« 2006年06月 | 2006年08月 »

■反復横蕎麦

大学生。

そういえばまだ僕ってば大学生だった、という現実を丸文字で綴った手紙があの曇り空から破竹の勢いで僕の海馬を刺激する季節、そうテスト期間。

せめてレポートやテストをそれなりにこなせば単位は最低でももらえるはず、あと大志を抱けとはよく言ったもので、この時期になるとあらゆる授業での出席数が激増。みんな単位はほしくて堪らないのだ。僕も例外ではなくこの時期ばかりはちゃんと授業に出る。

ただ問題なのは、一度も出たことがなくさらに小規模少人数の授業、こんな場合における僕の浮き具合といったら氷山とがっぷり組んでも間違いないもので周囲からの「あいつ誰だ」「あんな人いたっけ」といった意味合いの視線浴に天まで浸かり窒息寸前。こんな状況で殺人事件でも起ころうものなら全員が僕を「おまえだー!」と指差し、そのときに発せられる意志パルスのようなもので僕の体は粉々に砕け散ることは想像に難くない。しかし被害者はそんなこと望んじゃいなかったろう、僕が死んだところで、被害者は戻ってきやしないのだ。殺人が殺人を呼び、悲しみが悲しみを呼ぶ、そんなことは避けなきゃいけない。避けなきゃいけないんだ。避けたいんだ。避けた。

2006年07月18日 17:52


■三点倒立の神様

虫。

ゴキブリがよく出る。夏の風物詩といえばカリブの海賊とゴキブリなわけでそのうち一方が我が家で毎日開催されていることの贅沢さは身に余るほど理解しており夜な夜な「分不相応! 分不相応!」と言いながらエレクトリカルにパレードするゴキブリに鉄槌を下している。

しかしそんなことで別に不快に思ったり不便に感じたりすることはない。むしろいまや彼らは僕の家の住人として完全に居心地を確保しているのだ。彼らは台所と水回り、僕はベッドとパソコン回り。完璧なまでのルームシェアリングにいよいよアーバンプレジデントだななんて思いつつ、ゴキブリとの同棲生活を楽しんでいるのだけども最近、去年から置きっぱなしのゴキブリホイホイにやたらゴキブリが捕まる。

自慢じゃないがコンロ回りの掃除なんてものは日本が沈没するとき一緒に水洗いすりゃあいいもので、物心ついたときからほったらかし。そのためあの辺は油、食物片が散乱し放題とまさにゴキブリにとってはまさにプロミスランド、弥勒のマメさがコンロにまで及んだ結果である。しかし。しかしだ。にもかかわらずゴキブリホイホイに引っかかるとはどういうことだろうか。食物は足りているはず、ゴキブリホイホイの放つ誘引香などより数倍グラマーな匂いを三角コーナーが放っているはず。触角も持たない僕がそういうんだから間違いない。

とはいえゴキブリに謙虚さを求めた僕にも責任はあるのかもしれない。いまさら「少しは遠慮しろ」などとは口が裂けても言えまい。「コンロの回りにある食物カスで充分だろ」そんなことを言う権利もないのだ。女に貢ぎ続ける男の気持ちがなんとなくわかった気がする、それが習慣となった今、習慣の破棄は恐怖なのだ。今後もこの住み分けを続けるつもりなら僕のやることは一つ、さらに食物を与えることしかできない、ため息をつきながらスーパーで買ってきたダンゴをたっぷり撒く。これならきっと満足する、なんせ一度で二度効くらしいから。

2006年07月16日 21:56


■ブギ甲子園ウギ

ディベート。

授業でディベートなんてことをする羽目になった。論題は「日本は死刑制度を廃止すべし」いったい何のためにこんなことをやらなければいけないのかと教授を問い詰め縛り上げ体中にhtmlを書いて夜中の墓地に放り出し平家の怨霊の反応を楽しんでやろうかとさえ思ったが、これを機にWeb武者が台頭されても責任の持てないところであるので仕方なく右手の甲に「我慢」と綴り、文字が消えるまで巻き藁をぶった。

しかしなんだ、ディベートというものはある論題について「否定側」「肯定側」に分かれその論題の是非を討論する、というものであることは知っていたがまさかそれが形式と制限時間と勝敗に彩られたスポーツになっていようとは思索の外だった。世の中にはディベート甲子園などという大会もあるらしい。負けたら消しカスでも持って帰るんだろう。

で、まあ参考に、ということで教授が持ってきたのは、そのディベート甲子園を様子を初めてカメラに収めた貴重な映像。中学生たちが二手に分かれて「サマータイム制度」について論じているのだけれどもその空気がまったく異様。制限時間内に立論と証拠資料の引用を済ませなければいけないということで脳のアクセルは踏みっぱなし、さらに緊張というドーピングも加わって噛むわ裏返るわメガネはズレるわ。というか出場者が漏れなくメガネという環境がまるでコスモ、メガネの中学生というより原初にメガネがあって、そこから中学生が発生したと考えた方が合点がいくほどのメガネ。神の作りしメガネ。メガネとイブ。

とりあえず「必死なメガネの中学生はおもしろい」ということがわかったので当日はメガネをかけ「死刑」と書いた右手で巻き藁をぶっていよう。

2006年07月11日 17:43


« 2006年06月 | 2006年08月 »