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■漫才「重い」

「はいどーもー。うんこプリッツでーす」
「よろしくお願いします」
「はーい、よろしくお願いしまーす。いやー頑張っていきましょうねえ」
「うん、頑張っていこう
 これが、最後かもしれんから」
「いや初っ端から重いな。
 最後じゃないですよー、次もありますから、ね」
「わからないだろ、最後じゃないなんて」
「いや、だから」
「この漫才終わったあと、死ぬかもしれないじゃないか!」
「まてまてまて、お客さん引くからそんなこといったら
 死ぬわけないだろそんなすぐに」
「わからないだろそんなこと!
 今日の帰り道に、道路に飛び出したメンチカツかばってダンプに轢かれるかもしれないじゃないか!」
「どんな死に方だよお前
 かばって死ぬ相手ぐらい選べよ」
「じゃあお前はメンチカツを見殺しにしろっていうのかよ!」
「しろって言うよ、全力で言うよ
 大体あいつら死んでっからね?
 死んだ上にこねこねされて油で揚げられてっからね?」
「要するに一分一秒を大事に生きていこうって、そう言いたいんだよ!」
「重いんだってその心構えが」
「いいか、俺が今から全力でボケるからな
 だから、お前も全力でつっこめよ、いいな」
「まあ、うん」
「いやあ衣替えの季節ですね……僕も寒くなってきたから冬服出しましたよ……でも全部……
 半袖です! けど! ね!」
「つっこみにくいわアホ
 テンション上げるボケじゃねえだろそんなの」
「……さない」
「え?」
「何故、全力を尽くさない!」
「はあ?」
「そんな軽いツッコミじゃない! もっと全力で来いよ!」
「だからそれうっとうしいって」
「殺すつもりでつっこめよ!」
「どんなツッコミだよそれ」
「俺はいつ殺されてもいい覚悟でここにいるんだよ!」
「いや、だから」
「遺書も書いてから来てるんだ!」
「なんでー!?
 お前いつも遺書書いてから漫才してんのかよ」
「そうだよ、だから遺書ももうジャンプぐらいの厚さになっている!」
「一枚でいいだろそんなの、何で何枚も書いてんだよ」
「週刊少年遺書だ!」
「誰が読むかアホ
 だから死なねえって言ってんだろ」
「言い切れないだろそんなこと!
帰り道に、チキンカツの身代わりに銃で撃たれて死ぬかもしれないだろ!」
「何でさっきから揚げ物ばっか助けようとしてんだよお前は」
「俺は真剣なんだよ! この漫才に真剣なんだ!」
「いや俺も真剣だけど」
「結婚を前提に漫才してるんだよ俺は!」
「えー!?
 お断りしますけどー!?」
「わかった、じゃあこう考えよう
 俺が人質に取られてて、漫才が受けなかったら俺が死ぬ
 こう思えば真剣になれるだろ」
「いや意味がわからねえから」
「よし、やってみよう!」
「やんのかよ」

「はいどーもー うんこプリッツでーす」
「んー! ん、んー!」
「いやーめっきり寒くなってきましたねー」
「んんー! んー!」
「衣替えとかしてますー?」
「んー! ぷはっ、助けてっ、たすっ、助け、んー!」
「いやー冬服とかもう出しましたー?」
「んー! ぷはっ、だっ、出します! 冬服でも何でも出しますっ! だから命だけはー!」
「やっぱやりにくいわ、いい加減にしろ」

2007年09月30日 01:36


■エフェクトの果て

ママただいまー
あれ、いないのかな、ママー?
おや?
机の上に書置きがあるぞ、どれどれ

「ゆうさくへ
 ママはちょっとアレをナニしてきます
 戸棚の中におやつがあるから
 レンジでチンして食べなさい」

なんだママ出かけてるのか
戸棚の中におやつだって、何かなー

はりはり漬けじゃないか!
こんな食感を楽しむタイプの漬物なんか
たとえ今が大正時代でもおやつとは言い難いよ!

でも一応チンしてみようかな
湧き上がる好奇心を抑えられない年頃のせいにして
漬物をレンジに入れる子供に、今だけなるよ

チン!

