「あ、教室に忘れ物した。
ちょっと取ってくるから荷物持ってて、はいっ。
地面に置いたら殺すからね」
「え、あ、ちょと、宮村さん!
もう……いつもこうなんだから……」
* * *
「きゃ~~~~~!」
「ど、どうしたの宮村さん!?」
「むむむむむ、虫、虫が!」
「え? なに?」
「あ、あ、あたしの机、え、え、うえに、虫!」
「あ、なんだ、虫かー」
「なんだとは何よ!」
「いや、宮村さんもかわいいところあるんだなあ、って
たかが虫ぐらいでこんなに怯えるんだもの」
「だ、だ、だ、だってしょうがないでしょ! 私は昔からああいう黒くて羽があってちょこまか動くくせに体長25メートル体重500キロで口から鉄さえも溶かす硫酸を吐きながら九九の五の段を早口で叫び続け、毎週第二第三土曜日になると家族と一緒にディズニーランドに出かけてはミッキーをつかまえ触手を着ぐるみの間から入れて中身をチューチュー吸う習性を持つEXILEのガラの悪いグラサンの方よりも歌の上手い大型自動二輪の免許取得済みでおばあちゃんっ子の虫が大の苦手なんだからあ!」
「ごめん、たぶん僕もそれ苦手だわ」
2007年05月16日 01:00