗濯物の中から下着だけ盗むという泥棒ランキングの中でも万引きと下位を争う程度の低い泥棒だ。ちなみに一位はうまい棒を一切砕くことなく万引き。それが彼女の家に出たらしい。というよりは、被害に遭ったらしい。
干してあった洗濯物の中からパンツ、正確に言うならパンティのみが盗まれていたということだ。知らない人間がベランダに上がりこんだという事実もさることながら、パンツのみ取られている事実に「どうしてブラは取らないの!」と、怒髪to the top.「どうせあたしの胸が小さいからだ! っていうか『お前の胸小さいよ』っていうメッセージだこれ!」と、少し風変わりな被害妄想を抱きながらいたくショックを受けている様子なので「いや、そんなことないと思うよ!」
「じゃあ何でパンツだけ取るの? 変態じゃんそんなの!」
「いや下着泥棒って一般的に変態だけど」
「あれじゃない、泥棒じゃないんじゃない? 風のしわざとか」
「どんだけ器用な風なんだ」
「だって信じられないよ、パンツだけ取るなんて!」
「パンツが凄い好きな下着泥棒なんだろ」
「そんな人いる? 知り合いにいる?」
「いたらそいつ犯人だろうけどさ、まあいるんじゃないの」
「あ、わかった! パンツなかったんだ」
「どういうこと」
「女の子が家に遊びに来たんだけどパンツがなくて『あ、そうだ、隣の家から』みたいな」
「何でノーパンで遊びに来てんだその女」
「違うって、換えのパンツがないって意味」
「いいよそんなどうでもいいリアリティ。とにかく被害届け出しなよ」
「何て言ったらいいの? 『パンツ取られたんですけど、知りませんか?』って?」
「だから知ってたら犯人だっての。まあいいじゃん、ブラだけでも残ったんだから」
「よくない! ブラとパンツは揃ってないと気持ち悪くて着れないの!」
「ああ、そうなの」
「ブラだけ残ってもどうしようもないし……いる?」
「いらない」
「小さい胸のブラだから!?」
「もうそれでいい」
「あーもう、超恥ずかしいじゃん、警察にも言えないし!」
「警察には言えよ、一応被害にあったんだから」
「だって下着盗まれましたとかだけ言うの? 言えないでしょ?」
「まあ、そうだけど」
「あーもう! いっそ放火してくれたらよかったのに」
「なんでよ」
「そしたら言えるじゃん、放火されました、あと下着盗まれましたって」
「それはもう下着ドロじゃなくて、下着テロだよ」
「……うまーい!」
ありがとう。
2007年02月10日 18:59