あ!
チンしたら漬物に文字が浮かび上がってきたぞ?
なになに

「ゆうさくへ
 好奇心に負けて漬物をチンするなんて!
 もしそんなことがよそ様にバレたら
 精神鑑定の結果を持ち出しても言い訳できるかどうかわからないわ

 そんなことより、本当のおやつが
 戸棚の裏にある、裏戸棚に入ってます
 バーナーで焼き色をつけて召し上がれ」

ママったらおてんばだなあ!
おてんばって言葉でカバーできる年齢を2ダースぐらい上回ってるくせに!
裏戸棚なんて、そんなものうちにあったんだ。
どれどれ、あ、本当にあるぞ
裏戸棚が本当にあるぞ
そしておやつらしきものの存在も確認できるぞ、どれどれ

眠眠打破じゃないか!

何で世間が一番油断する時間帯にこんなガチで覚醒しないといけないんだよ!
ママには僕が土方か何かに見えるっていうの!?
こんな残業のお供なんかに、おやつとしての権利を認めるわけにはいかないよ

でもバーナーであぶってみようかな
僕ぐらいの年齢ならカエルのケツに爆竹つっこむのも、眠眠打破あぶるのも
「冒険」の一言で済まされるだろうしね
ルフィが聞いたら麦わら全部ほどけちゃうぐらいビックリするだろうけど
これが僕の「大冒険」なんだから

ごぉー
ぶぉー

あ、何か文字が浮かび上がってきたぞ?

「ゆうさくのハゲ
 この文章を読んでるということは、眠眠打破をバーナーであぶったのね
 漬物チンに続いて眠眠バーナーまでやらかすなんて
 もうママ辞苑をもってしても、貴方を形容する言葉が見つからないわ

 でも本当の地獄はここからよ、ゆうさく。ハゲの。
 この文章を逆さにすると、地図が見えるはず
 その地図の先に、あなたの求めるおやつがあるわ
 あと一息よ、がんばるのよゆうさく。ハーゲ。」

いよいよ血縁を超えた怒りが湧き上がってきたぞ
でもしょうがない、ここで投げ出したら
それとなく晩のおかずが減りそうだし、最後まで付き合おう。

なになに、えーと、地図だって

これによると随分遠そうだなあ
遠そうだけど
それより居間の真ん中に置かれてる馬鹿でかい箱が気になるなあ
リビング、って言葉の意味さえぶれさせる存在感だけど

一応地図にそって歩いたりしないとダメなのかな
この箱が全然関係ないという可能性もあるし

よし、一応地図どおりに歩いてみよう!

* * *

やっぱり箱に辿り着いちゃうじゃないか。ママの馬鹿。ズベタ。
箱の中には今度こそおやつが入ってるんだろうな
もしおやつじゃなかったらこの家に火をつけて舞鶴に飛ぶよ
日本海の荒波は、きっと僕のすさんだ心も洗い流してくれるはずだから

ぱかっ

「ゆうさく! よくここまで辿り着いたわね!」
「ママ! 何してるのこんなところで!」
「ゆうさくがママのところまで辿り着けるかどうか、試したのよ!」
「すごい! 気象衛星からでも観測できるぐらい大きなお世話だね!」
「じゃ、ご褒美のおやつをあげるわ!」
「わあいおやつ!」
「はい! はりはり漬け!」

ごおー

「あ、熱っ、いやだわゆうちゃん、熱いわよバーナーは流石に熱いわ」

ぶおー

「もうゆうちゃんたら、甘えんぼさ、熱っ、あっつい」

2007年09月27日 14:57


■心配性な生徒

「えーと、君がタカシくんかな?
 今日から君の家庭教師をすることになった山口だよ。よろしくねタカシくん」
「よ、よろしくお願いします……」
「それじゃあ、早速だけど、勉強していこうか!」
「あ、あの」
「ん? どうかしたのかいタカシくん?」
「いえ、な、なんでもないんです
 (ダメだ初対面なのにこんなこと聞いたら絶対変な子だと思われる
 でもどうしたらいいんだ、どうしても気になることがあるんだ僕には!)」
「タカシくん、全部聞こえてるけど」
「し、しまった! 僕ともあろうものが!」
「そういうリアクションとる人初めて見たよ先生
 何か気になることがあるのかい?」
「あ、はい……」
「何でも言ってごらん」
「あの、先生、先生は、本当に納得して僕の家庭教師をやっているの?」
「え?」
「無理してるんじゃないんですか? 本当はやりたくないのに……」
「あ、あははは、何を言ってるんだよタカシくん」
「そうだきっとそうだ、きっと家庭教師をしなければいけない理由があるんだ!
 はっ……! まさか、人質……?」
「タカシくん?」
「そうだ人質だ! 人質に決まってる! 僕の母さんに脅されているんだ!
 きっと母さんに大事なポテトとコーラとベーコンレタスバーガーを人質に取られてるんだ!」
「タカシくん、大丈夫だから
 先生バリューセット人質に取られたぐらいで言うこと聞いたりしないから」
「でなければ僕みたいな虫野郎に勉強を教えたりなんてしない!
 僕は虫野郎、ゴミ以下の虫野郎!」
「タカシくん!」
「あ、せ、先生!」
「大丈夫だから、そんなに心配しなくても大丈夫だから」
「先生……!
 でも虫野郎はいくらなんでも言い過ぎじゃないですか!」
「タカシくん、それ僕言ってないから
 君が自給自足した悪口だから」
「一寸の虫にもボブの魂ですよ!」
「五分な五分
 ボブってどこの黒人なんだよ
 あと失礼だよボブにも
 
