「タカシ、どうも今日の客はノリが悪いぜ」
「馬鹿な、俺のヴォーカルも、お前のギターも、HIDEJIのドラムも、樽☆√のベースも、宗右衛門の日舞も、バッチリ決まってるじゃねえか！」
「でもよ、なんか熱くなってくれねえっていうか……
　もう俺たち、過去の人間じゃねえのか」
「馬鹿野郎！　ロックは不滅だ！　客のノリが悪いなら、良くするまでだ！
　後半はお前のギターで！　俺のヴォーカルで！　HIDEJIのドラムで！　樽☆√のベースで！　宗右衛門の日舞で！　ショムニの再放送で！　盛り上げてやろうぜ！」
「お、おう、そうだな！　一発熱い曲、キメてくれよ！」

* * *

「へーイ！　ファンの皆、ノってるかーい！」

……

「（やべえよタカシ、やっぱ俺たち……）」
「イエーイ！　ファンの皆、強いて言えば、ノってるかーい！？」

そこそこー

「親戚が家に遊びに来たときより、テンション上がってるかーい！？」

まあねー

「ガムが髪の毛にくっつくことを考えたら、まあここでライブ観てる方が、マシかーい！？」

そりゃねー

「寒かったらエアコンつけるけどー！？」

おねがーい

「（客が応えてくれた！）」
「次は俺たちにしては出来のいい曲だけど、耳の肥えた皆にとってはまあ中の上くらいの曲『自転車通学伯爵』！
　固定ファンの力だけでオリコン16位になった、アノ曲だ！」

たしかにー

「楽な姿勢で聴いてくれ！
　いくぜ！　1.2.3.4！　自転車通学伯爵の～♪　あ、前列の子がちょっと嫌な顔したから音量下げるかハイハットにはんぺん挟んでくれHIDEJI!」

* * *

「音楽のことはよくわからないけど、江角マキコのようなOLになりたいと思った」（25歳OL）
「宝生舞ちゃん超かわいい！　綺麗でかわいいとか羨ましい！」（18歳高校生）
「フリードリンクは在り難かったけど、マウンテンデューだけ有料なのは解せなかった」（43歳公務員）
「次はショムニ2でお願いします！」（24歳 フリーター）
「日舞の真髄を見た」（56歳　家元）

2007年12月01日 22:52