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■戸隠忍者の里少年合唱団

予期せぬスープバー。

スープバーが苦手。どうしても苦手。もっと言うなら俺の覚悟の死角から来るバーミヤンのスープバーが苦手。

バーミヤンでランチを頼むとスープバーをからスープを汲む権利を与えられるんだけれども、これがすごい嫌。あ、うん、わかるよ、サービスなんでしょ? 心尽くしだって言いたいんでしょ? あなたはそうやってまた私を抱こうとするんでしょ? しかしなんていうかね、タダでくれるというのなら誰にでも財布の紐をM字開放しちゃうビッチ貧の俺がいうのもなんだけど、頼んでないものを「とってっていいですよ」って言われても、心の準備がおいつかないんですよ。

例えるよ。

めちゃくちゃ水不足で、どうしても井戸が欲しくてがんばってがんばって皆で地面掘ってやっと水脈当てて水ドバーッ! って出てる横で同時にボルシチがコポコポコポって出られても「えー」ってなるでしょ。いや嬉しいけど頼んでねーし、それよりまず水だよね、っつって水ガバガバ飲んだらお腹いっぱいになっちゃって今度はボルシチが普通にいらなくなっちゃうわけじゃん。

で、まあ神からしたら「おい、せっかくボル脈を水脈の近くにつくってやったのに飲まないのかよ。うわマジあったま来た。おまえらが酷い目に遭う四コマを高架下に描くわ」ってなるでしょうけど、いや違うじゃん、求めてるのは水なわけで、水さえ出てくれればいいんですよ。それ以上の心尽くしは俺のキャパ超えちゃうんですよ。

だから毎回「スープバーもご利用プシャシャー!(スープバーがどういうものかをわかりやすく接客した音)」とか言われても完全無視ってランチだけ食ってたら今度はまたなんか会計の後に「こちら餃子半額券になりまー!」とかいって紙きれよこしやがってクソだから何でわかんないんだよ俺の気持ちが、ああもうわかった、じゃあその調子でインフレさせてって最終的に俺を一日店長にするクーポンくれ。そしたらそのサービス停止させて、あまった材料でお台場にもう一台ガンダム作るわ。もっと良い匂いするヤツな。

2009年07月31日 19:15


■焼き餃子が半額になる壺

科学で証明できないことはいくつもあるがこの夏とうとう自分も世界七不思議の一つである「表面ガッツリ結露したスタバの容器とか持って書店に来る客」に遭遇した。

さらにその上、立ち読みするためにその容器を他の平積されてる本の上に平気で置くとか、俺の理解の範疇を超えすぎて、そういう風に進化を遂げた人類とは違うほ乳類と捉えないと自我が保てないぐらい不可解。

そんでこっちが「本が濡れますので」と注意しても、なんかつーん、って感じで。顔だけパリから輸入したみてーな気取り方で
「飲み物持ってきちゃ駄目なのこの店は?」
いやおめーがキャラメルマキアートを点滴しながら来店したならこっちも何もいわねーよ、容器がガッツリ結露してんのが問題なんだろうがという意味の言葉をぶん殴って柔らかくした表現で伝えると「じゃあこれでいいんでしょ!」などとこれみよがしにカップを床に置いて、また案の定自分で蹴転がして中身を店中にプロデュースした挙げ句風とともにすいませんも無しに去りぬ。

俊輔も血尿出して代表辞退するぐらい正確な逆鱗フリーキックに湧き上がる殺意を堪えつつ床を掃除してたらその間にレジが混みだしてうわーすいませーん! とかいってレジについて裁いてたら今度は別の客が持ってる飲み物のコップをレジカウンターにどーん! えー!? そこ本置くところだからお飲み物はご遠慮願えますかー!? っつったらまた顔だけアントワープで
「あら、気づかなかったわ」
ウソつけお前「宅の自慢の息子でして」って感じで置いたじゃねえか! 意識バリ三だったじゃねえか! ドス黒い感情のマグマがケツまで出掛かりながらもティッシュでカウンターについた結露をふき取ってたらくわえタバコの客がご来店ーん! ギャァーお客様ー! 店内でのおタバコはご遠慮願え糞尿ブバーッ! ちょっと岩田くん! うんこ出てるうんこ出てるよー! つって耳血スバーッ! あー部長! 脳に重大なダメージ! ダメージですよ!

アットホームで和気藹々とした職場です。

2009年07月30日 22:57


■トロッコ松田の電車爆破旅

俺おしっこ流し忘れたかもしんない。

さっきちょっとした用事で登戸まで行ってきたんだけど、駅近くのフレッシュネスバーガーで友人とありもしない女をでっち上げてからこき下ろすという誰も傷つかない戦争をしてたところジングル尿意ベルが俺に立ち込めたのでトイレを借りたの。フレッシュネスバーガーの。

んで用を済まして一息ついてたら急にコンコンッ! って。
そんで、ありゃー! ってなってばあさんやばあさんや! 不審人物がノックをしよる、カラシニコフを持ってきておくれ! コンコン! おじいさん違います私は先日助けていただいた海神ポセイドンです! あーそりゃ投網に引っ掛かってだけなんだけどなーとか思ってたけど何か三又のモリみたいなのがドア突き破ってたからちょっと焦ってあんまり便器を確認せずに出ちゃったんだけど、

その時おしっこ流し忘れたかもしんない。

いやわかんない。いつも通りの動きなら流してるはず、二十五年以上続けてきた習慣だから。でもなんかね、ジャーっていう音が聞こえなかった気がするんだよ、いや、してたかな? もうそこの記憶がホント曖昧、プロのモザイクってスゲーなって感じで全然自信ない。今思えば後から入ったポセイドンが「うっ」って言ってた気がする、いやどうだろ、それは気のせいかもしんない、しんないけどもし、もしもよ。これ流し忘れてたら、俺、最高にクズじゃん。

ノックされてるってことは後から人が入るってのが明確になってるわけで、しかも相手も切羽詰ってるから前のヤツの尿を流すとか時給二千円もらってもやりたくないはず。それなのにトイレ入っていざ見たら便器にしっかり俺ッシュネスドリンクが残ってたら、最高の嫌がらせじゃん。いや、大丈夫、大丈夫のはずなんだよ、絶対流したと思うし、よしんば流してなかったとしても最近のトイレは自動で流してくれたりもするからあああああでも俺あのポセイドンに最悪なヤツって思われてたらどうしよう! なんかこうテーブルに戻ってから俺のこと指差して「アイツマジ尿識ねーよ」とか「ホント非尿識なんだけど」とかいわれたらああもう俺登戸行けないわ!

あ、別にいいわ。

2009年07月29日 22:16


■ハイリスクローアングル

夏休みー!

とかー!

マジどうでもいいー!

ですぅ!

いやーホント夏休みとか心の核底からどうでもいいわ。俺にとっては夏なんてのは普段よりもナマ足拝める確率が高くなるって、その程度のものでしかないからね。夏っていうかナマ足だから、春ナマ秋冬だからね。

んでそのナマ休みだからって何か知らねーけど、花輪和一が毛筆にマックシェイクつけて描いたみてーな面下げたブ男ブ女のカップルがさも楽しそうに旅行・ガイドコーナーで「トルコもよくない!?」とか話してるのが聞こえたりしてもうなんかいや別にうらやましくはねーよ全然ねーよ! 「ゴルゴも国体!?」って聞こえてたしね俺にはその会話!

東京は人がやたら多いからカップルどもの「この夏私たちのラブラブ旅行計画」みたいなもんが嫌でも聞こえてきちゃってば俺は百均のポストイットに歯形をつける嫌がらせをして溜飲'n downだけどそれだってもう限界で俺ただ一人の妄言会。チッキショウ、チッキショウ、俺もそういう話したいわ! 練りたいわ旅行計画! すっげぇでけぇすりこぎで練りあげたいわ! いやーマジちょっとさー、彼女がすごい雑貨好きでさー、だからヴェネツィアとか行こうと思ってるんだけど、どう思うー?

ホント、どう思うよ。

2009年07月27日 21:38


■俺、ベイブレードで世界を平和にしてみせる!