 タカシくん、心配しなくても大丈夫だから、ね?」
「先生……!」
「じゃ、数学やろっか。
 教科書開いてタカシくん」
「はい、でも、この教科書は僕に開かれることに納得してますか?」
「してる、してるよ大丈夫だよ」
「本当に? 本当に大丈夫ですか!?」
「大丈夫だよ、さ、ほら、開いて」
「ダメだ、きっと開いた瞬間、問題がささっとどこかに隠れてしまうに違いない!」
「土手の石の下にいる虫じゃないんだから。
 問題は逃げも隠れもしないよ」
「逃げも隠れもしないんですか!?」
「ああ、しないよ」
「ってことは僕、ナメられてるってことですか!」
「なんでそうなるかな
 大体文字は動いたりしないんだよ」
「僕が虫野郎だから、ナメやがって!
 ぶっ殺してやるー!」
「教科書開くのにそんな掛け声した子、初めて見るよ」
「はあ……はあ……」
「あ、汗だくだねタカシくん
 クーラーでもつけようか」
「ダメだぁー!!」
「もう怖いよタカシくん
 今度は何なの?」
「どうせクーラーも、僕を冷やすことに納得なんかしてないんだ!
 僕を冷やしながらも、心の中では他の女のことを考えてるんだ!」
「どんだけジゴロなんだよこのクーラー」
「冷ややかな目で僕を見てるに決まってるんだ!
 クーラーだけに!」
「結構余裕はあるんだねタカシくん
 もう先生も暑いから、クーラーつけるよ」
「だ、ダメだ先生! 先生、あーっ!

 先生がつけたんだからね! 僕じゃないからね!
 僕は止めたけど先生がつけたんだからね!」
「クーラーに何を叫んでるんだよタカシくん」
「あああ……
 先生、もう今日は帰ってください……!」
「あ、まあ、そうだね。また後日、落ち着いてるときに勉強しようか
 じゃ、今日は僕これで帰るよ」
「あ、待ってください!」
「ん?」
「先生は本当に納得したうえで帰るんですか!?」
「もういいよ」

2007年09月24日 19:13


■ライス大

僕のライス大。

ライス大って言葉、一度は聞いたことがあると思う。つまりライスの大盛りだ。

今日はいつもよりお腹が減ってるなー、とか。
あんまりお腹減ってないからライス大頼んで二人で分けようかー、とか。
この純金の女神像と全く同じ重さの何かを瞬時に入れ換えないとこの洞窟ごと崩れるトラップが発動する、が、しかし! 普通のライスの重さでは純金の女神像より軽くなってしまう……ならば! とか。

そういうときに頼むのがライス大。

で、このライス大の「基準」なんだけど、僕の働いているレストランではその「基準」が存在しない。ご飯をよそう人の気分によって量が左右される。

つまり万年生理ってぐらいエヴリデイ情緒不安定の僕がよそうライス大は、ホントにその日の気分によって量が全然違う。

普通の人が想像する大盛りが「ライス大」だとするなら、僕のは「真・ライス大」ぐらいの多さになってるだろう。

だからといって「真・ライス大ください」なんていうと、さらにそこに僕の気分が上乗せされて「真・ライス大・ネクサス」が出てくることになる。

「真・ライス大・ネクサス」を頼んだ日にはもう大変だ。僕のライスにかける全ての情熱が上乗せされ、出てくるライス大はもうちょっとした事件になるだろう。「湯けむり殺人ライス大~狙われた美人女将~」殺されたライス大を巡って船越英一郎が二時間ばかり推理するハメになる。

さらに「湯けむり殺人ライス大~狙われた美人女将~ください」なんて頼まれたら、もう手がつけられない。日本全土の炊飯器からちょっとずつライスをもらい出来たそのライス大は全長25メートル体重20トンの超巨大機動ライス大「六神合体・ライスダイガー」になってしまう。

ライスダイガーが現れたからにはもう安心だ。地球に恐ろしい怪獣が現れて「この星で一番でかいライス大をよこせ! よこさなければこの星を滅ぼす!」と言ったとしてもライスダイガーの持つ超・必殺技「シャイニングゴッドおかわり」で木っ端微塵なのだ。そう、地球の平和はライスダイガーに守られる! 強いぞライスダイガー! 僕らのライスダイガー! GO GO ライスダイガー!

