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■チェル野ep10

「テニスの放射能」

(ふー、何とか授業には間に合った……)
「今日の一限目なんだっけ?」
「確か数学よ」
「マジで! 宿題やってないよぅ!」
「もうブイ美ったら底なしのマヌケね! 大丈夫、また返り討ちにしてやるんだから!」
「もう人間(ひと)みったらレッカー馬鹿一代ね!」
「あ、先生来たわよ!」

「えー……皆さんいますね」
「(あれ? 何かおかしい……)」
「それじゃ、えー、それじゃね、授業を」
「(間違いない! この人!)」
「ちょ、ちょっとまって」
「おや、君は……チェル野さん、どうかしましたか?」
「先生、いや、あなた、あなた誰ですか?」
「ちょっとブイ美! 何素っ頓'n狂なこと言ってんのよ! どうみたって数学の溝口じゃん!」
「いいえ、違うわ、あの目の青アザを見て」
「見てって、いつもの青アザじゃない」
「あの青アザはドMの先生がいつも家を出るとき奥さんにエルボー喰らってるからよ、そして先生の奥さんは右利き……」
「ってことは!」
「そう! アザは左目にできていないといけない! でも先生のアザ、今日は右にあるの!」
「本当だわ! え、てことは?」
「まったく理解力のないオーディエンスね! 先生、いや、謎の怪人! 正体を現しなさい!」
「ほほほほほ! さすがブイ美! 私が見込んだだけのことはあるわね」
「その声は!」
びりびりびりびり!
「部長!!」
「お久しぶりね、ブイ美さん」
「え、部長が、なんで、え、じゃあ、先生はどこに!?」
「溝口先生にはあそこでちょっと眠ってもらってるわ」
「あそこ? あ、すごい! 流れる滝が作る大量の水しぶきが太陽の光を浴びて、無数の虹を作り出している!」
「そう、水と光の織り成すオーケストラってところね」
「素敵……はっ! いや、部長、そうじゃなくて先生は!?」
「あそこよ」
「あれは! 雪の重みで垂れ下がった樹の枝たちが、そのままの形で樹氷となって自然のアーチを作り出している!」
「温暖化などしなければ、私たちはあのアーチで歓迎されているはずなのよ」
「何て神秘的な……、はぅ! じゃなくて先生は!」
「あそこを見て」
「なんてこと! 厳冬期に岩肌から滴る一滴一滴が、地面に落ちた瞬間に凍りつき、まるで氷柱が下から伸びているみたい!」
「氷筍、と呼ばれるものよ。自然は我々の理解を超えているわね」
「夢みたいな光景……じゃなくて、先生は!?」
「拉致されたわ」
「ええええ!?」
「そう、拉致したのは憎き銀河私立二層式高校テニス部!」
「にそテニが!?」
「そう、そして我々は先生を取戻すために、練習試合を申し込んだわ!」
「練習試合!」
「そしてその試合のシングルス1、あなたにやってもらおうと思って」
「ええええーー!!」

つづく。

2007年01月27日 21:58


■チェル野ブイ美ep09

「テニスの放射能」

ホロコースト! あたし、チェル野ブイ美! 今年の春から東京都立帝政ペプシヶ丘高等学校に通うことになった、ピッチピッチの十七、八歳よ! こないだは憧れのペプ高テニス部の体験入学をさせてもらったんだけど、ひょんなことから先輩と試合することになっちゃってひょんなことから勝っちゃった! 人生ひょんよね!

「あーあーどっかのDVDに素敵な殿方でも焼かれてないかなー」
「おっはよ! ブイ美!」
「あ、人間(ひと)み、おはよー」
「どうしたの? 朝からため息なんかついてると、あのメテオ曇り空割ってぶつかっちゃうぞ?」
「ううん、何でもないの、ただなんか憧れのテニス部に入れたのに」
「あ! ブイ美、ほら、もうこんな時間! 学校遅れちゃう!」
「どうせまた東部標準時に時計合わせてるんでしょ、急がなくたって」
「違うわよ! こないだちゃんとJSTに合わせて来たんだから! ほら、急いで急いで!」
「あ、ちょっと、待ってよ人間みー! もう追い抜いてるけど!」
「あ、こら、先に行くなんて酷いぞブイ美! 今追い抜いたけど!」

