バイトに行く途中、変な歩き方をしている小学生を見た。
狭い小路を右にうろうろ左にうろうろ、今日の給食にバカルディでも出たかってぐらいの千鳥ワルツを踊っている。「邪魔だなあ」と思いながらよくよく観察してみると、石ころを蹴りながら歩いていた。
それを見て、遠い遠い記憶、登下校時にあるルールを定めてた小学生時代を思い出した。石を蹴りながら帰って、家に着くまでにその石が溝に落ちなかったら勝ち、みたいなことを皆していた時代があった。それこそ法律かってぐらい。やらなきゃ家裁送りかってぐらい皆やってた。僕はもうその時から社会のそういう流行とかに乗っかるのと漢字ドリルが大嫌いだったので、石蹴りはせずに、それとは違うオリジナルのルールを定めて帰っていた。
そのルールは「地面のポッチを踏んだら一点」というもの。
何を言っているかわからないと思うが、僕も今同じ気持ちだ。気が合うね僕ら。
名称はわからないが地面に直径5cmくらいの赤いポッチがあるのだ。
何のためかはわからない。
けど比較的新しい道路にあった気がするので、きっと舗装するときとかによく出てくる古代の魔物とかを封じ込める何かだろうと思う。とにかくそれを踏むと「一点」なのだ。
そのポッチにも色々種類があって、一番多いのが赤色の小さいポッチだが、時折直径8cmぐらいの大きいポッチもある。そうなるとその地面の下には渡辺二郎クラスの魔物が封印されてるはずでそれを踏む僕も命がけ、ということででかいヤツは「二点」 さらに他にも「青い」ポッチや「黄色い」ポッチもありそれらも踏むと「二点」
一緒に帰る友達は、何かを思い出したように立ち止まっては2メートルほど戻りポッチング、そして帰ってくる僕を不思議にみてたと思う。彼らから「石蹴り勝負しようぜ」と誘われたこともあるが、人に指図されるのと国民の気持ちを考えない増税が大嫌いでポッチを踏むのが大好きな僕は断ってた。
あの頃何故あんなに必死になってポッチを踏んでたかは知らない。なんとなく、踏まないと世界アウトぐらいに思ってたんだろう。そうして漠然と世界を救い続けていた僕だが、受験が忙しくなってポッチングも辞めてしまった。
目の前の小学生を見て、ふとそんな記憶が蘇った。
彼も彼のルールに従って今下校しているに違いない。漠然と世界を救っている最中なんだろう。
彼の背中は僕の背中だ。忘れていた僕の背中だった。
僕は思った。
「邪魔だなあ」と。
2007年10月18日 01:02