ちなみにライス大は量に関わらず+100円。

2007年09月22日 18:58


■アリババと四十人の扶養家族

女性に偏見がある、かもしれない。

たまに「女ってのはさ~」とか「女って生き物は~」とか言っちゃう。

これはよくないことだと自覚はしている。
女性に関わらず「○○はこうに違いない」なんて決め付けるのはとても危険で失礼なことだ。

「女ってだいたい馬鹿だよね~」なんて、たとえ軽い気持ちで言ってたとしても、女性はきっと凄く怒るに違いない。

きっと「馬鹿だよね」を言い終わる前に僕の首に鉄製の輪っかがハマったかと思うと田嶋陽子率いるフェミニス党の皆さんが僕を馬のケツに縛り付けて「女性が社会に参入することでより多様な価値観が産まれると思いますう!」と泣きながら叫ぶまで町中を引きずられるに違いない。

それはわかってる、わかってるんだけど
どうしても「女ってほとんど自分のことしか考えてないよね~」なんていってしまう。

そんなことになればまた怒り狂った田嶋陽子が水牛に乗って現れ、そのはいていたストッキングを僕の足に結びつけたかと思うと僕をフェミニス塔の屋上から突き落とし「そのストッキングを伝線させたら、すぐストッキングごと奈落のそこに叩き落してやるわ!」と血まみれのテディベアを抱きながら笑うに違いない。

いやわかってるはずなんだ。女性を偏見に満ちた目で見ちゃいけない。
でもやっぱりたまに「女って考えが浅いよね」なんて言ってしまう。

もうこんなこと言った日には田嶋陽子なんて怒りMAXすぎて変形しちゃうに違いない。一瞬田嶋陽子の服が全部脱げたかと思うと、凄いまばゆい光が田嶋陽子の全身を包み込みリボンがぐるぐると美味いこと乳首とか隠しながら回り、光がぱーっと散ったかと思うとそこには美少女電車・タージマスの姿が!

タージマスは新幹線「のぞみ」のボディと田嶋陽子の顔、そしてジェンダー問題を真剣に考える頭脳を持った超・高性能電車なのだ! タージマスは全部で八十二車両! さらにその全てが女性専用車両と女性優先座席! 男性には「男性専用吊り革」が用意されているぞ! しかも外に! 「だいたい男の腕力で来られたら女性なんてねー!」という汽笛が聞こえたら白線の後ろ2kmまで下がれ! タージマスが来るぞー!

だいたいこういう偏見がある。

2007年09月21日 22:23


■パキマリム

町で反町隆史を見た。

普通に商店街を歩いていたので、最初は反町さんだと思わず反町さんによく似た土偶だと思っていたけど、よくみてみると、あ! 反町さんだ!

僕は思わず近づいて「あ、あの、反町さんですよね?」と声をかけると反町さんは首をかしげて「ヌビブンヌ・ピョンスノン?」と言い、僕は「あ! いけない! 反町さんはバピルノ語しか通じないんだ!」と思い「ビシルゴン・キムキム・エロ」と言い直すと「ああ、うん、バレちゃあしかたないなあ!」と笑いながら言ってくれた。

実際に見る反町さんは、テレビで見るより背が高かったし顔が二つ多かったけど、それでもテレビで見るのと同じくらい素敵で、僕の「サインしてください!」というぶしつけなお願いにも耳からファブリーズを吹きながら快くオッケーしてくれ、さらに僕がボールペンを渡すと反町さんは、なんと! その腰に身に付けていたヌギンボにベルキを浸し、さらに反町さん自家製のノボムとンマッンもつけて一緒にヌミヌミしてくれたのだ!

僕は興奮して思わず「ボルボンヌ! ボルボンヌ!」と言ってしまい、町の人がソリマチさんに気づいて「イヌン! イヌン!」と騒ぎ始めたので僕はテリリナブしちゃいけない! と、ソマリツさんの上にミソトルンとエズドガージにヘンドソッパして、アビャン!