「貴様ら入学早々遅刻とはいい度胸だな!」
「「す、すいませぇーん!」」
「しかも校則違反まで犯しおって」
「で、でも、ブイ美はちゃんと自転車通学の許可を!」
「そいつの許可は下りてるが、お前のレッカー車は許可降りてないぞ!」
「す、すいませぇぇん!」
「しかもチャリに牽引されてるって、どういうことだ! 普通逆だろ! その他にもミニ四駆を違法改造したり……」
「(ね、ブイ美、逃げちゃおうよ)」
「(え? ヤバいよ。体育のアゴ田坊はしつこいって有名だよ)」
「(大丈夫★ あたしにいい考えがあるの!)」
「肉抜きしたシャーシを裏から針金で補強するなど規定外のパーツを、聞いてるのか!」
「すいません先生! あたしこれで!」
「まて! まだプロローグだ、ぐわあああああ!」
「早く逃げてブイ美!」
「貴様、教師を牽引してただで済むと、ぐわああああ!」
「ごめんね人間み! 恩の重ね着するわ!」
「シャツ恩ジャケットね! 今年の春は来るわよ!」
「ぐわあああああ!」

2007年01月27日 21:15


■すげえ爆笑

図書館。

実に何年ぶりだろうか、図書館にわざわざ出向くなんてことは本当に久しぶりのことだった。大学にも当然ながら図書館はあって、そこには何度も何度も出入りしているのだけれどもいわゆる市立図書館とか中央図書館とかそういうところに行くのは五年ぶりぐらいの気もする。学校の図書館などはもう慣れに慣れたので借りたい本があったら面倒な手続きも踏まずに

「よっ! じゃあこの本借りてっから!」
「ちょっと、三村くん!? また無断で本を、困ります!」
「へへっ! 固いこと言うなって、よっ!」
「きゃっ! スケベっ!」
「言ってることは固くても、おケツはやーらかいんだな!」
「もー! 待ちなさーい!」
「待ちなさいって言われて待つ泥棒がいますかって……」(←泥棒という自覚はあるのである)

どっしりーん!!

「いってー! おい、どこ見て!」
「コラ三村! また本を勝手に持ち出してー!」
「お、幼馴染の由美子! 何でここに!」
「問答無用ォー!」
「あ、由美子さん、三村くんを捕まえてー!」
「言われなくても、観念しなさい!」
「よっほっ、暴っ力っ反っ対」
「この……すばしっこい!」
「私も手伝うわ!」
「あ、先生、急に前に出てきちゃ」
「わっとと!」

どっしーん! むにゅう!

「いたたたた……」
「はれれ、これは男子憧れのマシュマロ……絶景かな!」(←うらやましいやつめ!)
「「もー怒った!! 許さない!」」
「あーれー!」

まあ、大体こんな感じで借りれるんだけど中央図書館はそうはいかなくて、あれ、何だろこんなこと書こうと思ってなかったんだけどな。

2007年01月27日 17:58


■アイドル審査員の的確な舌

テスト期間。

いわゆるテスト期間に突入したのだけれども、突入するときの角度が悪かったのかはたまたテスト層のあまりの厚さによってなのか、突入する際の摩擦熱が思ったよりすさまじく、電磁コーティングされたプレートの上に小麦粉をはたいて耐熱効果を高めたスペースシャトルの船体が狐色にこんがりと色づいてしまった。

あとはあんかけをかければ「中華風シャトル揚げのとろりあんかけ仕立て」の完成ではあるんだが、こんなものを提出したところで単位がもらえるかというと、その確率は五分/五分/八分でもらえる/もらえない/しかしその料理には決定的な欠点があるぜ! に分かれてしまうだろう。

そんな博打を打っても結果は知れている。僕はギャンブルの才能がないのだ。では実力で、完全なる自力でもってこのテスト期間を乗り切らねばならない。或る意味で当然の、そして限りなくシンプルな結論に至ってしまった。どうしよう、じゃあ勉強しなきゃいけないじゃないか。そうだ勉強しなきゃいけないんだ。鉛筆一本でテストに挑むんだ。さあその鉛筆で、お前の作った唐揚げを刺してみろ!