こないだ。

つっても皆思ってるよりスゲーこないだ。皆が思ってるこないだが平成だとしたら俺のこないだって紀元前ぐらいこないだだからね。

そんぐらいこないだ、小説家の松原真琴(松原のフリ仮名はうんこで、真琴のフリ仮名はちんこ)って人とあとポックリボーイっていうシヴァ神の人と飲んだ。

松原さんの小説家っていう職業がどういう仕事かよくわからない人のために簡単に説明すると、五十音順にならんだ平仮名を順番に舐めて一番甘い文字を適当に繋げて文章にして出版社に持っていくと「いつも悪いねー」と、持参した空串に好きなおでんの具を三つまで刺してくれるから、それを食べて生計を立てるそういう仕事。シヴァ神はうまく焼けなかった陶器に雷を落とす仕事。

んで、酒を摂取しながら色々しゃべってたら、俺がヤバいという話になり、どうも国民の総意としては「放っておくと死ぬ」で満場一致してるっぽいことを伝えられて、あれ、何でまた俺がそんな強制スクロール面のマリオみたいな扱いになってんだろう、と思いながら詳細を聞くと何とも今にも自殺しそうに見えているらしい。

んでそれを回避するには何かやりたいことを見つけるのが重要だと、そういうことらしいんだけども何せ現在やりたいことが「沢城みゆきと結婚する」以外では「セブンイレブンのビッグフランクを両手に持って水不足の村でダウジングし、水脈のあるところでむしゃむしゃ食う」だから特にこれといって無いっちゃ無い。

死ぬとかそういうことは口には出せども、真剣になど毛頭考えていなかったため寝耳スプラッシュマウンテンだったが「パンが無ければ小説書けばー?」とアントワネッ子ぶる松原さんを見て適当言ってんなーと思いながら、まあそれも悪くないかもな、などと、もらったおでんを食いながら思った。

ちなみに具は三つともガムだった。

2009年07月26日 15:55


■サマーウォーズ

「いやーアッついねぇ!」
「お、トクさんじゃないか。今日はいいアレが入ってるよ」
「お、いいねェ、じゃあビールと、アレをもらおうか」
「あいよっ! いやあ真昼間から酒たぁ、いいご身分だねえ!」
「へっ、女房が見てねぇ間だけだよ!」
「あいよお待ち! ビールと……ドリンクバーで遊ぶ中学生だよっ!」

てことで出てきたわー夏の風物詩。サイゼリヤで。東京に来てからとんと見なくなったからアレは石川県だけに出没する郷土神かなんかだと思ってたけどいるねー東京にも。

中学生と思しき男女その比3:3なんて青春成分の濃い割り下、もうその状況だけで男子勢は勃起'in on Heavens Doorじゃないかと思ってたけど女子のうち二人が今にも「私の女子力は五十三万です」とかいいそうな戦闘民族だったため男子の盛り上がりは残り一人のマトモ女子に集中。

誰が言い出したか「じゃあ罰ゲームは、俺の特製ドリンクを飲むことな!」から始まる市民革命で場は一挙にヒートアップ。「うぇー俺かよー!」このあたりで好きな子の前で罰ゲーム受けてオーバーリアクションすればモテると勘違いしてた俺のトラウマがウォームアップし始めたので、なるべく見ないフリをしながら目の前のハンバーグに没頭するも、ドリンクバーの全種類を等分ずつ混ぜ合わせる特製ドリンクを「うぇーコレ飲むのかようぇー!」などと女子をチラチラ伺いながら叫ぶ男子の姿がさらにトラウマを容赦なく取り立てにやってきて、やめろ帰ってくれお願いします。

願い空しく特製ドリンクは完成し「うひゃー! 何コレコーヒー牛乳みたい!」などと叫ぶ男子。できた飲み物を鼻に近づけては「うはっ! 駄目だこれ! 飲めないよスゲー匂いするもん!」と、あっという間に石垣外堀を積み上げ土台は完璧。秀吉も思わずtwitterで報告しちゃうような速さでオモシロ一夜城が組みあがっていく様がホント見てられない。しかし目を逸らすこともできない。そうか、コレは罰だ。あの愚頂面の中学生は俺だ、あの日の俺だ、過去の俺が俺に復讐しにやってきたんだ! 

「飲めよー! 早く飲めよー!」コールが俺の心のやらかい場所を隈なく絨毯爆撃する。終われ早く終わってくれ「いやいや! 飲めないって! こんなの!」もう充分だ! 俺の心はもうポツダム土下座だ! 勘弁してくれ、許してくれ! 「駄目だ飲めないって! 捨てるわー」

そういって、特製ドリンクを捨てる少年。

え、と伏せていた顔をあげる俺。

「えー!」「飲めよー!」と言いながらも特に責める様子も無くドリンクバーから離れていく中学生たち。

俺は呆然としてバーを見つめた。

持ったまま飲むのも忘れていたアイスコーヒーのコップが、結露し、テーブルに一つ、二つ。小さな水溜りを作った。

2009年07月25日 22:04


■ポッシビリティ

「たーちゃん、そろそろ寝ないと駄目よ、たーちゃん」

ジジジ……ジジ……

「たーちゃん、いつまでテレビ見てるの、たーちゃん!」

ジジジ……ジジ……

「たーちゃん……?
 !!! タクヤ!」
(なんてこと! 息子が、ああ、デッキに入れっぱなしにしてた呪いのビデオを……私の息子が見てしまった……! そうよ、落ち着いて、落ち着きなさい私、こんなときは……まず……

まず鶏肉を一口大に切る。
使う肉は胸肉の方が口当たりが良いけど、カロリーが気になる人は片栗粉を軽くまぶしたササミを湯に軽くくぐらせたものを使おう。こうすることでつるんとして、口当たり、喉ごしが良くなる。

具はお好みで。私はあまり具の多いのが好きではないので、一センチほどに刻んだネギとタマネギのみ。

だし汁、みりん、醤油を7:5:2の割合で混ぜて作った割り下を手鍋に流し入れ、中火にかける。少し煮立って醤油の香ばしい香りがたってきたら鶏肉を入れ、肉に火が通ってきたらネギを入れ弱火にする。

この間に卵を一個溶いておこう。

鶏肉に火が完全に通ったら、溶き卵を半分だけ流し入れ鍋を揺らして全体に回す。少し固まってきたら残りを流し入れ蓋をし、火を止める。

どんぶりにご飯を盛ろう。どんぶりは口が広くないもののほうが盛ったときに美しい。このとき、あれば三つ葉を少し刻んでおく。

蓋をあけ、卵がいい具合に半熟になったらそのまま鍋を傾けてどんぶりに流し入れ、上に三つ葉を乗せて出来上がり……)

「ん、この、醤油の香りの中に鮮烈と刺す三つ葉の香り……醤油が鼻腔にまとわりつく雨雲だとするならば、三つ葉はその雲間から刺す一条の日光……霹靂の中に柔らかさのあるこの匂い……これは!

おかぁーさーん! 親子丼作ってるのー?」
「んふふ~そうよ~?」
(よかった……! ビデオから目を逸らす事に成功したわ!)


一週間後、たーちゃんはビデオの呪いによって現れた貞子に一流の親子丼をふるまった。

2009年07月24日 22:23


■タナトス

あだ名について思い出す。

岩田一矢、ってのはあだ名をつけにくい名前なのかわからないけれど、あだ名をつけられた記憶が数えるほどしかなく、そのほとんどが定着していない。

名前はその作用と反作用によって人格を形成していく重要な要素の一つだ。なので、今までつけられた数少ないあだ名について思い出してみる。

■いわっきゅー

まあ前菜ですっつってスニッカーズ出されたような顔をするのもわかるけれど聞いてほしい。これは確か小学生の頃、おそらくは四年生ぐらいのときにつけられたものだ。みんなあだ名があるのに、俺だけ無い! と嘆く俺にクラスのみんながつけてくれたクソだ。「いいじゃんいわっきゅー! いいって!」と煽るので、そいつ(柴田)に「じゃあおまえしばっきゅーな」と返したらこの世の嫌悪をすべて集めたような顔をされた。
このクソは二ヶ月ほどで風化し、やがて誰も呼ばなくなった。

■いわっち

これも小学生の頃。いわっきゅーがほぼ制裁とも言うべき形でつけられたのと対照的に、こちらは当時好きだった子がつけてくれたあだ名なので、うれしい反面、この子にネーミングセンスを与えてくれなかった神を呪った。名付けたその子自身が異常にこの名前を気に入り「いわっちいわっち! あはは! シュワッチみたい! もうシュワッチでいいじゃん!」と嬉しそうな笑顔で言うので、この時期しばらく俺はシュワ田だった。
シュワ田一矢だった。
戸籍上の都合により定着しないまま風化。

■いわたん・カズ

「ろくなあだ名をつけられたことがない」というのが自己紹介代わりになっていた中高。多くのものがこの前人未踏の霊峰に挑み、散っていった。いわたん、カズはその足跡の一部である。関係ないがこの時期かたくなに俺を「岩田さん」と呼ぶ友人がいた。一流の国立大学をでて、一流の企業に就職し、俺の二倍三倍の年収を稼いでいる彼だが、最近会ったらまだ「岩田さん」だった。

■カズヤ、かーくん

大学生時代。「あだ名の話をすると額の十字傷がうずく」と悩む俺に「じゃあ、カズヤな」と言ってくれた元相撲部の彼。名前まんまであだ名でも何でもない四股名をつけてくれたがこれは意外と定着し、四年間を完走した。
「かーくん」は同じく友人の一人がつけてくれたあだ名。こちらも風化することはなく、友人の中では「カズヤ派」と「かーくん派」の二派に分かれた。この二派の紛争は聖地イェルサレムを巡り未だ続いているが「俺を巡って争うのはやめて!」っつったら「うるせぇ!」って言われた。

■わっさん

ごくごく親しい人間のみが呼んでいたあだ名だが、これが一番あだ名として長く機能している。今までのものは「あだ名をつけてくれ」→「よしつけてやる」→ビキニ環礁の繰り返しだったが、これは自然発生的につけられたあだ名なので、いまだに風化はしていない。が、定着しているとはお世辞にも言いがたい。

ただでさえ「近寄りにくい」とか「接しにくい」だとか「駅から看板は見えるけど実際歩くと十五分かかるスーパーみたい」とか言われてるので、誰もが呼び易くかつ親しみ易いファンシーなあだ名があればきっとこの夏、一人でカップルがビニールシートの四隅にシートが飛ばないよう盛った砂の中にファラオを眠らせる作業もしなくて済むんだ。でも俺はあだ名を自分で考えるのは苦手だし、それに自分で考えたあだ名を人に言うのもなんだか恥ずかしい、そうだ

あだ名を、つけてください!