お陰でソルマッキさんも、眠気が覚めたみたいでした。よかったボマッサ!

2007年09月17日 22:02


■大歯科医

「はーい、じゃあたかしくんお口アーンしてー
 今から虫歯削ってくからねー」
「んー! んー!」
「だいじょーぶだいじょーぶすぐ終わるから」

きゅいいいーん

「んー!」
「はい削りまーす。もし痛かったら右手を高らかに揚げて、己の勝利を確信してねー」
「んー!(勝った……!)」
「はい我慢してねー」
「んー!」
「どしたのかなー。もし痛かったら右手を奪ったあの男のことを思い出してねー」
「んー!(頬に傷のあるあの男、俺は絶対ゆるさねえ!)」
「はい我慢してねー」
「んー!」
「はーいもうすぐだからねー。もし痛かったら痛かったで、それも一つの生き方だと悟ってねー」
「んー!(こういう人生も、悪くないか……)」
「はい我慢してねー」
「んー!」
「痛かったら右腕と左腕の関節を外して、ちょうちょ結びにしてねー」

こきこきこき、しゅるしゅる……きゅっ!

「んー!」
「すごいねー」
「んー!!」

2007年09月15日 16:54


■不倶戴天ぬ

「はいどーもー。浪花モトリー&クルーでーす」
「………」
「いや、ほら、お前もちゃんと挨拶しろよ。どーもー! ねー、いやー」
「……ども」
「元気出せよーオイ、どした?
 何か気分でも悪い? 大丈夫?」
「……いや、目が」
「目? ああ、さっきからなんかしぱしぱやってんな
 何、目にゴミでも入ったの?」
「いや……目にゴミ野郎が入った」
「ゴミ野郎って何だよ、どういうことだよ」
「三十歳で実家暮らし」
「いやゴミ野郎のプロフィールとかいいから」
「趣味:インターネット」
「いや、だから」
「無職」
「ゴミ野郎だなー!
 三十歳でニートは相当ゴミ野郎だなそいつ!」
「痛てー…」
「そりゃ痛いだろそんなゴミ野郎が目に入ってたら」
「『産んでくれなんて言ってねーだろ!』 とか言ってる」
「痛いのは発言の方か! 確かにイタいけどその発言!」
「『別にやればできるし!』」
「イタいなー! やらないのはできないのと一緒だぞ!?」
「『俺この頭脳のまま子供になったら、最強じゃね?』」
「イタいイタいイタい! どうせ努力しないんだから二十歳ぐらいで並ばれるよお前なんか」
「あ、取れた」
「取れたの?」
「うん、カナダにダンス留学いったっぽい」
「うわー絶対二ヶ月で帰ってくるぞそれ」
「ごめんごめん、続きやろう」
「あ、はいはい。いやー最近はすっかり涼しくなってきたねー」
「……」
「ちょっと、どうした今度は?」
「いや、鼻……」
「またゴミ野郎?」
「いや、クズ野郎が入った」
「どーなってんだよお前の鼻と目は!」
「あ……くしゃみ出そう……くしゃみ……」
「おいおい」
「は……は……っ
 『二浪して入った大学中退』っ!」
「どういうくしゃみなんだそれ」
「は……っ
 『フリーターなのに社会人に説教!』っ!」
「クズ野郎だな!
 『夢捨ててまで金欲しい?』とか言っちゃうんだろうな」
「はっ……
 『しかも仕送り五万!』っ!」
「クズにも程があるだろ! せめて全部自力で稼いでから説教しろよ!」
「はっ……
 『三年前から自分探し中』っ!」
「もう見つけれない自分を現実として受け入れろよ」
「『ラブホから出てくるカップルをオカズに!』っ!」
「エロ本ぐらい買えよクズ!」
「『そこ俺のパンチラスポットだぞ!』っ!」
「しらねーよ、何の縄張り争いなんだよそれ」
「あ。
 取れた」
「取れたの?」
「うん、実家帰ったっぽい」
「まあ、ありがちな末路だな。
 じゃ、漫才の続きやろうか」
「あ、いたっ、いたたたたたた!」
「どうしたどうした、今度はなんだ」
「いや、さっきのクズ野郎がゴミ野郎になって戻ってきた」
「いい加減にしろよ!」

2007年09月13日 20:41


■うんこ100%

食中毒だ。

いわゆる食あたり。
腐ってたり、
腐ったもので作られたあんかけをかけたものを食べたり、
うんこを食べたりするとなるアレだ。

一体何にあたったかなんてことは、NHKが特番組めるぐらい生命の神秘に溢れてる冷蔵庫を持っている僕の部屋では、心当たりがありすぎてもう検討がつかない。凶器に容疑者全員の指紋がサイン付きで残ってるような事件を推理するようなもんだ、そんなの体が子供で頭脳は大人で設定がマンガの名探偵だってサジ投げる。投げる投げる。
大量に投げる。
サジのクリアランスセールだ。
最大で70%OFF
伊勢丹で八日まで。
急げ!

