■働け

公園でボーっとする。

俺は公園でボーっとしていた。何もしていない。ただぼんやりと公園を眺めていた。とくに何も考えない。たまに色んな大きさのおっぱいのことが頭をよぎるが、歴史には記されない。それほど重要ではない。おっぱいは、そのときそれほど重要ではない。

子供が一人走り寄ってきた。何かを期待したニヤニヤ顔で走り寄ってきた、俺はそれをぼんやり眺めていた。子供と少し距離を置いたところで立ち止まると、構えた。両手を後ろにやり、足を踏ん張る、何か見覚えのある構えをして

「か~」
相変わらず何かを期待するニヤニヤを向けている。俺はもうそれを理解していた
「め~」
鳥たちが囀る
「は~」
犬が少しこちらを見る
「め~」
後ろで老人があくびをする
「波~!」
平和そのもの。

俺は相変わらずぼんやりしていた。子供はキョトンとしていた、彼の必殺技で倒れなかった人間は、俺が初めてだったのだろう。子供はちょっと泣きそうな顔になっていたが、そりゃそうだ、戦闘民族サイヤ人が全力でニヤニヤして放ったかめはめ波が、フリーザならともかくなんでもないフリーターに効かなかったのだ。

俺は、彼にとって最初の壁になったことだろう。そうだ、僕はフリータだ。全宇宙を恐怖に陥れるけど仕事のない魔人・フリータだ! 子供よ、若きサイヤ人の子供よ! 乗り越えろ、俺を乗り越えて、その先へ行け! そして伝説のスーパーサイヤ人になって「ママー!」「あら、あらら、ごめんなさいね、ホラ、お兄ちゃんに変なことしちゃダメでしょ!」「だって、僕の」「ほらほら、いくよ、ホラ!」

俺も帰った。
惑星フリータへ帰った。

2008年01月08日 16:08