コミケ。
年に二度あるオタクによるオタクのための大祭典コミッケマーケット略してコミケに行ってきた。
国際展示場前駅に降りる、駅のホームからして既にどこかにマザーオタクがいるとしか思えない沸きっぷり。さらにホームから改札に上がるエスカレーターの壁面には人気アニメのポスター、柱には新発売ゲームのキャラがウェルカム、改札に切符を入れれば「入れちゃらめぇ!」の嬌声が上がり、万が一Suicaの残額が足りなければ「もう! お兄ちゃんたら間抜けなんだから!」と、ツインテールの石破茂防衛丁長官がホログラムで赤面しながら説教してくる。ウソ。後半特に。
そして見えてくるビッグサイト。さらに増える人だかり。異常な熱気に包まれたコミケはすごーく楽しい! はずのもの。
あー。
結論から言うと楽しめなかった。正直。
コミケが楽しくないわけでは決してない。なんというか、こちらはそういうジャンルにまるで興味の無い人を含めた複数人で行ったわけなんだけど、その心意気がまず間違ってた。コミケは与えられるイベントではなく、与えるイベントということ、その意識が決定的に欠如していた。
コミケは誰かが何かをしてくれるわけじゃない。自分の表現物を皆に見てもらいたい! っていう目的と、心躍らせる表現物を手に入れたい! っていう目的が何十万と集まって固まってできたイベントであって、そこではげっ歯類がエレクトリカルなパレードを見せてくれるわけでもなければビッグサンダーでもなく、ましてやマウンテンなどもっての外なのである。
それを「まあ何か人いっぱいいるみたいだし、有名なイベントだし、行ったら何かオモシロそうじゃね?」ぐらいの気持ちで行くと完%路頭に迷う。というか迷った。
とりあえずコスプレでも見れば何かあるだろうと思って少し離れたところに用意されているコスプレ会場に行く。三角コーンとポールで構成された入場通路に既にゆるく列が出来ているあたりでやや戦慄はしてたんだけれども会場について愕然。そこは三次元と二次元が入り乱れるアナザーディメンション。
しかし当然だ。そういうことなんだ。「コスプレしてる人がばーって並んでて、それをチラチラ見ながら歩けるのかな」などとインスリンがボイコットするほどに甘い意識。完全に見誤っていた。
そこは目的と目的が濁然と混ざり合い、アニメキャラと一般人が互いの目的に交錯する異世界。セーラームーンもキューティーハニーもユフィもティファもクラウドも博麗霊夢も霧雨魔理沙もいる超銀河。
もっとこう、コスプレイヤーと撮影者は柵で一定距離隔離されて不可侵条約を結んでいるのかと思っていたが全くそんなことはない、民間人に混じってコスプレイヤーも移動しているし、あちらでは銀魂の登場人物が、そちらではD-graymanのキャラが、こちらではピッコロ大魔王がナルトにぶつかって「すいません……」と呟くジャンプ奇跡のコラボレーションが行われており、俺は前を歩くべジータの引いてたキャリーラック結構蹴っちゃってマジごめんね。
しかしそんなことだから参加者同士の自治が非常に厳しく行われている。カメラを向けて縦横無尽に撮影しようものならスタッフでもなんでもない人から「ちゃんとレイヤーの人に許可取りましょう」と咎められる。混沌とした会場だからこそそうやって秩序を紡いでいかないとイベント自体が破綻しかねないことを参加者は熟知している。
なのであまり写真は撮ってないんだけど、流行のキャラが跳梁跋扈している中「ワシゃこれで十五年やってますねん」感のあるナディアを見つけたので許可とって一枚撮らせてもらった。
他にも、ヘルメット小さくてうまく着けれないのを碇ゲンドウに手伝ってもらってる仮面ライダーや、ポーズを決める鋼の錬金術師エドワード・エルリックに反射板を持つアルフォンス・エルリックそしてそれをローアングルから撮影する両津勘吉と覇王丸など、面白い画はいっぱいあったのだけど、意識がまるで撮影する方に向いてなかったので見逃したのが悔やまれる。
そしてどうもコスプレ会場は二つあることを知り、今までいたのは「第二」コスプレ会場だと聞かされ「あれで……第二……だと……? バカな……!」なんて少年漫画っぽい展開を見せながらもここらで我らコミケ行軍内の温度差が決定的なものに。
自分含めアニメ漫画がかなり好きな人間はまだハツラツとしてるんだけど、そういうのに興味ない人間の表情がこのまま即身仏になるのを待つ者のそれになっていたので、もうとりあえず勘弁してください派と、まあもうちょっと見る派に別れて別行動。
俺は後者に混じって同人誌ブースやら企業ブースを見て回る。そこで「アカギ(参考画像)」と「市川(参考画像)」のBL本を見つけたので何故か買う。三百円で「安い!」って無意識に思った俺の相場感覚が全く理解できない。アカギBL本の相場を胎教の一環で仕込まれてたりしたんだろうか。
そして企業ブース。ここでも自治。壮絶な自治。新作ゲームのプロモーションとして声優を交えてのトークイベントみたいなのを遠巻きに立ち止まって見るのも許されない。もちろん全員がそんなことをしては人の流れが澱み、イベントが滞ってしまうからなのだけれども、なんというかその「俺達がイベントを作るんだ!」という意識に感服ただ感服。
そして大して得るものもなく帰路。なんというか「もっと楽しめるはずのイベント」なのだと痛感した。知識はあるからコスプレの元ネタの八割はわかるし、同人誌のノリも好きだからブースも見ていて楽しい。だが余りにも目的意識が希薄すぎた。参加する気が皆無すぎた。
事前に目的を立てて、そして入念に準備を進め、当日は目的に向かって一心不乱に進行する、これはそこまで積極的にのめりこんで行かなければ楽しめないイベントなのだと理解した。俺はまだコミケを楽しめる。方向性とやり方さえ間違わなければもっとコミケと仲良くなれる。
初めてのコミケは惨憺たる結果に終わってしまったけど、大丈夫、俺達はまだ始まったばかりだから。きっとやり直せる。そうさ今年は忘れよう、来年、来年こそは!
そうやって家に帰ってカバン見たらアカギのBL本入ってた。何? テロ?
2009年08月15日 22:33
クリトレシートを本にして売ってくればよかったのに。
投稿者 Anonymous : 2009年08月15日 23:02
来年まで待たなくても今年の年末もありますよ。
投稿者 Anonymous : 2009年08月16日 11:45
あ、ナディアか!!この人。
ある意味すごい勉強になったわ(笑
うちの義姉が詳しいよ。
私も義姉に少し前誘われた。「綾波レイになる!」って言っといた。
投稿者 kokoro : 2009年08月16日 20:24