ともかくも突然の食ストライクによって僕の肛門が完全にアウト。
口から入れるものより、ケツから出す分が圧倒的に多いなんてとんでもない経済格差が体内で勃発。
お前どう考えても俺の食った食物の栄養を摂取&即リリースだろ、と胃に問いかけるけど帰ってくる返事は茶色で水っぽい超肥えキャラのぎゅるるといった肥えボイス。肛門ってこんなに開いたり閉じたりできるんだーなどとケツ話術の可能性に思いを馳せる間もなくあふれ出す止め処ないフロウ、やったー日本の音楽シーン揺るがす新生肛門ラッパー誕生だーその名はケツ☆メイシ!

やっべー生涯で一番面白くない瞬間。
うんこ以下のギャグ。
どんだけ天皇の機嫌よくても死刑になるレベルのギャグだわ。
小学生に蹴りいれられても文句の言えないレベル。
でもお腹蹴るのはやめて! また波がきちゃうから、そう!
俺たちは日本の音楽シーン揺るがす新生肛門ラッパーその名もキック・ザ・便・クルー!

死ぬわ。

2007年09月10日 00:48


■死に至る病

世界格言特集

「そうだ、人生はすばらしい。――何より大切なのは勇気だ。想像力だ」
  チャップリン

* * *

1.2.3.4 プリキュア 5!

プリティ キュ・キュ・キュ・キュア (Yes!)
エブリバディ Yes,ファイト! (Yes!)

ドキドキ ぱあっと笑って スマイル go go! (プリキュア~! Yes! プ・リ・キュ・ア・5!)

大きくなったら 何になりたい? (な・ん・に なる・なる・の?)
両手にいっぱい 全部やりたい! (いっ・ぱい や・り・た・い!)

問題が 解けない ナミダは
ココロの 消しゴムで消しちゃおう

メタモルフォーゼ! (Go!)

夢みるため生まれた (1、2、3・4・5)
翔べるよ がんばる女の子 (5、4、3・2・1)

勝ち負けだけじゃない
未来へ あすを ぬりかえてく

ピンチから (Go!) チャンスへ (GoGo!)
タフに変身! (Go Go Go Go!Yes!)

プリティ キュ・キュ・キュ・キュア (Yes!) エブリバディ Yes,ハッスル (Yes!)

ドキドキ ニッと笑って スマイル go go! (Go!)

1.2.3.4 (Yes!) プリキュア 5!

* * *

1.2.3.4 プリキュア 5!
  アインシュタイン

プリティ キュ・キュ・キュ・キュア (Yes!)
エブリバディ Yes,ファイト! (Yes!)
  キルケゴール ―「死に至る病」―

ドキドキ ぱあっと笑って スマイル go go!
(プリキュア~! Yes! プ・リ・キュ・ア・5!)
  サミュエル・ジョンソン ―「ジョンソンのボズウェルの生活」―

大きくなったら 何になりたい? (な・ん・に なる・なる・の?)
両手にいっぱい 全部やりたい! (いっ・ぱい や・り・た・い!)
  ショーペンハウアー ―「パレルカ-ウント-パラリポメナ」―