2009年07月23日 21:50


■語尾ダクション

オペレーター変種。

オペレーターってのは、要するに企業の窓口であり、客との橋渡し的な存在であるから滑舌とかに特段気を使ってしゃべらなければいけないし、相手に失礼があってはいけない。

しかし大企業のオペレーターほどにもなるとまずそんな横柄な人や滑舌の悪い人間はいない。やはり高い水準でお客様をご案内している。

と、そう思っていた。佐川急便のオペレーターに会うまでは。

昨日なんだか女の子の声が聞きたくなったので闇雲に集荷以来でもしてやろう! と思い佐川に電話をかけ二、三プルルほどして出たオペレーターの第一声

「お電話ありがとうございまん、佐川急便お客様サービスセンターでございまん」

耳疑うなんてもんじゃない。耳完全に黒。犯人はこの中にいるなんてレベルを遙かに超越して「とんでもない! 私にはアリバイがあります! その時間ちょうど私は被害者を絞め殺してましたからね!」って言われたようなもんで俺の耳が満を持してぶっこわれたと思った。本当に思った。

思わず「え?」って聞き返すと、今度はゆっくり、そしてはっきりと「佐川急便お客様サービスセンターでございまん」やっぱり言ってる。どう聞いても「まん」って言ってる「集荷のご依頼でしょうか?」いや集荷とかじゃなくて、むしろどんどん届いてるわ。アンタの語尾から疑問が速達直送の着払いでバンバン俺の脳髄ノックしてるわ。

もうホント俺の日本語が通じない可能性をガチで加味しながらおそるおそる「あの、集荷をお願いしたく」「ありがとうございまん!」ええええええ! 声張ってもそれ!? え、何、若者言葉って日食の影響受けたっけ? それともルパンにサ行盗まれたの? 「それではお客様のお名前お願いできますでしょうか?」ます、って言ったよね。言えたよね、ますでしょうか? っていったよね絶対「では次に住所の方お願いいたしまん」わかんねえ、そのルールわかんねえ! 何なの、マンとマスを逆に覚えちゃってるの、君の中ではウルトラマンがウルトラマスになるの? ウルトラマスタロウなの? 何その股間が思春期でパンパンになった中学生みたいなヒーロー「ありがとうございまんた!」まんたって言っちゃってるしえーもう怖えーよ、地震雲なんかよりよっぽどマグニチュード8.0だよやべーもう絶対やべー何がやべーって後半俺も不安になって「よろしくお願いいたしまん」って言っちゃったもん。あ。言っちゃったまん。

2009年07月22日 21:49


■それを眺める市川悦Core

やったー!

DVDドライブ壊れたー!

いやーなんか最近調子悪いとは思っていたんだよね。何かCDにしてもDVDにしてもやたら読み込むのに時間かかるし、読み込んだと思ったら音楽を聴いてる最中に急に女性の声のような甲高い音で「ギッ」や「ギュルッ」みたいな音が度々なって、何だよ手抜いた霊障だなボイトレぐらいしてこいよぐらいに思ってたら、今日、とうとう壊れた。

まずCDが最大速度で焼けなくなって、あれ? と思い、まあ結構長く使ってるから多分最大速度じゃ焼けなくなったんだろうとして書き込み速度を最低にまで落としたら三枚ほどは無事焼けてたものがまた急にエラー音とともにCDをぺいっと吐き出して

「こんな速度で焼けだなんて、俺を見くびってんのか! うちは16倍速で二十年やってんだ! 出直してきな!」

みたいなことを言い始めたので、16倍速で焼いてたら今度は読み込んだ時点でCDを吐き出して「俺、ダンスで世界獲る!」って言ったまんま戻ってこなくなった。

しかも読み込まないくせにパソコン上できっちり認識はされているらしく、俺がいくら「ホラ、動いてないでしょ? 壊れてるでしょ?」って言っても「いや家では凄く良い子なんですよ……猫とか撫でるし」の一点張りのマヌーサペアレンツが全然問題解決に乗り出してこようとしないのでもうめんどくせぇと新しいドライブ買ってきた。

パソコンの中を久しぶりにいじる不安、それ以上に、パソコンの中でとっとこしてるハムスター大の埃塊にムセながらも無事取り付け完了。ちゃんと動くし書き込みも読み込みも問題なく出来たので一安心してたら今度はマザーボードのアホが

「うちのDVDドライブちゃんがいないの! 一人だと中央線以外乗れない子なのに、どこいっちゃったのかしら! ねえ!」

とか言い始めたので「あんなドライブのことなんざ俺が忘れさせてやるよ! オラッ!」「あ、何をするの! そんな規格の違うドライブなんて……」「へへへっ! これが今アンタの中に入ってるドライブなんだよぉ!」「いやぁああ! BIOSいじらないでぇ!」「おとなしくしてな、Jmicronなんか俺が切ってやるよ!」「いやああ!」

まあこの辺りで隣家の窓がピシャっと閉まったわけだ。

2009年07月21日 20:30


■ツェッ体ツェツ命

わあー!

ちょっと久しぶりに徹夜とか無茶したせいで生活サイクルのゴムがべろんべろんになって勃起してないとパンツずり落ちてくるんです型人間になってしまったせいで盛大にバイト寝坊した。

起きたら普段出勤する時間ってそんな奈落っぷちに立たされ必死で蝶のように舞い光より速く寝癖直したりしてたらギリギリ遅刻は免れた。いつもより二分遅い程度で済んで、あぶねーホントセーフとか思ってたら、社員の一人から

「岩田くん昨日入ってたよね? シフト」

耳っていうか、粒子疑ったわ。間違ってない? 振動の仕方間違ってない? ホントなら「岩田くん、タバコ、フィルターの方くわえてるよ。しかも耳で」みたいなこと言ってたはずなのに粒子がよそ見振動してたせいで音が間違って伝わってない? って「は?」って言ったら。ヘルプ表見せられた。

結論から言うと書いてた。めちゃくちゃ十九日入れますって書いてた。人が足りないっていうから仕方ねーなーぐらいの勢いで「ま、二時までなら入ってやってもいいけど?」みたいな書き方してた。そしてそれ完全に忘れてるっていうもう何コレ、オイオイピッチャー今日コントロール悪ィじゃん? とか思ってたら自分一塁でバット構えてましたみたいな。

自分のうっかりさ加減に絶句絶句ドイツ風に言うとツェッ句。自分でシフト入れといて来ないばかりか、何か昨日とかサイゼリヤでポップコーンシュリンプのショボさにソロ切れしてた。死にたい、本当に死にたい。穴があったら死にたい。無くても死にたい。

しかも普段遅刻も欠勤もしないもんだから社員も「どうしたの? 何かあったの?」って心配してくれたりしてああもうキツいその優しさキツい。「坊や寒いのかい?」っつってかけてくれたコートが針のむしろ、しかも凄いタイト目なシルエットでマジちょっと自分具合悪いんで事務所でちょっと死んでいいですか? って言葉が喉までゲロりかけたけれどグッとこらえてせめて何か気の利いた言い訳「いや、えっと、十九日って今日だと思ってました」


社員、ツェッ句。

2009年07月20日 21:01


■禍福フェイクレイヤード

禍福はあざなえる縄の如し。

って言うじゃん。ねえ。まあ幸と不幸は縄みたいに交互に来るモンだよだから今やなことあっても落ち込んだりしないで前を向いて歩いてたらきっと王将で餃子が半額になったりするよ、ってな意味なんだろうけども、なんだか人生も二十五年目になるとこれが相当うさんくさい。何やらどうも縄が不幸一択で作られてて何かたまにちょっと余った幸せ糸でウサギさんとかクマさんのアップリケが登場するみたいな、そんな気がしてきた。

