■途中で折れた

「だからな、2コンの右押したまま穴に落ちるんだよ、そしたら、ホラ」
「かんとくーかんとくー!」
「な? 死なないだろ? スゲーだろ!?」
「かんとくー! ちょっとー!」
「んだようるせーな。人が気持ちよくロックマンしてる午後に、うるせーよ」
「今さら無敵バグとかで盛り上がらないでくださいよ」
「何、何なの、何か用かよ」
「用ですよ。急用です」
「つまんねー用事だったらお前の人生クランクアップさせるからね」
「あれですよ、ドラゴンボール」
「あー」
「実写映画化の話ですよ」
「あのエロゲね」
「エロゲじゃないですって、何をどう聞き流したらそうなるんですか」
「え、だって原作が日本人だろ」
「そうですよ、鳥山明ですよ、あの鳥山明」
「エロゲじゃん」
「だから違いますって」
「とりやまアキラ原作だろ」
「何ちょっとエロゲの脚本家っぽい名前にしてんですか。鳥山明、漢字ですよ」
「何だよ違うのかよ」
「違いますよ、あんだけ有名な作品知らないって、どんだけ世界から目を背けてたらそうなるんですか」
「えー何、どういう話だっけ」
「えーと、サイヤ人と呼ばれる戦闘民族の主人公が地球を滅ぼすために送り込まれるんですけど、何かこう、色々あって地球を守るために戦うっていう」
「んだよセカイ系かよ」
「わかんない単語出さないで下さいよ」
「セカイ系のエロゲかよ」
「エロゲにしないでくださいって、隙あらばエロゲですね監督は
 別に主人公は葛藤とかしないですし」
「そうなの」
「ええ、とにかく強いヤツと闘いたいそうです」
「キチガイじゃん」
「いや、まあ、戦闘民族なんで、まあ、そこは、地球滅ぼしにきた敵を見逃したりとかしてますし」
「えー! ファッキンクレイジーじゃん! 何だよ早く言えよそういうこと
 気に入った」
「あ、よかったです」
「で、攻略対象は誰がいるの」
「攻……略対象? ですか? えーと、まあ敵はいっぱいいますよ
 べジータとかフリーザとか……ピッコロとか」
「え、男?」
「はい」
「ホモゲーかよ…」
「ホモゲーじゃないですって! つかエロゲから離れろよアンタ!」
「女はいないの女は」
「いますよそりゃ、えーと、ブルマとか」
「JKモノかよ」
「条例から膝蹴り喰らいそうな単語出さないで下さい
 女子高生を略してJKとか、お天道さまのしたで真っ当に生きてる人間には絶対わからないですよ」
「まあ俺のは、お天道じゃなくて、汚天道だから」
「うまいこといわないでください」
「いやーだってお前、ブルマだろ? ブルマそれ自体結構もうヤバいのに名前がブルマってヤバいだろ。権化じゃん。狂ってるよそのネーミングセンス。

 気に入った」
「あ、ああ、よかったです」
「とりやまアキラ気に入った」
「鳥山明です」
「じゃーアレね、わかった。

 主人公は屈強な男達と夜な夜なくんづほぐれつしながら、たまにブルマを嗅ぐって
 そういうのでいいのね」
「ダメです」

2007年11月16日 16:43