「これは! あんかけのせいで、唐揚げのカリカリ感が失われてしまっている!?」

そうだ、それがお前の料理の、決定的な欠点だ!

2007年01月20日 22:02


■麻薬を稲荷寿司にして運ぶ板前

いなり寿司が好きだ。

寿司であるにも関わらずその聖母マリア様の如く慈悲深いお値段と、さらにその深く暖かい聖母マリア様のように甘い味わい、そして儚げな丸みを帯び金色に輝くその姿は聖母マリア様のキンタマに酷似しているのではないか? と砂浜に勘亭流で書いていたら波が空気読んで大海嘯。僕はいなり寿司への想いと共に海の藻屑となったわけだけども、それでもやっぱりいなり寿司が好きだ。

しかしいなり寿司は、一体どこまでがいなり寿司なのだろうか。

あのゴマ混じりのシャリがいなり寿司なのか、それともあのコーティングされている金色の衣服がいなり寿司なのか。おそらくそんなことを恋人に聞いたら「馬鹿ね、それが二つ、渾然一体となって初めていなり寿司じゃない」なんて言われながら真赤なルージュで書初めの添削をされてしまうだろう、でも、これは大事な問題なのだ。

どちらがよりいなり寿司の本体に近いのか、ということだ。もし僕がいなり寿司と結婚したら、生まれてくる子供はゴマ混じりの赤ちゃんなのか甘辛く煮込んだ油揚げに包まれたベイビーなのかによって、夫である僕のリアクションはかなり異なる。事前に知っておかないと、看護婦さんも困ってしまうだろう。「元気ないなり、いや男の子、いなり寿司の男の子? 男の子のいなり寿司? どっち? どっちなの!? これも医療ミスとしてカウントされてしまうの!?」

医療現場は混乱に巻き込まれてしまうだろう。あるいはお稲荷さまの祟りと吹聴するものさえ表れ、医学の権威が失墜する恐れもあるのだ。神仏などではない、現実の技術として発達してきた医学が、ただ単にお稲荷様などという油揚げの好きな狐によっていなり寿司の祟りが起ったなどとああもう油揚げが好きなお稲荷様ってもう答え出ちゃったじゃんかもー!

2007年01月20日 22:01


■灯台糞びたし

「みーつけた!」

隆志くんが僕の肩を叩く、僕は見つかってしまったのだ。隆志くんはかくれんぼが強い。強いなんてもんじゃない、超強い。超強いっていうか、超ヤバい。だから僕はいつも隆志くんとかくれんぼするのが超キツいけれど、隆志くんはかくれんぼしようっていうから、僕は仕方なくする。僕もかくれんぼは好きだから。

「みつかっちゃったかー」

悔しそうに首を傾けてみる。でも僕は悔しくはない。なぜなら隆志くんはかくれんぼが超強い。超強いっていうかマジ畏怖い。隆志くんは卒業文集で「大きくなったら世界で一番のステルス機になりたい」と書いていた。隆志くんなら出来ると思う。僕はそう思う。

「じゃあ次、よしおが鬼な!」

僕が鬼になった。僕は自慢じゃないけれど、普段はかなり鬼だ。借りたスーパーボールを舗装されてない道路に叩きつけるし同じ女を二度抱いたりもしないしクラウチングスタートでウォータースライダーに乗る。こないだなんかパソコンでワードとエクセルと花子をフル稼働させながらDVDを焼いた。しかも最大速度で。僕は相当の鬼だ。あらゆるものの鬼だ。雨とか全部避ける。けどかくれんぼだけはやっぱりかなわない。

「じゃあ数えるよー」

隆志くんはホントすごい。ホントすごいっていうか、超強い。超強いっていうか、革命っぽい。レボってる。

「いーち」

隆志くんにはかなわない。かくれんぼに関して、隆志くんより強い人がいたらそれはもうほとんど仏だ。いや隆志くんもちょっと仏の領域に足を踏み込んでいる。蓮の花をこじ開けようとしているのが見える。かくれんぼの仏がいたら、たぶんいずれ隆志くんに取って代わられるだろう。それこそ革命、レボであり、隆志くんはやってのけてそして新たな仏になるつまり仏々交換が行われて

「にーい」

けどもし隆志くんから、かくれんぼを取ってしまったら、どうなるだろう?