そんでもってこの縄がまた、四国丸めて銀紙に包んで捨てるなんてワケないぐらいの妖怪を封印するレベルに太い縄でさ、その中でアップリケが登場したってほんの一瞬なわけで後はもう大体真っ黒不幸、おみくじ引いて「やったー! 大吉だ!」っつってよく読んだら「毎週火曜の00:00~05:00まで大吉です。ご迷惑おかけします」とか何だよお前ネットゲームのメンテナンスかよってぐらい限定大吉だったみたいな、そんな幸せ。

それが嫌とか可哀想とかじゃなくて、皆そういうもんなんだから仕方ないって思うしかない。かといって「覚悟を決めて我慢する」なんてのもね、この錠剤一錠飲むだけで宮本武蔵五人分の覚悟が摂取できます! みたいなサプリがやずやから出ない限り無理なので、うん、じゃあ、この真っ黒な縄を好きになるしかないよねー。ホラ、あそこの縄目とか目凝らしてみたらクマちゃんかガッキーに見えるじゃん、お、見えるじゃん。ちっと元気出たわ。

2009年07月19日 21:50


■このあと風速20m/secで殴られました

「ホントに大丈夫?」
「平気さ!」
「でも、引っ掛からなかったら?」
「大丈夫、地面を見てみなよ」
「何あれ、マット?」
「圧力感知マットさ、あそこに乗るとその圧力を感知してセンサーが作動するんだ」
「でもそれじゃ人間以外でも」
「大丈夫。圧力を感知した後、ドアに赤外線が二つ張られる。一つは地面よりちょっと上、もう一つはそのさらに上。この二つに、同時に引っ掛からない限り装置は作動しない。つまり万が一圧力感知マットが誤検知しても、二重の赤外線に引っ掛からない……つまり人間より小さいものが通っても装置は作動しないんだ」
「でも、もし人間ぐらいの大きさ・重さのものが通ったら」
「オイオイ、何のためにドアの向こう側にサーモスタットを仕掛けたと思ってるんだ? 熱源の無いものはもちろん、不自然な熱反応を示すものあればこのサーモスタットからの値がfalseになる、つまり装置の作動が中断されるってとさ。
それにドアの両端を見てごらん?」
「穴……?」
「風速感知孔。人間は歩くときに自ずと腕を振らなきゃいけない。これは個人差があるけれど大体風速2~3M/secこれ以上でもこれ以下でも感知孔からの値はfalseになる。
この二つの装置からの値がtrueの場合に限り、装置は作動する!
僕の装置に死角はない!」
「あ、き、来たよ!」
「隠れろ!」

「さー席に着け、授業を始め

ばふんっ

「ひっかかったー!」
「やーい! 先生の頭がチョークの粉まみれー!」
「オイオイ……。
 まったく、手の込んだイタズラだな」
「(まさか……一目見て僕の装置を全て見破った……? バカな……!)」

2009年07月18日 14:26


■教師ビンビンにさせる物語

コメントスパム。

ありとあらゆる国籍の人から

「よう! バイアグラ買えよ!」
「バイアグラ欲しいんだって? 聞いたぜ!」
「ドはドーナッツのド~、バは……
 バイアグラだって!? オイオイそこまでいうなら売ってやるよ!」

とかいうコメントが来る。毎日来る。めちゃくちゃ来る。CIA辺りが「岩田は不能」だとか「液体窒素でも岩田チンポを固くさせるのは無理だとNASAは判断してる」だとかを2chの【高野豆腐】インポ報告スレpart234【以下】に書き込んでるに違いないってぐらいの量来る。

もう、ショットガンの弾が俺のチンポに当たって粉々になるのを見たガキとCGのゴリラが「Wooooooooooow! COOL!」とか叫ぶCMを全米に流したりしない限り納得させらんないと思ったのでそういうコメントを丸ごとシャットアウトすることにした。内容から駄目非駄目を判断するのは難しいので、人間か人間じゃないかで判断させることに、要するにちゃんと手動で【投稿】ボタンを押さないとコメントつけれないようにしました。

これによってネットにのみ存在することができるワイアードゴーストの人や実態を持たない神とかの人は日記にコメントつけらんなくなるかもしれないけどそこは何とか憑依するとか、コメントスパム業者を生贄に現世に受肉するとかして頑張って実体を手に入れてからちゃんと投稿ボタンを押して「よう! じゃあまずはお前がこの屏風にかかれたバイアグラを追い出してくれよ!」ってコメントをつけてください。そしたらもう買うわバイアグラ。

2009年07月17日 22:02


■暇なレジ打ちが考えていること

書店と取次店の仕組み

出版社と書店の間には、取次店というものが存在する。出版社から請け負った書籍をどこにどれだけ配本するかを書店からの補充要請やなどを加味しながら決定する、それが取次店というものらしい。

まあこんなことを言っても偏差値が八戸鉱山の海抜より低い貴様等のことだからどうせ「配本? ああ、二組のクバモトのこと? あいつ何か超ヤリマンらしいぜ。あいつがいつも持ち歩いてる臼に餅入れるだけでヤらせてくれるってさ」「オイやめろ! クバモトさんはそんな人じゃねーよ!」

とかいって土手リートファイトに興じちゃうだろうからわかりやすく例えると、マッカーサーの操縦するジープが出版社で、その荷台に乗ってる兵隊が取次店、んでその周りで「ギブミーギブミー!」っつってるのが俺たち書店なわけだ。

んでその取次店のことを俺たちは「トーハン」とか「トーハンさん」とか言ったりしてるんだけどどうやらこの日本にはトーハンと東西を二分するもう一つの取次店が存在するらしい。

それが「ニッパン」

神がアダムとイブを楽園から追放したとき、そのニュースを紀伊国屋エデン店に取次いだのがトーハン、ジュンク堂コキュートス店に取次いだのがニッパンだったという。そこから続く確執が未だに存在し、トーハンの人間にはニッパンの人間が赤黒いイボに包まれた異形に見え、ニッパンの人間にはトーハンの人間は幽鬼の如く青ざめた枯木に見える程に犬猿の仲なのだ。

だが神の寵愛を受けたものはトーハンだった! エデンを約束されたトーハンは光の中で生きることを許され、ニッパンはマグマと憎悪の滞留する地下での生活を余儀なくされた……だが最近頻発する地震……これはニッパンが地上に出てこようとする胎動に他ならないのではないか? 我々トーハンは、光の中で堕落している。ニッパンには勝てるのか……?

「心配することはないよ岩田くん」
「店長! どうしてここに!」
「トーハンとニッパン、その名前の由来を教えてあげよう」
「由来……!」
「トーハンとは十犯、ニッパンとは二犯……それぞれ犯した前科の数さ。我々はニッパンなどとは比べてものにならない胆力を備えている……犯罪すらも厭わないほどのね」
「そうだったんですか! だったら楽勝ですね!」

だがこの時まだ俺は、知らなかった。ニッパンの二犯がそれぞれ名状しがたい重罪なのに比べ、トーハンの十犯は、うち九犯が信号無視。一犯が、信号無視を注意されたのに無視だということを。

今、日本を震撼させる戦いが(ピッ)はーい、583円になりまーす、カバーおかけいたしますかー?

2009年07月16日 21:49


■牛は牛で歩いて戻ってきた

クッソー!

ショートボブ気味の髪型で薄いピンクもしくはブラウンのフレームのメガネが凄く似合ってていつも涼しげな顔で学校の成績も凄くいいのにSuicaのチャージの仕方がいつまでたっても覚えらんなくて毎度毎度駅員に聞いてたりしたんだけどさすがに恥ずかしいからっ! つってチャージのやり方ばっかり俺にメールしてくるハイソックスでバーミヤンのごはん大盛り程度のおっぱい量の凄いカワイイ幼馴染が発芽する豆とお前の連れてるその牛とを交換してやろうジャック!

っていうから交換したら兄弟たちにスゲー詰られて、なんかもうすげーやり込んだFFのセーブデータの入ったメモリーカードを竜田揚げにされたりとかした挙句、その大事な豆を二度と取れないような床下にばら撒かれてしまい大喧嘩!
「兄さんのあの牛だって
『盆地に住んでる公認会計士あるある川柳』
の特別賞でもらったタダ牛じゃないか!」
「うるせぇ! 俺がどれだけ苦労したか!
 それをあんな豆と交換してきやがって……
 だがあの小さい豆にお前のフェチズムを細かい字でビッシリ書いたあの技術には拍手を禁じえない!」
「兄さんのバカ! 朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足、なーんだ!」
バタン!
「オイやめろよ! なぞなぞを出したまま部屋に閉じこもるソレやめろよ! 答え何だよ!? アマレスの選手? アマレスの選手だろソレなあ! 朝は寝技の特訓だもんな、なあ!」

そして兄を恨みながら床についたら何やら自分にのしかかってくる重さに気づく、重い……暑いよ、何、わっ! だ、だれ!?「誰って、幼馴染のアタシを忘れるなんてひどくない? ホラ、早くしないと学校遅刻しちゃうよ?」え! 君はあの豆の……あ、ちょっとそんなにくっついたら暑い、暑いよ!「何よ、こうでもしなきゃ起きなかったくせに、ホラホラ」暑い暑い! 暑いよー!

