知人から味噌煮込みうどんをもらったんだ。
味噌煮込みうどん、と言っても麺とスープだけ、具は自分で用意するタイプのレトルトなんだけどこれが結論から言うと美味かった。とても。
ただこれを「美味かった」の一言で済ましてしまうのは何だかおもしろくない、ので、その美味かった味噌煮込みうどんの調理過程を出来るだけ美味く無さそうに書くことにする。
* * *
先ずは麺とスープの入った袋を破る、俺はありとあらゆる包装に容赦はしない。相手のことなどお構い無しに両手でびりびりと破いてゆく、へへ……まるで破かれている音がお前の悲鳴を代弁しているようだな!
そして露になった白くシルクのようになめらかな麺と、まるで対照的なほど黒く濁ったスープ。皮肉なことに自らのスープで白く美しい麺はよごされることとなる。心なしか麺は震えてるように見えたが、自業自得だ。人間は、生まれながらにして罪を背負っていると言う。その味噌仕立てのスープが彼女の「罪」なのだろう。
豊かな風味とコクのあるスープにまみれて沈んでいく白い麺は、ウェディングドレスに身を包んだ新婦が肥溜めに落ちていく様に似ている。おめでとう! ハネムーンは俺の直腸だ!
嫌がる麺を無理やり掴み、引き裂く。一人前にしてはちょっと量が多いんだよこのメス豚が!
湯を沸かす。ポッポー
ぐらぐら煮立った湯の中にだしパックを突っ込む、ぐちゃぐちゃにかきまわす。だしパックめ、貴様の済ました顔に隠された本音を全て吐き出させてやる。全て熱湯の中に曝け出せ、全て、全てだ。熱湯がだしパックのあられもない欲望で濁ってゆく、ゴミめ! もう用はない!
麺を熱湯の中に続けてぶち込む。あまりの熱さに身もだえする麺を菜箸で押さえつけ、かき回す。くるくると麺が熱湯の中で回り、だんだんとほぐれ始め……へっ、こいつもう失神してやがる。
麺とスープだけでは当然物足りないので、ここで具材(具罪)を入れる。入れる具罪は
・鶏肉(最後まで命乞いしていた)
・なすび(父親を惨殺した犯人と同じ名前)
・(胸に七つの傷を持つ)かまぼこ
・ねぎ(童貞)
これらを同じく熱湯という名の監獄に放り込み、さらに俺は、どうしたと思う?
さらに俺は、そこに蓋をしてやった! これで誰一人マグマ煮えたぎる焦熱だし地獄から逃れることは出来ない! へ、へへへへ! 俺は悪魔の子だ! 呪われた、忌まわしいサタンの落し蓋だ! アクもだしも全部吸い込んで地獄の臓物みてえに吐き出させてやるぜ!
そして俺は地獄の釜に人間の業(カルマ)を流し込む。カルマは驚くほどの早さで馴染んでゆく。カルマ(業)と具材(罪)の美しくも醜い融合だ! お、俺は神になった! 阿鼻によって! 叫喚によって! 俺は今神になった! うひっ、うひひひひひひひぃ! いただきまーす!
美味かった。
2007年09月01日 15:37