「さーん」

考えたくないけど、もしそんなことが起ったら。世界は色んなものを諦めちゃうんだろう。地球は回るのをやめて、人は呼吸するのをやめて、宇宙は広がるのをやめてしまうのだ。だって隆志くんがかくれんぼ下手になるんだから。かくれんぼのために生まれてきた隆志くんが、かくれんぼ下手だったら。じゃあもう存在なんてものの存在が、存在しないことになってしまうんだ。そういえばクレヨンを隆志くんに貸したままだ。後で返してもらおう。返してクレヨン、って言え、とか言われたら、もしそんな事態になったら、法的措置も辞さない覚悟で……

「よしお! 何やってるの!」
「え、マ、ママ! か、かくれんぼだよ!」
「誰と?」
「隆志くん」
「隆志くん? 馬鹿言わないで、隆志くんは、あなた」
「え?」
「帰るわよ、早く。隆志くんもそう思ってるわ」
「嘘だい! 隆志くんが帰って欲しいとか思ってるわけ」
「いいから早く帰るわよ! ほら、よしお!」
「イヤだいイヤだい! 隆志くんを見つけるまでは!」
「踏んでる」
「え?」
「あんた踏んでるのよずっと! 隆志くんを!」
「え、あ! 隆志くん!」
「よお!」

2007年01月13日 16:25


■けど童貞

「ねえ、もう、終わりにしましょ」
「……」
「わかってるわ、でももう限界よ」
「……おま」
「いいの、あたしは大丈夫。あなたも、きっと、ううん、絶対あたしがいない方がいいの」
「おま」
「やめて! 今さら……やめて。あたしの心を、揺らすのはやめて」
「おまん」
「やめてったら! いつも貴方はそう!」
「おまん」
「いや! 聞きたく、ない……もう、行くわ……」
「おち」
「え?」
「おちん」
「駄目よ、それ以上は言わないで」
「おまん」
「言わないで! もうあたし駄目なの!」
「おちんち」
「イヤ! イヤよ! もう決めたの! あたしにはあたしの人生があるって! あなたのことは好きよ、今もそう、好きよ、でもね!」
「おまん」
「聞きたくないそんな言葉! これ以上はもう、駄目なの!」
「おまーん」
「もう行くわ……ありがとう


さよならっ」


バタンッ!