って思うことにしたわこの最高気温三十五度は!

2009年07月15日 22:10


■ヒューヒュー! ヒュ~ゥ! ヒュッ!(喉笛を噛み切られた)


「あ、藤崎さんだ、オーイ」
「どうしたの、それは2キロ先の人を呼ぶテンションよ」
「え? いや、わかんないですけど、えと
 どうしたの? 今日授業は?」
「ウィルソンくんこそ、授業はどうしたの」
「え、僕は今日昼までだから……」
「そう、なら私も昼までだとしても、違和感はないわね」
「あれ、昼までだったんですか?」
「ウィルソンくんが昼までなら、私も昼までにするまでよ」
「あ、うん、えーと、言いにくいんだけど」
「仰れ」
「僕の名前、あ、わかってると思うんだけど
 伊藤、です」
「……! なんてことかしら、ウィルソンくんの名前を間違えるなんて」
「あ、伊藤です」
「ウィルソンくん」
「伊藤です」
「ウィル藤くん」
「無理しないでください」
「ウィ藤くん」
「非常に近いです。発音的には」
「お褒めにあずかりオルガズムだわ
 ところでウィルソンくん」
「……はい」
「こんなものがあるの」
「これ……福袋?」
「そう、福袋、とでもいえばわかりやすいかしら」
「あ、正解の上塗りしちゃうんですね
 てか福袋なんていつ買ったんですか?」
「一昨年だったかしら」
「ずいぶん持たせましたね」
「でもね、来ないのよ」
「何が、です」
「福よ」
「えーと」
「生理は来るわ」
「大丈夫、聞くつもりなかったです」
「月四回来るわ」
「来すぎです」
「毎週火曜日に、トリコを読んでると来るわ」
「それは医師か島袋先生に相談してください」
「でも福は来ないの」
「えっと、福袋って、持ってたら福が来るものじゃないんですよ」
「初顔だわ」
「初耳ですか」
「私の人生の中に様々ある観点の中で初顔の観点だわ」
「無理矢理合ってるような使い方にした
 まあ、だからですね、開けないといけないんですよ」
「何が入っているの」
「それは開けてみないとわからないですよ~」
「もし中身が猫だとしたら、もう」
「怖いこと言わないでください」
「でもダメ、私耐えられそうにないわ」
「な、何がですか?」
「福建省をうまく統治していく自信なんてないもの」
「福建省が入ってる前提なんですね」
「ダメよ、お前はニーソックスをミキサーにかけたのだから死刑なのだわ」
「いったいどういう条例を作る気ですか福建省に。
 ていうか大丈夫ですよ。生き物とか地域とか入ってないです」
「では、いかなるものが入っているの?」
「んー洋服とか、あとちょっとした家電とかですかね」
「心躍るわ」
「でしょ? 買った値段よりちょっといいもの入ってたりもしますよ」
「胸高鳴るわ」
「でしょでしょ? 福袋でしか買えないものとかもあるんですよ!」
「是が非でも素敵だわ」
「ね? 開けちゃいましょうよ!」
「開けるわ」
「ちなみにどこで買ったんですか?」
「落合博満記念館」
「開けない方がいいです」
「どうして」
「多分がっかりします、いや絶対」
「どうして、中身がサインボールとか色紙や野球関連のグッズでない限り、がっかりして自害したりしないわ」
「絶対開けちゃダメです
むしろ買ったことすら不幸な事故です」
「言うわね」
「そっとしておきましょう」
「そうするわ
 やはり持っておくのが一番ね」
「福が来るかもしれないですしね!」
「来なくても構わないわ」
「どうして?」
「あなたが来たじゃない」

2009年07月14日 19:28


■それではお殿様、まずはその屏風の何、え、虎? へったくそだなシャケにしか見えねぇ

一つわかったこと。

子供の頃から俺は、額から伸びる禍々しい角のせいで「鬼っ子」として村八分を食らい、隣人からは唾を吐きかけられ、子供たちからは石を投げられ、これは俺に角があるからだと思って我慢してたらしまいには村長からも「そなたの角はマジハードスメルなのじゃ!」と、まあ角にうんこもついてたからね。ぶっちゃけ村のみんなに角生えてたけど、俺だけだからねうんこついてたの。

まあそんなこって今はその反動で凄く人恋しい俺は一日の半分をアクセス解析を眺めることに費やしてるんだけど、最近それでわかったことがある。

土日になるとアクセス数が減る。

それも十や二十なんてものじゃない、四十ぐらいガバッと減る。偶然とかじゃない、毎週減る。最初はふーんぐらいに思ってたけど、ふと、恐ろしい真実に気づいた。

これ、みんなデートしてるんじゃないか。

なんか両方社会人だと土日ぐらいしか彼女と会えないとかいう話をイソップ童話かなんかで見たことある。それだ、絶対それだ、独り身の俺をほったらかして約四十組のカップルがデートしてるんだ逢いpullってんだ、

たとえそれが全部俺のサイトを見てる人同士でつがってたとしても二十組が土日にまぐわってることに、万が一全員3Pしてたとしても約十三組のマグワリアン達がベッドの上で「トゥナイト! トゥナイト!」うわどういうあえぎ声だよお前ら、くそ、いいな、あ、でも十三組なら三十九人しかまぐわえないから一人余るじゃん! 「誰かあたしと、あたしとまぐわって!」そらきたヒャッホウマブい子ちゃん! 「あたしの角をしごいて!」あ、同じ村出身でしたか、どうも初めまして! 僕岩田って言いま「うんこ拭いてこいよ」

2009年07月13日 21:28


■クマのプーはん2

「やめ、やめておくれやすティガ之進はん!」
「オウ、コラ、ロビンの……わかってんねやろうな、ああ!? 店の女に手ェ出すっちゅうことは……店の商品くすねるっちゅうこっちゃでなぁ……」
「うう……すまへん……」
「なぁロビンの、中近東じゃあ店のもんに手ェつけた泥棒はどうなるか……知ってるか?」
「……」
「手ぇ切られて、二度と盗みなんざできひんようにされんねや……
 俺のアラビアン魂に火つけたな、ロビンの」
「!!」
「ティガ之進はん! 誤解どす、ロビンはんとわっちは別に」
「やかぁしゃあ! 俺の堪忍袋はもう開けゴマやねんで! それとも大阪湾でその汚ェ顔を洗って来るか、オオ!? 石釜風呂もサービスでつけたんで、アア!?」
「堪忍ぇ、堪忍ぇ!」
「プーはん、オメェもこんなチンチクリンに気に入られて災難やのう……
こんなっ!」
「ぐぅっ!」
「そこいら三流遊女すらっ!」
「ぐぇ!」
「身請けする金もねぇっ!」
「ぐふっ!」
「女衒風情によっ!」
「やめ、やめておくれやす! もう堪忍や、ティガ之進はん!」
「なんでェ……そんなにこのチンチクリンが大事かい……せや、ほなら、プーはん、アンタが俺の女になるゆうんやったら、コイツ、見逃したってもええで?」
「……」
「オラッ! どうなんやっ! はよ言わんとワイのアラビアンキックが、コイツのメッカに断食してまうで!」
「……わかりました」
「アカンッ! プーはん! アカン!」
「しやけど……」
「テメェは黙ってろ異教徒!」
「ジーザスッ!」
「そのへんにしときやす」
「あ……ピ……
 ピグレット姐さん!」
「なんや、ささくれた雌豚が何しにきたんや
 俺は今、泥棒をとっちめるのに忙しいよってな」
「ほう……してその泥棒は、どこにおりますのぇ?」
「見てわからんかい!」
「わかりまへんなぁ……わちきには、女衒をいたぶって女をモノにしようとする下衆しか、見えまへんなぁ……?」
「……ッ! この、クソババア!」


