■CM

「こ、これは……!」
「焚き火の跡!」
「無人島だと思っていたが……まさか俺達以外にも……」
「ひ、人がいるんですかね!?」
「ああ、間違いないだろう
 足跡が森の中に続いている、行ってみよう」
「え、で、でも、友好的な人じゃなかったら……」
「火が使えるってことは、それなりに常識のある奴だろうさ
 きっと、俺達のようにあの大災害のドサクサでこの島に流れ着いたんだ」
「じゃ、じゃあもし協力できれば、僕達生き残れるかも!」
「とにかく行ってみよう」
「た、隊長! 足跡の先に缶詰の空き缶が!」
「やはり俺達と同じように遭難したんだ! しかも缶詰を持っているということは……他にも食料を持っているかもしれんぞ!」
「隊長!」
「どうした! まだ何かあるのか!?」
「全部、全部コーンの缶詰です!」
「……嫌いか」
「え?」
「コーンが嫌いか!」
「いいえ!」
「嫌いか! コーンが!」
「いいえ!」
「よし、行くぞ!」
「はい!」

***

「しかし随分と森の奥にキャンプを張っているんだな、こりゃ相当な装備を持っているに違いない……もしかしたら我々と同じく、どこかの軍所属の人間……」
「隊長!」
「どうした!」
「また空き缶が落ちてます! アクエリアスと、アクエリアスネオの空き缶です!」
「飲み物まで持っているのか! なんと! これはますます協力を仰がねば……」
「しかし隊長!」
「何だ!」
「潰されているんです!」
「何がだ!」
「空き缶です! 中身を水で洗って、上から踏んだように潰されています!」
「なんてこった……この島には……回収業者がいる!
 他には何か落ちてなかったか!」
「他にはこんな袋が……!」
「これは……資源プラスチック! 資源プラスチックとビン・カンが同じ回収日……バカな……いやまさか……」
「隊長!?」
「田井中、俺の予想が正しければ……この島は……国分寺市だ!」
「隊長!」
「そして今日は金曜日だ!」
「隊長!」
「この島の全貌が明らかになってきたな、行くぞ!」
「はい!」

***

「糸ようじ、ムースワックス、割り箸、半額シール……」
「あ、また落ちてました」
「ZINRO……」
「わっ! へ、蛇!?」
「違う、良く見ろ。DSliteだ」
「な、なあんだ……ヒァッ!」
「どうした!」
「何かが足に絡み付いて……だ、大蛇!?」
「違う、ビニールテープだ。ん? テープが地面に続いてる……?」
「どうしました?」
「このテープを引っ張ってみろ」
「え、こんなところで童話『おおきいかぶ』ごっこですか!? 俺ウルトラマンゾフィー役でいいですか!?」
「バカ! いいから引っ張れ!」

ずぼっ!

「これは……! 月刊『ねじの世界』が大量に結えられて地中に埋められてたのか!」
「バカな……信じられん! なんてこった、クソッタレめ!」
「隊長! あっちの方から煙が!」
「とうとう見つけたか、行くぞ!」

***

「崖……」
「ここで着ている服を燃やして、のろしを上げてたんですね。
 でも助けが来なくて、悲観して……」
「バカ野郎……バカ野郎」
「徒労に終わっちゃいましたね……」
「ちくしょう! どうして! どうしてなんだよ!」
「隊長、気持ちはわかりますが、帰りましょう!」
「ちくしょう! バカ野郎!」
「隊長!」
「雑誌の回収日は水曜日だろうがバカ野郎!」
「隊長! もう、もうやめましょう隊長!」
「うっ……うっ……ぐすっ、くそ、こんなもの! こんなもの!」
「やめてください! せっかくの月刊ねじを、そんなビリビリにやぶいたら、やぶいちゃったら……ハッ! 細かくやぶれた雑誌は……可燃ごみ! 可燃ごみなら金曜日に出しても……違反じゃない!
隊長はわざと……?」
「協力すればこういう風に助け合うこともできたんだ……それなのに……それなのに……バカ野郎ー!」
「隊長……!」
(でも隊長……彼の残していった衣服は……木曜の回収なんやで……人はホンマ、悲しい生き物やで……)

2009年08月14日 21:39


ワハハッ。
国分寺市島は火が焚ける奴が「それなり」に常識のある奴
。焚き火したあと、服を燃やす(笑)

投稿者 自称カリブ : 2009年08月15日 06:38