「おまん」

2007年01月13日 16:25


■ペースボーイアドバンス

「……ですから心臓に負担がかかってまして、このままだとまた同じように急に倒れてしまうことはあるかもしれないんです」
「え、そんな、先生それは困ります。どうすれば……」
「そうですね。ペースメーカー、入れますか」
「え」
「ペースメーカー、心臓に」
「いや、それはちょっと、いろいろ不安もありますし」
「いや大丈夫ですよ、最近では技術も発達してますし」
「でも……」
「言うより実際見てもらった方が早いかな」
「見る?」
「ええ、これカタログなんですけど」
「カタログ?」
「夏に新しい機種が出まして」
「機種!?」
「ええ、コレなんかどうですか? ビデオカメラ付きペースメーカー」
「カメラなんかついてるんですか? どうやって録画するんです?」
「見るだけでいいですよ、脳と連動してますから、見るだけで録画されます」
「え、でもどうやって録画したのを見るんですか?」
「ま、それは取り出さないと」
「取り出したら死ぬじゃないですか!」
「だからまあ、お孫さんなんかが『おじいちゃん女のケツばっか見てたんだー!』みたいなことをね」
「死んでる死んでる! 俺死んでますよ先生!」
「じゃあ、これどうですか、カメラ付きペースメーカー」
「いや、だから」
「瞬きする度にシャッターが押されますから、便利ですよ」
「どうせ取り出すとき死ぬんでしょ?」
「まあですから、お孫さんなんかが『おじいちゃんのフィルム女のケツばっかりー!』みたいな」
「俺どんだけケツばっか見てるんですか。普通のペースメーカーないんですか?」
「普通って、そしたらメールと携帯しか出来ないですよ」
「メールとかできるんですか!?」
「ええ、着メロも選べますよ」
「着メロって、どっから鳴るんですか」
「口からですね」
「口から?」
「はい、メールが来ると自動的に歌いだしますから」
「俺が!?」
「そうですね」
「嫌ですよ恥ずかしい! 何で街中で急に歌わないといけないんですか」
「着メロは嫌ですか?」
「嫌ですよそんなもん、だから普通のやつに」
「マナーモードにもできますよ」
「あ、音鳴らないようにできるんですか?」
「ええ」
「あ、なら別に」
「死ぬけど」
「そこは動けよ! 何で鼓動までマナーモードにしちゃうんだよ!」
「メールが来たらちょっと動きます」
「人生をバイブ機能に委ねたくないよ」
「じゃあ我慢して着メロ歌わないと」
「だからイヤだって」
「ファナティック・クライシス歌わないと」
「何で限定されてんだ。そこは選ばせてくれせめて」
「あ、じゃあこれだ、音声入力対応のペースメーカー」
「喋るだけでメールが送れるやつですか?」
「ええ、でもちょっと電波が弱いんで送りたい人の半径20センチ以内に」
「近えーよ! 半径20cmなんてもうキスの間合いじゃねえか! キスするわむしろ!」
「ワガママだなあんたはもう、じゃあこれ、ペースボーイ!」
「ペースボーイ!?」
「そう、小さく軽くなって持ち運びが可能!」
「今までのは持ち運び出来なかったのかよ!」
「通信対戦も可能!」
「しねーよ!」
「単三電池四本必要!」
「ゲームボーイじゃねえか! しかも昔の!」
「あーもうじゃあこれ! ペースメーカーshuffle!」
「歌いたくねえっつってんだろうがー!」
「もういい加減にしてください!」
「こっちのセリフだよそれは!」
「なんでもかんでも嫌々言っていては、何も始まらないでしょ!」
「いやそうだけど、変なペースメーカーばっかりじゃんかよ」
「少し自由にならなくても、そこは我慢してくださいよ」
「いや、だから」
「さっきからそうやって冷めた目で笑いかけてる魂を侵された奴、涙を流す痛みはあるのかい?」
「え、は?」
「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ、ピッ

あ、もしもし」
「着メロかよ」

2007年01月13日 13:00


■AM0830i

携帯の機種を変えた。

携帯なんてものは電話とメールと街頭アンケートをかわす口実になればいいと思っている僕は機種変するスパンが極端に長い。放っておけば壊れない限りずっと使い続けるという意味ではバクテリアにも劣る好奇心と言えるだろうけど、物持ちがいいといえばあっという間に抱かれたい物持ちのいい男ランキングの二位にランクイン! ちなみに一位は挟まったニラを集めて餃子を作る玉木宏。

というわけで以前使ってた携帯が充電しても全くバッテリー残量が増えないくせに、一度充電器から離して十分ほど充電するとすぐMAXまで充電される二度電を覚えてしまったのでやむなく機種を変えることにした。変えた携帯はとにかく薄い。以前のものの半分の薄さのくせに妙にボタンが多い。さらに赤外線通信だとかbluetooth通信だとか3Gだとか色々できるくせにアンテナが無い。アンテナがないのにどこから電波を受信するんだ、ははーん、お前さては今月分の電波使い込んだな。お母さんが持たしてくれたお電波ちょろまかしやがって! 出しやがれこの野郎! と、拳でこづくと何もしてないのに携帯がぱかりと空く。携帯の側面にあるボタンを押すと、ワンタッチで開閉が可能なのだ。

何もかもが自分の理解を超えている、きっと黒船を初めて見た人はこんな気分だったのだろうなと新携帯を愛でていた僕だが、現在この携帯に致命的な欠陥があることに気づいた。

アラームが弱いのだ。

以前の携帯は頼んでもないのに耳に鉛流し込まれたコブクロの巨体みたいな音量でアラームを鳴らしてくれるばかりでなく、何故だかバイブ機能まで作動するといったオーバーサービスを見せ付けてくれた。そのお陰で起きれなかったことはない。スヌーズ機能ももちろん搭載しており、何度これに遅刻を助けられたかわからない。しかし今の携帯は、音が進歩しすぎてアラームがうるさくないのだ。むしろ心地よい音量で心地よいメロディーをならし僕は口からアルファ波を垂らし鼻からはアルファちょうちんを出し夢の中へ帰省する。

