「あ、藤崎さんだ。オーイ、藤崎さーん」
「あら、ウィルソンくんじゃない」
「伊藤です。
今日はもう授業終わりなんですか? 藤崎さん」
「そう。
であれば、私と一緒に帰ろうという観念が見え見えよ」
「観念」
「私と並行移動したいという観念が、私の洞察力によって丸裸だわ。
シャツぐらい着せなさい」
「あ、えーと」
「無論、構わないわ」
「あ、うん、帰りましょう」
「ウィルソンくん」
「はい?」
「漫画という文化をご存知かしら」
「あ、うん、好きですよ、漫画」
「私もね、昨今、漫画文化に親しんでいるの」
「へぇ、何読んでるんですか?」
「一つ、群を抜いて面白いものがあったけれど、題名を失念してしまったわ」
「え、面白かったのに忘れちゃうなんて」
「いいえ。これが世に言うド失念というやつね」
「ド忘れですか」
「もう、名前が出掛かって、あのあたりまで来ているのだけれど」
「何がですか」
「このあたりまで迎えに来ているのだけど」
「誰がですか」
「思い出したわ。
『オモシロ接吻』よ」
「……。
『イタズラなKiss』ですか、もしかして」
「そう、それ、その『奇抜唇接着沙汰』
面白かったわ。特にどこが、ということはないのだけど」
「僕は『イタズラなKiss』読んだこと無いですねー少女漫画はあんまり……」
「あら、男根漫画ばかりなの?」
「あんまりそういうジャンル聞いたこと無いです」
「週刊男根ジャンプに連載されているような漫画たちのことね」
「その袋とじから陰毛がハミ出てる感じ、勘弁してください」
「私もいくつか読んだわ」
「あ、何が面白かったですか?」
「そうね。まず『シェンロンスタンプラリー』と」
「『ドラゴンボール』と」
「『こちら葛飾区亀有5丁目34−1』と」
「『こち亀』と」
「『ジョジョのるるぶ逆さ読み』は読んでてワクワクしたわ」
「あ、『ジョジョの奇妙な冒険』僕も読みましたよ! 第何部が好きですか?」
「この私は、第二部が好きよ」
「へぇ~意外だなあ」
「ジョジョセフ・ジョジョースターのような男性は、いいわね」
「ジョジョジョジョになってますが」
「あのような男性は、たまらんのだわ」
「へぇ~僕は三部が好きだな~。承太郎カッコイイから」
「そうね。空条状 承太郎状も、たまらんものがあるわね」
「良く似た何かになってますよ」
「でも私は、ジョジョセフのあの飄々とした感じが好きよ。
『クソ歌謡』の主人公もやや近い雰囲気があったわね」
「『ろくでなしブルース』は読んだことないなー]」
「最近の、あの『RA-MEN NI UITERU GURUGURU MOYOU NO TOKUTYOUTEKI NA NERIMONO』は、どうも人物像に寄せ集め感があって良くないわね」
「確かに『NARUTO』は昔のほうが面白かった気がしますね
藤崎さんはジャンプ漫画が好きなんですか?」
「いいえ、他誌のものにもいくらか目を通したわ。
そうね。せっかくだからスポ男根もので言うなら」
「また陰毛が」
「私、野球はわからないのだけど、『人を呼びますよ!』は面白かったわ」
「『タッチ』かぁ~最初の展開が凄いですよね」
「そうね。一卵性の片割れが死亡する場面は『お客様困ります!』の名場面の一つだわ。
同じスポ男根ものだけど『部内最高権力者翼』はいまいち馴染まなかったわね」
「『キャプテン翼』は、絵柄で好み別れちゃうかもしれないですね確かに」
「やはり『エッチ!』には及ばないわ」
「『タッチ』好きなんですね
結構昔の漫画多いですね。最近の漫画は読まないんですか?」
「読まないという事態にはなっていないわ」
「あ、そうなんですか、何読むんですか?」
「『チェーザレ』」
「あれっ」
「なに?」
「いや。」
「そう。」
2009年08月21日 22:21
×郡を抜いて
○群を抜いて
よくもまぁここまでアイデアが出てくるものですね。
『奇抜唇接着沙汰』が気に入りました。
投稿者 Anonymous : 2009年08月22日 08:08
キリンさんが好きです。
でも週間男根チャンピオンはもっと好きです。
投稿者 少々承太郎(ショジョ) : 2009年08月22日 09:45