だからボツだっつってんだろ。

2009年07月12日 22:10


■クマのプーはん

コンコン コンコン

「開いとりやす」
「どうも……」
「ロビンはん……どないしはったんですか、こない夜中に」
「いやね、姐さんがね、どうも疲れてはるみたいやから言うて、甘いものでもと……」
「そんな、気を使わんでおくれやす。わっちは大丈夫……ただ少しこのごろは日差しが強うて……」
「無理してはんのとちゃいますか、プーはん」
「……」
「ワシも、あんまりプーはんのそないなところ……」
「嫌やわ、急に優しゅうしはったりして……気色悪おすわぁ」
「ワシも、こんな身やけど、責任感じてますのや……なんせ、プーはんをこないな」
「ロビンはん」
「しやけど」
「仮にも、天下の吉原……その女衒どっしゃろ」
「プーはん」
「何どす、その猫背は。しゃんとしやしゃんせ!」
「!!」
「わっちは花魁、吉原の花魁どす。
クマのプーはんと言えば、吉原で名を聞かぬ日はありんせん。
ロビンはんには感謝しとりますのぇ。わっちは……昔のあの名も無い花には……もう……」
「……」
「ロビンはん……高楼の上から眺める星は……美しゅうおすなぁ……。
けれど星からわっちを眺めたら……」
「プーはん!」
「ろ、ロビンはん?」
「ワシと、ワシと逃げましょ、吉原を離れて……ええところを知ってまんねや、静かで優しくて暖かい……そこで、ワシと、ワシと……」
「ロビンはん! 痛っ、ロビ」
「ロビィン……テメェ、何をしてんねや商品に手ェ出して、アァ!?」
「ティ、ティガ之進様!」


あーダメだダメだ。ボツ。

2009年07月11日 21:46


■愚痴公前

「本が大好き!」
「マンガが大好き!」
「雑誌が大好き!」
「俺のごんべんは俺の偏! お前のいとへんも俺の偏!」

そんな老若紳士淑女活字ャイアンの皆様にとってオアシスであり、給油所でもある書店……でもちょっとまって! ジャンプの新刊がどさっと出た日の書店員は生理のひどい時に勇者が来た魔王並に不機嫌! ちょっとのことでイラッと来ちゃう!

そんなとき、どういうお客様に書店員はイラッと来るかをこっそり教えてあげちゃう! 舌打ちリズムキープのない、気持ちいい買い物のために、レッツ! 音読!

■レジカウンターに荷物をどんと置く
レジ横に荷物置きが用意されてない場合は仕方ないけれど、用意されてるのにこういうことをしちゃうとso bad! さらに空いたスペースに肘を置いてこちらにプレッシャーを与えればこの夏イチオシの何様ファッション! 荷物をレジカウンターに置くときは一言かけると濡れちゃうかも!

■大量の書籍にブックカバーをかけろと要求する。
これは言わずもがなだね! でも大量ってどのくらいの数を指すのかわからない! って人のために目安を一つ。コミックなら七冊以上、小説なら四冊以上からイラッ値が上昇するぞ! すぐ読むものだけを指定して、こちらの負担を減らす努力を見せてくれると、濡れちゃうかも!

■レジを打ってる最中からすでにお釣りを受け取る手を出す。
意外に多いのがこれ! これだけならまだしも、さらにレジから目線を外し、早くしろよと言わんばかりに足踏みをしてたりするとso fuckin bitch! こちらがお釣りを渡すタイミングに併せて手を出してくれると濡れ、ちゃうかも!

■カバーをかけてるとき、レジカウンターを指でとんとんたたく。
しかもそういうのに限って五冊も十冊もカバーかけてくれとかもう頭沸インディングロードまっしぐらな客だったりして濡れちゃう!

■凄く取りにくい間合いにお釣りを受けとる手を出している。
なんかベルトの位置に手を出してて、え、何、早撃ちの人? 悪徳保安官と決闘? って思ってたらお釣りをもらおうとしてた! なんてことあってたまるよね! そんなのお釣りもらう間合いじゃない、セガールの間合いだよ! ホルスターが小銭入れってわけでも無い限り、なるべく達人の間合いじゃないところでお釣りはもらってくれると、濡れ、ちゃう……かも……。

■濡れちゃってる
拭いてください。

2009年07月10日 22:13


■荒野の狼

暑い。

暑い暑い暑い。冷房の無い我が家はまるで初夜の生娘のごとくもなす術なしに外の暑さをガンガンに受け入れるしか能の無いそりゃもうサセ子なんだけれども織姫と彦星が余りにも摩擦係数の高いセックスをしたせいでなんだこの気温の急激な上がりようは。

熱波は玄関から音もなくノックもせずお中元も持たずに上がりこんで俺の脳を溶かして、ほら、頭を揺れば右にちゃぷり左にちゃぷんと揺れ揺れて、なんだむずむずするからびぃぃと鼻をかめば前頭葉がティッシュにびっしり、うわー! お母さん鼻かんだら前頭葉出ちゃった前頭葉でちゃった! 静かになさい! おじいちゃんが二階でグラスの氷がとけたときの【カラン】って音を合図に早撃ちの決闘してるでしょ!

誰も理解してくれない、誰も心配してくれない、わんわん泣けば泣くほど海馬が脳幹が右脳が左脳が小脳大脳が新皮質が目からぽろぽろこぼれてこぼれて次第に「泣く」という感情を司る部分すらも涙に流れてしまい涙がぴたりと止み、冷静になった俺はこぼれた脳たちをすくいあつめて冷蔵庫でキンキンに冷やしたコップに注ぎ、ハイボールにして一気にくいいっ! うん、夏はこれに限るなー【カランッ】

【パンッ】

2009年07月09日 21:12


■話!

朝マック腹立つわー。

いや朝マックのメニューは凄い好き、昼マックのメニューよりも朝マックの方が好きってぐらいだから朝マック全然腹立たしくない、全然。ただ朝マック腹立つわー、朝のラッシュに対するシフト、その見通しの甘さ腹立つわー。

うちの近くのそのマクドナルド(以下、そのド)では、いつも五人体制で回しているらしく、その内訳は厨房に二人・レジに二人・レジと厨房の間でサイドメニューを作る心優しい巨人が一人って感じなんだけど、朝その巨人がいつもいない。

まあ多分推測するに巨人のバカが「僕が朝早く動いちゃうと、僕の上で寝ている小鳥たちが起きてしまうよぉ」とかなんとかいって朝出勤しなくて、それでもいいから来い! っつって一回来させたら肩に小鳥を乗っけたまま来ちゃって、お、意外とそのスタイル姫カワじゃない? なんつってたら鳥、すっげえ猛禽類でウワー! チキンフィレオ以外を補食されておまー! 殺せ殺せ! やめてよ小鳥たちに罪はないんだよ、うわーん! とそのとき巨人が流した涙が冷やされ固まって後のマック・フルーリーであり、水不足に悩んでいた村人は大喜びして全員糖尿病になったあげくあんまり同情されませんでしたとさ!

で、一人少ないから朝のラッシュに耐えきれてなくて凄く待たされるから腹立つって話!

2009年07月08日 23:57


■やっちゃったー!

人気ブログランキングの人から怒られたー!

人気ブログランキングってのは、ランキングへのリンクをクリックしてもらいその数の多少でサイトのランク付けがなされるっていうシステムなんだけれどもその際にやっちゃいけないことはいくつか当然あって、その中の「ビジターを欺くような文言のリンク」この「めっ!」事項におもっくそ抵触してたっぽい。

まあ「っぽい」っていうか、以前のリンクが
「はい、十八歳以上で十八禁のソフトに興味があります」
だから法にタッチどころか法をコーナーに追いつめて金的目潰しの連打、しかも前日「金的目潰しスレ」に予告済ってレベルでそりゃあ怒られるわな。

いやーおかしいと思ってはいたんだよね。なんかブログランキングに登録されてるどのブログを見ても「クリックお願いします!」だとか「応援お願いします!」とかそんな文言ばっかりで、オイオイなにヌルいこと言ってんの? クリックしないのならさせれば良いだけの話ではないか! 力こそエヴリシング! アクセスが増えればいい、それが全てだ! 我が弟ながら貴様のその甘さには反吐がでるわケンシロウ!

とか思ってたらやっちゃだめだったんだよね。そうだよね。やっちゃいけないことはやっちゃいけないよね。なんかすごくシュンとした。
あと俺一人っ子だったわ。


てことで今や普通のリンク文でおつとめさせて頂いているわけですけども、こうなってくると気になるのはブログランキングの方に載せてるサイトの紹介文。これがね、今

「スカトロ専門デリヘル嬢のブログです」

ってなってんだけど。

いや別に嘘ついてるつもりはないよ俺はいつだってスカトロ専門デリヘル嬢のつもりでいるし、スカトロ専門デリヘル嬢の肩書きに恥じない生き方をしてるつもり。でもなんつーの、もし、もしよ、向こうが

「あ、こいつ、万が一だけど、スカトロ専門のデリヘル嬢じゃないんじゃないか!?」

って思っちゃった場合俺はどうやって申し開きをすればいいんだろう。

「スカトロ専門デリヘル嬢だということを証明できるものありますか?」

とか言われても、なに、面前うんこすればいいの? 公衆のオーディエンスの前でケツから剣の舞をト短調しちゃっていいの? まあそれで証明できるんならいいけど「じゃあご両親に聞きましょうか?」ってなったらさらに面倒、いや、親はさすがに俺の味方だからかばってくれると思うの、お母さんとか涙を目に一杯溜めながら

「バカいわないでください! うちの息子はれっきとしたスカトロ専門デリヘル嬢です! かえってください!」

やっべ駄目だノールック土下座だこんなもん。あ、でも、ちゃんとデリヘル嬢の文言のあとに「兼、書店員で男性フリーター」って書いてあるし、だからあれだよ、書いてるのは書店員男性フリーターだけどアップロードの仕方がパソコン難しくてわかんないからそういうのに詳しいスカトロ専門のデリヘル嬢を呼んでやってもらってるってことでオッケーだろ? オッケーなの?