問題が 解けない ナミダは
ココロの 消しゴムで消しちゃおう
  ルソー ―「社会契約論」―

メタモルフォーゼ! (Go!)
  ナポレオン―「語録」―

夢みるため生まれた (1、2、3・4・5)
翔べるよ がんばる女の子 (5、4、3・2・1)
  ロマン・ロラン ―「ゲーテとベートーヴェン」―

勝ち負けだけじゃない
未来へ あすを ぬりかえてく
  ゲーテ ―「警句的」―

ピンチから (Go!) チャンスへ (GoGo!)
タフに変身! (Go Go Go Go!Yes!)
  ヘルマン・ヘッセ ―「ゲルトルート」―

プリティ キュ・キュ・キュ・キュア (Yes!) エブリバディ Yes,ハッスル (Yes!)
  キルケゴール ―「死に至る病」―

ドキドキ ニッと笑って スマイル go go! (Go!)
  キルケゴール ―「死に至る病」―

1.2.3.4 (Yes!) プリキュア 5!
  キルケゴール ―「死に至る病」―

* * *

「そうだ、人生はすばらしい。――何より大切なのは勇気だ。想像力だ」
  チャップリン

2007年09月07日 01:19


■折衷案

洋わさびの話。

僕がバイトしているレストランには「牛肉のタタキ」というメニューがある。
これ自体は実にポピュラーなメニューだけれども、僕の店では一風変わっている。どこが変わっているかというと、まず人を三十人以上踏み殺し、スペインでは「皇帝(カイザー)」の異名で知られる暴れ牛に素手で立ち向かい、今にも相手を刺し殺そうと鼻息を荒くする猛牛にウォン・ビンの生写真を投げつけ、牛がそれに気を取られている隙にすかさず風味豊かな但馬牛のタタキをスライスして、洋わさびを添えるという作り方だ。この洋わさびがわさびとは違った風味を加えるのだ。

んで

この洋わさび、普通のわさびと当然味が違うためお客様の中にはこれを好まない人、腐ってると勘違いする人、食べた途端前世の記憶が全て蘇り自分は実はファラオの生まれ変わりだと言う事実、そして巨大ピラミッドの奥に隠されていたヒエログラフに記された碑文が家庭で簡単に出来るチキン南蛮の作り方であるという秘密に気づき、博士の「ねえ、その碑文に何て書いてあるの? やっぱ古代兵器とか? 宝のありかとか?」という問いかけに「あー、うん、いや、今度メールで言うよ」などと誤魔化したりする人、要するに洋わさびが食べれない人がいるのだ。

だから新規のお客様には必ず「こちら洋わさびにおります」的なことを言うのだけれども、こういう同じセリフって何回も言ってると訳わかんなくなってくる。

「いらっしゃいませ」とかでもそうだ。忙しいと「いっしゃいあっせー!」とかになるし、酷いときは「せっせー!」になる。
そうなると挨拶ではなくて、ただ僕が働いてる様子だ。いちいち「せっせと働いていること」をアピールしているだけだ。

さすがに「洋わさび~云々」は「せっせー!」にはならないけど、こないだ酷い噛み方をした。

「こちら洋わさびになります」というはずが、「こちらよう」といってしまったのだ。
「おまえよー! しっかりやれよ!」的なノリでの「こちらよう!」
お客様に対してお前どんだけ馴れなれしいんだと、同級生かよ。
しかもテンパってたため発音が「こちらよう↑」わかりやすくいうと「こちらYO!」だ。

まさかの薬味ラッパーの誕生に日本の音楽シーンは震撼しただろう。僕の頭の中ではデビューシングル「アワビ wanna be わさび」が永久リピートされてたがここで帰っては本当に意味のわからない接客だし、とにかく最後まで言い切ろうと口をついて出た言葉が

「……わさびでございまーす!」

人生でこんなにわさびをイチ押ししたのは初めてだ。
確かにわさびは自己アピールとかあんまりしない子だけど、こんなにプロデュースしてやることはない。
しかも「わさびでございまーす!」とは、
「サザエでございまーす!」以来の快挙。
僕のうっかりミスでただの薬味が長谷川町子原作になってしまったが、それに対し客もリアクションに困ったのか

「……はい!」

受け入れちゃったよ!

でも案の定洋わさび残してた。

2007年09月06日 12:14


■はい、なんでしょう

残暑が相変わらず厳しい。まだ暑い。

クーラーは金がかかるので、せめてもの気休めに冷却グッズを買うことにした。

冷却スプレーでは効果が持続しないので湿布タイプの冷却グッズ「熱冷まシート」を買おうとコンビニに行ったのだけど、その熱冷まシートのパッケージを見て愕然とした。

幼い子供が熱を出して苦しそうにしているその額に熱冷まシートが貼られている絵が描かれているのだ。これは、熱冷まシートに何の効果もないということではないだろうか。熱冷まシートが本当に熱を冷ましてくれるのなら、これを貼られた子供が元気にハンマーを室伏ごと90メートルの彼方へ投げ飛ばしている絵が描かれてなければいけない。いけないのだ。

しかし描かれているのはシートを貼っているのに熱が下がっていない子供の絵!
これで「熱冷まシートでございます」とは、いったい貴様は何様だ!
何様シートだ!

