■容姿端麗だけど寝坊

起きれない。

最近朝に酷く弱い。全く起きれない。午前中に起きれないのだ。午後になると打って変わって起床できる。まるで僕の体が午前中を拒否しているかのように、午前中は僕をベッドへ縛り付けている。

これはもうただ朝に弱いという次元の話ではない気がしてきた。午前中における僕の眠り方といったら「二度寝」などというものを遥かに超越している、そう、午後になるまで二度でも三度でも寝続けるのだ。まるで時を刻むかのように、僕は三十分おきあるいは一時間おきに目覚めて、午前中であったら眠り午後だったら起きる、二度寝なら二度で済む話だが、これはもはや午前中に起きることさえ許されないラビリンス。そこでこの現象を迷宮寝入りと名づけた。

問題はこの迷宮寝入りだけではない。午前中に起きれないのなら、寝る時間を早めるという解決方法が一般的にはある。しかし、これさえも僕の体には付け焼刃に過ぎないのだ。たとえ前日の九時に寝たとしても、起きるのは次の日の午後。そして夜更かしして午前三時に寝たとしても、起きるのは午後、しかも午後十二時半といった生まれたての午後なのだ。「睡眠不足」などといった生ぬるい言葉ではすまされない、午前中という時間帯を徹底的なまでに破壊しつくすそのゆるぎなき力を、睡眠メギドと名づける。

迷宮寝入り、睡眠メギド、この二つの奇跡で僕は午前中はまるで死んだように眠っている。声をかけても、ゆすっても、あるいは横で母親が犯されていても目覚めることのない深い眠り、これはもう「寝る」などというレベルを遥かに凌駕した、次なるステージの事象。人間が輪廻の真理に近づくために行う、最後の瞑想とも言えるこの深い深い行為! 僕はそれにこう名づけた。

寝過ぎ、と。

2007年02月17日 16:09