■イニシエーション・ラブ/乾くるみ

イニシエーション・ラブ (文春文庫)


作中に出てくるあの女がホントムカつく、ホント、落ち着けよ、と言われても中々無理なぐらいじたばたしちゃう読後感。マジでムカつく無理もうあの女の右鼻に生クリーム、左鼻にヨーグルト詰めてこれからのうんこ全部サワークリームにしてやりたい。本作に仕掛けられたトリックに微塵も気づけなかった悔しさも多少あるかもしれないけれど、このムカつきはそれを遥かに凌駕するし、つまりそうなっているということは、まさに作者の仕掛けたトリックが一つのミスもなく成功しているということなのだ。たった一行、いやわずか一語にして世界を転覆させる「どんでん返し」しかもそれをあろうことか恋愛小説で! しかもあんな形でやってのけるとは! 絶対この作者性格悪い。でもめちゃくちゃ仲良くなれそう。

2011年07月15日 12:02