■ついていいウソ

タイタンくん

タイタンくんは野球好き、中でも阪神の大ファン。たびたび夜中、精霊合宿を抜け出して球場に行っていた。しかしその巨体のせいで阪神ファンから大不評。それでもタイタンくんは足の中指一本で立ち見するなどしてなんとか不評を買わないようにしていたけれども、ある日飛ばした鼻くそで金本のホームランを弾いてしまってさあ大変! 激怒した阪神ファンから「てめえそもそも巨人のくせに阪神ファンとは良い度胸だ!」などと罵詈雑言を浴びせられ、心を縦じまに引き裂かれてしまった。

心から涙が溢れてくる。でも、まだ試合中、泣いては駄目だ。大好きな阪神の試合だ笑って観ないと駄目だ。うずくまり、涙が体から出ないように目を手で覆い、ケツにカナダ杉を刺して耐えるタイタンくん。そのうち、杉が根を張りタイタンくんはそのまま大きな一つの「山」となってしまった。

山頂に大きな杉を頂くその山を人々は「六甲山」と呼ぶようになって数十年後、大人たちが六甲山を開発してゴルフ場やスキー場を作り始めた。山は削られ木は切り倒され、とうとう山頂の杉さえも切り倒されたその瞬間! タイタンくんの我慢していた涙が根元から大噴出。天を衝くほど勢い良く吹き上がった涙は上空で冷やされ、雪となって山へ、町へ降り注ぐ。季節外れの雪、奇跡のようなその景色を見て、タイタンくんの悲しみが街を白く彩ったその日を「ホワイトデー」と呼ぶようになったとさ。

2007年03月15日 15:38