僕がほしいのはこんな偽者じゃない。
もっとガチで熱を冷ませるシート、そう「ガチ冷まシート」が欲しいんだ。
しかしそんな商品はどこにも置いてない。
ガチ冷まシートがないなんて、馬鹿な。
この広い熱冷ま業界で、ガチ冷まシートが開発されてないなんてそんな馬鹿なことがあるか!

ははーん、きっと隠しているんだな。自分達だけガチ冷えしたいからって店員が独り占めしているに違いない! しかしそれがわかったからといって「ガチ冷まシートをよこせ、ガチ冷まシートはどこだ!」とコンビニ店員の前で食い下がルンバを踊っても、あいつらはガチ冷まシートを渡さないだろう。どうせ薄ら笑いを浮かべながら「困りますお客さマンボ」のステップを踏みながら僕に近づき、秘密を知った僕はいずれ口封ジルバを一晩中踊らされた挙句ウリナリ社交ダンス部に十五年禁錮の刑を課せられ、日の光も届かない地下の牢獄で一生看守に嘆キッスをしながら「あんなことしなければよかっタンゴ」を踊らなければいけなくなるんだ!


ちょっと頭冷やした方がいいな。

2007年09月05日 00:10


■ナレーター:キリスト

知人から味噌煮込みうどんをもらったんだ。

味噌煮込みうどん、と言っても麺とスープだけ、具は自分で用意するタイプのレトルトなんだけどこれが結論から言うと美味かった。とても。

ただこれを「美味かった」の一言で済ましてしまうのは何だかおもしろくない、ので、その美味かった味噌煮込みうどんの調理過程を出来るだけ美味く無さそうに書くことにする。

* * *

先ずは麺とスープの入った袋を破る、俺はありとあらゆる包装に容赦はしない。相手のことなどお構い無しに両手でびりびりと破いてゆく、へへ……まるで破かれている音がお前の悲鳴を代弁しているようだな!

そして露になった白くシルクのようになめらかな麺と、まるで対照的なほど黒く濁ったスープ。皮肉なことに自らのスープで白く美しい麺はよごされることとなる。心なしか麺は震えてるように見えたが、自業自得だ。人間は、生まれながらにして罪を背負っていると言う。その味噌仕立てのスープが彼女の「罪」なのだろう。

豊かな風味とコクのあるスープにまみれて沈んでいく白い麺は、ウェディングドレスに身を包んだ新婦が肥溜めに落ちていく様に似ている。おめでとう! ハネムーンは俺の直腸だ!

嫌がる麺を無理やり掴み、引き裂く。一人前にしてはちょっと量が多いんだよこのメス豚が!

湯を沸かす。ポッポー

ぐらぐら煮立った湯の中にだしパックを突っ込む、ぐちゃぐちゃにかきまわす。だしパックめ、貴様の済ました顔に隠された本音を全て吐き出させてやる。全て熱湯の中に曝け出せ、全て、全てだ。熱湯がだしパックのあられもない欲望で濁ってゆく、ゴミめ! もう用はない! 

麺を熱湯の中に続けてぶち込む。あまりの熱さに身もだえする麺を菜箸で押さえつけ、かき回す。くるくると麺が熱湯の中で回り、だんだんとほぐれ始め……へっ、こいつもう失神してやがる。

麺とスープだけでは当然物足りないので、ここで具材(具罪)を入れる。入れる具罪は

・鶏肉(最後まで命乞いしていた)
・なすび(父親を惨殺した犯人と同じ名前)
・(胸に七つの傷を持つ)かまぼこ
・ねぎ(童貞)

これらを同じく熱湯という名の監獄に放り込み、さらに俺は、どうしたと思う?

さらに俺は、そこに蓋をしてやった! これで誰一人マグマ煮えたぎる焦熱だし地獄から逃れることは出来ない! へ、へへへへ! 俺は悪魔の子だ! 呪われた、忌まわしいサタンの落し蓋だ! アクもだしも全部吸い込んで地獄の臓物みてえに吐き出させてやるぜ!

そして俺は地獄の釜に人間の業(カルマ)を流し込む。カルマは驚くほどの早さで馴染んでゆく。カルマ(業)と具材(罪)の美しくも醜い融合だ! お、俺は神になった! 阿鼻によって! 叫喚によって! 俺は今神になった! うひっ、うひひひひひひひぃ! いただきまーす!

美味かった。

2007年09月01日 15:37


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