あとさ、このパソコンではまず「スカトロ専門デリヘルお嬢さん」って打たないと「嬢」の文字がでてこないんだけども「スカトロ専門デリヘルお嬢さん」って、なにそのお嬢さん。ある日森の中でくまさんに出会っても速攻ラリアットされるだろそんなお嬢さん。

でもあれなんだよな、そうしないと「スカトロ専門デリヘル上」ってなって、なんか江戸前寿司・上みたいになるんだよな。さすがにうんこの軍艦巻きはヴィジュアル上ご遠慮していただきた、あ、お食事中の人この日記見ない方がいいよ。気をつけてね!

2009年07月07日 20:48


■お返事

取っ払ってたメールフォームをしれっと戻してみたりしたけれど誰も何にも反応してくれなくてそれでもいいんだ生きているんだ繋がってるんだ友達の環が俺の左手からぐるりと地球を一周してから俺の手前で外側にずれて二周目に突入。あれ、これじゃ、俺の右手を繋いでくれるフレンズがいないしよくみりゃ左手を繋いでる友達もただの鍾乳石で指が凍死壊死寸前。

ってなってたところメールがいくつか来たので、鍾乳石に暖かい息を吹きかけてなんとか女の子の形にする作業をしなくてすみそうです。ありがとうございます。

基本的にメール、そしてコメントは必ず見ているんですけど返事をすることはありません。どうしても返事が無いと我慢できないさみしんぼうもしくは前世がソナーっていう人はメールアドレスを併記してくれるとありがたいでヤンス。あ、コメントはなんかたまに返信したりしてます。

で、返事しないって言っておいてアレですが、メールを一つ紹介。

>2006年の3月くらいより以前の記事のタイトルが数字とかアルファベットになってるんですけど、これって前からこうでしたっけ?
気になるわん!

これはミスっていうか、名残っていうか。昔は日記に分類記号をつけることで、すげえ元素記号みたい! 元素を操るインテリ系のライバル登場っぽい! 主人公の周りの大気を一瞬にして凍結させるこの技を、フリージングタナトスと名づけようぜー! なんつって心底滅却させて火もまたブリリアントな感じにしてた名残です。分類とかマジする必要がないと気づいた今は普通にタイトルをつけてます。なので気にしないでください。

2009年07月06日 22:31


■極限姉妹

「ねーお姉ちゃん」
「んー?」
「どうしよう」
「どうしよう、って言ったってねぇ」
「だってさー、この館に泊まってる十人の中に殺人犯がいるんでしょ?」
「っていう話だよね」
「どーしよー……」
「まあ、死ななきゃいいんじゃない」
「でもー、だからって館の地下に備え付けの、やたら古いゲームの筐体ばっかり置いてあるゲーセンで時間潰してる場合じゃないよう」
「あ、エイリアンvsプレデターだ。久しぶりにシェーファー使うか」
「おねえちゃんってば!」
「何よ」
「殺人犯が来たら嫌だよう、わたし、部屋戻るからね!」
「んーいいけど、理由別のにしな」
「理由?」
「その、『殺人犯が来たら嫌だから』を別の理由に言い換えてから行きな」
「え……じゃあ
 『もちごめがもちなのか米なのか白黒つけないのなら、わたし、部屋戻るからね!』
 これでいい?」
「オッケー」
「何か意味あるの?」
「ん。別に。
 ただ死なないようにしただけ」
「ふーん」

***

「ねーおねーちゃーん、いつまで巻藁に貫手かましてるのーもう寝ようよー」
「ん、待って、あと三セット」
「先寝ちゃうから、寝ちゃうからね!」
「いいよ、あ、そうだ、アンタ」
「なに?」
「たぶん、夜中におしっこ行きたくなると思うけど、一人で行っちゃ駄目だからね。必ずアタシを起こしなさい」
「え、わたし今朝ビタミン点滴しかしてないからおしっこ超臭いけどいいの?」
「アンタ、人類を飲尿するかしないかで分けるのやめなさい」
「じゃあ、なんでー?」
「いいから、死にたくないでしょ?」
「う? うん」

***

「お姉ちゃん! カミング尿意スーン! カミング尿意スーンだよ!」
「誰がラジオDJっぽく起こせっつったのよ、まあいいや」
「廊下超暗くて怖いよ! 文明が消えてるの!」
「電気ね。あんた怖いからっておしっこ漏らさないでね」
「そうだね、おしっこの臭い辿られたら、事だしね!」
「そりゃ本当に、事だわ」
「でも、二人でトイレ行って大丈夫かな? 殺人犯がいるかもしれないんだよ?」
「ん、大丈夫よ。ただもうすぐ悲鳴が聞こえ

キャアアアアアアアアアアア!

「おねおねおねおねおばあちゃん!」
「何で土壇場で言い間違えんのよ」
「悦楽によるとも恐怖によるともつかぬ断末魔。それは、この豊かな暗闇が孕み、そして堰き止めていた感情の塊が破裂する音に他ならなかった。子供が悪戯に障子を突き破ってしまうあの衝動……果たしてこの暗闇を破裂せしめたものは、それぐらい些細で有毒な観念であったように思われたよ!」
「その、動揺すると三島由紀夫節が出る癖治したほうがいいよ」
「第二の犠牲者だよ! やっぱりずっとここにいるのは危ないよ!」
「といってもねーじゃあどうやってここから出るの」
「ラペリングすればいいんじゃん?」
「『メルアド変えればいいんじゃん?』ぐらいのノリで言わないでね。どこの陸軍将校よ」
「だってー!」
「まあとにかく、明日また犯人探しがあると思うけど、そのときなるべくアリバイは疑われる感じで喋りな」
「え? 疑われちゃ駄目じゃん!」
「完璧なアリバイしゃべると、死ぬよ?」
「うー?」

***

「おねーちゃーん!」
「何」
「すっげー疑われたじゃん! あの探偵に! 『じゃあ貴方のアリバイを証明できる人はいないんですね』って二回も言われたよ!」
「そりゃ間にCM挟んでたからでしょ」
「CM?」
「なんでもない。ま、これでアタシらが死ぬことはないよ」
「でもーいずれは危なくない?」
「まあ、次の被害者が出た辺りでトリックの謎が解けるから」
「そうなの?」
「大体そのぐらいのタイミングだよ」

キャアアアアアアアアア!

「うわー!
 それは人間的でありながらも獣を想起させる嬌声であり」
「いいから、着替えなよ。帰る準備しな」

***

「……よって、凶器に使われたワンダースワンは貴方のもので、つまり貴方が犯人だ! QED!」
「ギャー! ひでぶっ!」
「でたー! 金田一、二先生のQED神拳やー!」
「事件解決やでこれホンマー!」

***

「おわったねー」
「ね」
「一時はどうなることかと思ったよー」
「まあ、大体あんな感じよ。アンタも勉強になったでしょ」
「うん、あ、そうだ、今度また旅行いこうよ!
 今日の埋め合わせ!」
「いいけど、どこ?」
「えっとねー湖のほとりにある山荘か、民間伝承のある小さな村の民宿に行きたい!」
「パスしとくわ」
「えー!」

2009年07月05日 22:07


■時を見て見ぬふりをする少女

もーなんか書店員ですからあたくし、マンガとか並べたりするんです。

毎日わんさと入ってくる漫画マンガまんが、そう「鉄道路線擬人化萌え四コマ」とか「萌え萌え暗黒神話事典」などから一年分の目眩を処方されたりしながら今日も漫画を陳列してると横からワアキャアと黄色い会話。

「絶対面白いってマジで」「えーだって汗だくじゃん!」え、一体何の本見て喋ってんのかと覗くとそこには

スラムダンク完全版。

あー。うーん。汗だく否定しちゃうかスラムダンクの。いやまあ確かに汗かいてない表紙ないけどさその漫画。でもバスケ漫画だしさ、登場人物全員が汗だくなの気にし始めたらもうなんかデオドラントスプレーの煙幕で試合がよく見えなくなって、桜木ー! どこだー! ゴリー! 俺はこっちだー! こ、これは、俺がさっき目印をつけた流川……! 俺たちは同じところをグルグル回っていたのか! まあそりゃトラベリングになるしネッ!  みたいなことになっちゃうだろうからさ、いやでもそこに目をつぶって「読んでみなって面白いよ!」そうそう、読んでみなって。

