■thats all for today

「はいじゃあ今日の授業は俳句を作ってみましょう。
 それじゃあ、優子ちゃん! 何かできましたか?」
「は、はいっ。え、えっと……、
静けさや
  岩に染み入る
   鳥の声
 」
「はーい、上手にできましたねー!
 優子ちゃんはうまく昔の俳句を自分流にアレンジしたね!
 どこかで知ってたのかな?」
「は、はい、お父さんが言ってて」
「そっかそっか、上手だったよー。
 はいじゃあ、次は……タカシくん!」
「はい。

 あばずれめ
「タカシくんタカシくん?
 どうしたのかな、先生の聞き間違いかな? もっかい言ってくれる?」
あばずれめ
「ターカーシーくん!?
 どこでそんな言葉覚えたのかな、はっ、あははっ」
「季語は北新地です」
「タカシくん慎もう? ちょびっと慎もう?
 ほら、優子ちゃんみたいに、もっとこう昔の俳句を使うとかね」
古池や
 蛙飛び込む
「そうそうそう!」
   あばずれめ
「タカシくーん! どうしてもかな、どうしてもなのかな?
 無理を通したい年頃なのはわかるけど、どうしてもあばずれにこだわっちゃうかな?」
「あの女は、俺の心に寂しさという名の傷跡を残していった」
「そういうどうでもいい詩的さは持ち合わせてるんだね。
 ちゃんと作ろうか、ね? 国語の授業に痴情持ち込んじゃ駄目だと先生思うな、ね?」
あばずれと
「経験談もよそうか! 軽く道徳の授業に足つっこんじゃうからよそうか!」
「季語は野外で三回です」
「わかんない! 先生わっかんないなー!
 季語だけで八文字使ってるし、季節がいつかもわかんないし!」
「夏です」
「知りたくなかったなー! まあ大胆になる季節だからね男も女も!」
「あの女から俺は恋愛というものを学んだ」
「今は俳句を学ぼうか、ね?
 ほら、あ、じゃあ先生言うから続けて言ってみようか
 はい、じゃあ、最初は『古池や』」
古池め
「タカシくんタカシくん」
古池京子め
「あービンゴだったかー図らずも傷口えぐっちゃったかー。
 まさか芭蕉も自分の俳句が小学生の痴情をえぐるとは思わなかっただろうねえ」
古池京子の旦那め
「小学生に不倫はリスキーだと思うな!
 オタクの趣味馬鹿にするぐらいリスキーだと思うな!」
慰謝料を
「オッケー 教諭ストップかけるよ! 心のタオルをばんばん投げるよ
 じゃあ今日はここまで! 一応皆も行きずりの女とは割り切って付き合うようにね、っていう授業でした!」

2007年10月13日 22:42