■寝た子をおコスメ

実家に帰るとき、乗った電車での出来事。

自由席で隣に乗り合わせた女の子。見た目は女子大生って感じの、まあいわゆる普通の女の子だったのだけれどもこの子が乗ってからずっと化粧していた。ずっと、本当にずっとだ。

具体的に何をしてたかまではちゃんと見てないけど、顔に何か色々塗ってるように見えた。俺は化粧に関して全くといっていいほど知識がないのでわからないのだけど、顔に塗る化粧品なんてそんなにたくさんあるのだろうか。せいぜいファンデーション? まあその辺ぐらいだと思うんだけどその子はもうそんな次元じゃなく、とにかく化粧ってより「舗装?」ってぐらいの勢い。

とてもファンデーションだけ塗ってるとは思えない。何ならマーガリンとかジャムとかまで塗ってたかもしれない。「ママレードボーイ」の意味を大幅に勘違いした女子大生、あるいは彼氏の「もっとお前とベタベタしたい」って言葉を糖分的に捉えた結果のジャム大生ってことならあり得て妙。

でもまあ、人の塗装作業にとやかく言うのもなんだと思ってぼんやり外を眺めてたら、窓の反射でその子の動きが急に止まるのが見えた。
あれ? 死んだ?
もしくは気づいた?
「えー! アタシ、ジャム塗ってるー!?」って気づいた?
ってちょっとその子の方見てみると、寝てた。
化粧道具をそのままに、その女の子、寝てた。

もう、えー!? って。うぇー!? って。うっへぇー!? ってなった。
全部なった。

何だよ最近の子は化粧の途中で寝ちゃうの? そういう習性が激カワで泥モテなの? 確かに寝不足は肌に悪いっていうけど、そんな付け焼き寝で解決するほど人体はシンプルじゃないだろう。もしかしたらこれも寝てるんじゃなくて、何か全然別のことかもしれない。何か、こう、あるかもしれない、最後寝ることで完成する化粧! とか、あるいは心眼に塗るマスカラとか、そういうのあるかもしれない。そうだ、きっとそうだ、これ以上見てると何か色々わからなくなりそうだったから俺も寝ることにした。

一時間ぐらいして起きて、ふと女の子の方を見たら
化粧してた。

(悲鳴)
(暗転)

2008年01月11日 01:09