「そうだね、何かテニスの王子様みたいな絵柄だし」

え、あっれー凄い不思議な感覚。「このひよこ何か鶏に似てるよね」って言われたぐらいの矛盾感、俺ももうおっさんだからさ、買い食い気分でタイムパラドックス起こされたらちょっと二度見しちゃうわけでさ。

「これとかまんまテニプリじゃない?」

うわーとうとうテニスの王子様がリードを奪っちゃったよ。よかったじゃないすか許斐たけし先生、全然気づかないところで天城越えですよ。麓にあるスイッチ押したら空気の抜ける音がして目指した最高峰が下がってきちゃったみたいな、そんな天城越えですよ。でもね「スラムダンクの方が先だから! テニスの王子様がパクってるから!」そうそう。

「え、そうなの? これ昔の漫画なの? えーでもパクりって、うーん。
 よく見たら全然似てないよね絵柄とか。昔っぽいよねこっちの方が」

天城越えに次ぐまさかの天城避け。邪魔だから咳払いしたら天城峠の方が気を利かした、みたいな、凄いな君、あの鉄壁の天城ディフェンスをこうもたやすくかわせるって何? 若さ? 地雷源猛ダッシュしてるけど超タカシのメールヤバ面白すぎて、え、何? 地雷とかわかんなかったウィッシュ、みたいな図太さ。凄いわ。

大災害が起こったとき重要なのは冷静な判断力と、絶望しない心の強さだ、とかいうけど違う、全然違う。必要なのはスラムダンクを手玉に取る神経の太さだよ。俺も今度から白土三平の『サスケ』読んで「いつナルト出てくるの?」って言おう。絶対言おう。

2009年07月04日 22:29


■パンティは不可

「ふざけるな殺人鬼なんかと一緒にいられるか! 俺は一人でもここを出て行くぞ! せっかくかわいいパンツはいてきたのに……!」

---

「もう……ダメなのか……俺一人の力じゃ世界を救えないのか……! せっかくかわいいパンツはいてきたのに……!」

---

「おじいさん、おばあさん、せっかくかわいいパンツはいてきたのに、私は月へ帰らねばなりません」

---

「も、もう駄目だ……僕を置いて先に行ってください軍曹どの!」
「黙れ小童が! 簡単に駄目とか言うな! 俺たちは生きて帰るんだ!」
「で、でも、足を怪我して、僕は足手まといです!」
「泣くな、軟弱者!
 いいか、男が泣いていいのは、産声をあげるときと、せっかくかわいいパンツはいてきたときだけだ! わかったか!」
「サー・イエッサー!」

---

「タイムマシンで過去に戻って、せっかくかわいいパンツはいてきたのに、何で未来が荒廃した世界のままなんだ……!」

---

「ご、ごめん、待った?」
「ううん、ぜんぜん!」
「(みゆきちゃん……髪下ろすとかわいいんだ……学校じゃいつも上げてたから……)」
「どうしたの? ぼーっとして」
「あ、ううん! なんでもないよ、あ、ほら、早くいかないとダイハード4始まっちゃうよ」
「まだ大丈夫だよ、それより……」

プルルルルル!

「あ、あれ、ごめん! ちょっと、携帯が……」
「んもう……」
「何ですか!? 今日は大事な予定があるから携帯には連絡しないでって、え、なんですって、暗黒結社の軍隊が街に!?
 ぐ……どうやらそうみたいですね……俺の魔眼が共鳴し始めました……」
「ちょっとータカシくーん、どこいっちゃったのー?」
「(ごめんね、みゆきちゃん……くそ、せっかくかわいいパンツはいてきたってぇのに……!)」

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「せっかくかわいいパンツはいてきたのに石崎くんふっとばされたー!」

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「異議あり! そのパンツがかわいいというのは主観によるもので」
「せっかくかわいいパンツはいてきたけど、異議を却下します」
「くそっ! せっかくかわいいパンツはいてきたのに!」

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「次は、西荻窪、西荻窪、せっかくかわいいパンツはいてきたのに、西荻窪でございます」

2009年07月03日 22:08


■新劇場版エヴァンゲリヲン:破

また観てきた。

いやだってなんかファーストデイ? とかいって、通常なら観るのに五万両かかるところは今回だけは二おじぎだけで観れるっていうからさーいやーやっぱ二回目は違うね色々!

一回目は綾波レイとかまだちょっと緊張して噛み倒してたけど、二回目はリラックスしてるみたいだったし皆も「おう、また来たの」って感じで接してくれて、あ、アスカのおっぱい一回目より大きくなってた!

あと、一回観ただけだと解けなかった謎とか間違って解釈してた部分とか凄く見つかって逆にえ、これ、俺まだ観てないんじゃないの? 凄くヌルヌルするけどちゃんと洗剤で洗った? って感じになったわーとりあえず言えることは使徒レスラーとかいなかった。レスリングしてなかった。

やっぱり一番の見所は今回劇場版で初登場のキャラ『真希波・マリ・イラストリアス』だね。

初登場でいきなり作りかけのチーズケーキを食べてるところを使徒ママに見つかって「こら! 次やったら使徒パパに言いつけますからね!」っていわれたので今度は「じゃあ作りたてならいいのね!」っつって造幣局に忍び込んでは作りたての万札犬食いしてたからさあ大変! 使徒ママ大激怒!

「女の子が四つん這いで万札なんて食べるもんじゃありません!
 ちゃんとスタンダップ! しかるのちパクつきなさい!」
「やーだよっ! 悔しかったらここまでおいで!」

四つん這いで逃げるマリを追いかける使徒ママ、そこにスイカを盗みに来たシンジくんがどっ★しーん! ラブ激突!
「あいててて! あ、ご、ごめんなさい!」
「いてて……ちょっと! あんたアタシの小陰唇みたでしょ!」
「みみみみてないよ!」
「もうやだエッチバカヘンタイ!」
今日の日はさようならをBGMにマリのエルボーがシンジくんのアゴを襲う! 「危ないシンジくん!」間一髪! さらなる新キャラ・渚カヲルくんのエルボーが、マリの肘より先にクリティカルヒット!
「シンジくん、今度こそ僕が君のアゴを鍛えてあげるよ」

果たしてシンジくんは、獣神サンダーライガーに勝てるのか? 
いやーあと五回は観ないとダメだねコリャ!

2009年07月02日 21:42


■見た目は子供! 貴様はクビだ!

マウンテンデュー。

英語で書くならMountain Dew。そういう名のジュースが存在する。

緑と薄緑と深緑がふんだんに使われたラベルデザインはそれを作るために何人のミドレンジャーがミキサーにかけられたか分からないほどにグリングリンしており、一度封を開け中身をグラスに注ぐと零れ落ちるのは突き抜けるような緑の液体。

これ以上の添加物を追加することは神だってチャック・ノリスだって不可能って意味では無添加と言えるほどのヘルシー飲料、これが死ぬほど美味い。まあ添加物多すぎて一口飲むたび実際に四半世紀ほど寿命が縮んでてもおかしくはないんだけども。

その軽やかな甘味とさわやかな酸味、さらに喉を通り抜けるときに少しだけ主張する炭酸が他の清涼飲料水を完全に圧倒している。コーラが清涼飲料水の王様だとするならばマウンテンデューは清涼飲料水の王様+1、コーラが清涼飲料水の頂点だとするならマウンテンデューは清涼飲料水の頂点+1だ。

しかしながら腹立たしいことに、あのペプシが

「ペプシ……シか……シ、シ、シソ味!」
「じゃ、次のペプシはシソ味で決定ですね社長!」

とかやって遊んでる世の中にデューは売られている自販機が少ないばかりかペットボトル版が存在しないしコンビニにも売られていない、何故だ、バカか、バカなのか現世は!?

ペプシのシソ味別名『ドリンクバーで遊ばないでくださいお客様』を開発する金があるのにデューをペットボトルで販売しない、そんなことが許されてたまるか。マウンテンデューならペットどころか一斗ボトルで販売されていてもウェルカムなのに、お陰で俺の中毒症状は加速するばかりで、ああ、浴びるほどにマウンテンデューを飲みたい!
四六時中飲みたい!
オシャレなバーでバーテンオススメのカクテルを頼んでおいてそれをデューで割りたい!
羊水をデューにして産まれなおしたい!

そのアマゾンに生息する毒ガエルみたいなパッケージを敬遠して中々買わない人が多いがマウンテンデューは人類最高峰の飲み物といって過言ではない。そう、結局俺は今回の日記でマウンテンデューが好きって言いたかっただけなの、そのためだけに何百文字も打ってるの、え、マジで、ちょっとまってね。

あ、うん、そうみたいです。

2009年07月01日 21:22


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