■姉妹ing

「おねーちゃーん!」
「何よ」
「遊ぶフリしよー!」
「それなら既に始まってると言えるけど」
「あのね! こないだお姉ちゃんが言ってた話の続き聞かせてよー!」
「ごめん、人の話に勝手にしおり挟まないでくれる
 何の話だか覚えてないし」
「もー! お姉ちゃんたら!
 朝起きたら右腕がHDDVDで左腕がブルーレイになってた話だよお!」
「間違いなくアンタが出産した話だと思うんだけど」
「その二つが対消滅して第二のビッグバンが産まれた!
 ってところまでは聞いたよ!」
「もうオチてんじゃない
 ジャンプなら三回打ち切られてもお釣りが来る終わり方よ、それ」
「うー、つまーんなーいよう!
 つまんないよう!
 つまんないよう、不安材料!」
「韻踏むことで何か解決できる世の中だったら、よかったんだけどね」
「不安材料!
 普段細胞!」
「アメーバの気持ちなんか知らないわよ」
「うー!
 あ、そうだ、私、彼氏できたよ」
「ウソ」
「できたよー!」
「……はっ、
 どうせアレでしょ、また紙粘土による自作でしょ。
 やめときなさいよ、あんときニスまで塗ったせいで
 添い寝してるあんたまでテカテカに」
「違うもん! ホントに彼氏だもん!」
「え、マジで。
 嘘だったら三途の川も渡れなくなるぐらいローキックするよ」
「ホントホント」
「……どんな人?」
「うふふーひ・み・酢!」
「つ、よ、つ。
 何でミツカンラベル貼ってんのよ」
「ひ・み・J!」
「だから、つ、だってつってんでしょ
 人の与えた「つ」を勝手に90度回転させてんじゃないわよ」
「教えてほしい?」
「興味はあるね」
「うふふーどうしよっかなー! そうしよっかなー!」
「何も提案してないけど」
「じゃあねー私が彼氏紹介するからそれで許して!」
「あんたが馬鹿で助かった初めてのケースだわ」
「えーとねー彼氏はねー細マッチョでー」
「ふむ」
「髪は茶色くてー」
「ふむ」
「くりっとした目でー」
「ふむ」
「鼻が長くてー耳がぴーんとなっててー」
「ふむ」
「名前呼ぶと尻尾ふりながらよってきてー」
「もう既に随分と犬だけど」
「犬でー」
「合ってたわ」
「年上の社会人!」
「間違っては無いけど、大間違いだわ」
「ねね、うらやましい? うらやましい?」
「決してうらやましくはないけど、
 見てみたいから連れてきて」
「駄目だよ! 今妊娠中だもん!」
「メスかよ」

2007年10月15日 15:47