弱い、とにかく弱い。アラームなんてのは人の機嫌を伺う必要はないのだ。時間が来たらアラームとバイブで武装され一個の鉄器と化した携帯が勝手に開き僕の鼻を摘んでそのまま起床orDieのサブミッションに持ち込んでくれるぐらいがちょうどいいのに、何がお前パッヘルベルのカノンなんかをオシャレにならしおってからに、起こす気があるのかと問いたい。電話して問いたい。携帯が人間に遠慮する時代などは終わったのだ、たとえアンテナを奪われても、心のアンテナは折れぬ! 拳をふりかざし! 蹄をかきならし! 心をたかぶらせ勝利の歌を吠えて! 吠えて! 吠えて! そして僕を起こして。八時半ね。

2007年01月06日 23:15


■ボイジャーにオムライスを入れてスプーンを入れない。

書くことが無い。

書くことが無い、なんて書くのは実に久しぶりではあるのだけれども、この頃は何の刺激も無い生活を送っていたせいだか日記に書けるような出来事が一切身に降りかかっていない。要するにネタが無い状態である。いつもはネタが無いネタが無いなんていいながらも実は! と戸棚を開ければ柿ピーのひとピーやふたピー入っていたものだが、現在そこにはフライパンが横たわるのみ。

でもやっぱそんなこといっても実はこんなとこにネタが! 食器棚の上に視線を巡らせても累々と並んだ調味料が緊張した面持ちで並んでいるだけ。どの調味料も僕とは目を合わせないように伏目がち、中には鉛筆で十字を作ってその先を僕に向けることで当てられないよう願をかけている者もいる。そんなジンクス、なんの効果もないんだよ竹田! おい竹田、お前だよお前、寝てるフリしたって駄目だぞ竹田。竹田、何かいいネタはないか「ないです」ああ? 聞こえないな竹田「ないです。」てめえ油のくせにそんな生意気な口聞いていいと思ってんのかよ、お前、キャップ外された写真ばら撒かれたくなかったら

もう油と会話するのも飽きたし、何よりネタにもならなさそうなので冷蔵庫に矛先を変える。冷蔵庫、なんていったって冷蔵庫なんだから食べ残しのネタが一つや二つあるはずだと開けた先は広大な地平線。そこに転がる卵とハム。卵という存在と、ハムという存在。

いやしかしそれさえも実はちょっといじればネタになるんじゃないのかな! なんつってフライパンに油をひいてハムを炒めて飯を突っ込んでケチャップをどばりどばりと突っ込んでかき混ぜながらやっぱりネタにもならない、と思わせて油断してる卵を割ってみせる! さあどうだ! 晴天の霹靂だろ卵にとっては! でもそれで終わりじゃねえぞ、かき混ぜてやるのだ。かき混ぜた上にフライパンの上にじゅわりと広げてその上に飯を乗せれば、スゴイ可能性を秘めたネタに! なるかと思いきやただのオムライス。とかいって実はそのオムライスの具がすんげー面白いことなってたりしちゃったりしちゃったりして!

ケチャップで和えられた飯とハム。

2007年01月06日 23:14


■明智ing

明けましておめでとうございます。

まあ毎年毎年何が一体めでたいのかというとそれはもう全く持って明白で、正月こそは一年の始まり、それがもうそれだけでめだたいことなのでございます。一年の計は元旦にあり、と昔から申しますように、つまりはスタートが最も肝要なればこそそのスタートに「めでたい」と言ってしまう事で、あら不思議、この一年が充実したものになるかのように錯覚するわけです。

そう、何事も始まりが大事。けれどそういうことをわかっていない、それどころか「え、雑煮って味噌汁にモチ入れたもんじゃないの?」などと平気でのたまう雑ギャルどもはゴールこそ大事と言い張る。やつらは駅伝に出たとしてもスタートしたときは無表情で着うたダウンロードに勤しんでおるくせに、ゴールのときは諸手をあげて万歳万歳とやかましい。何故だ! スタートが大事ということならばもう、よーいドンの合図と同時に花火が上がりクラッカーが鳴り雲が晴れ石油が沸きカモがネギとWii背負ってやってくる、まるで盆と正月が信長の首を持ってきたような大騒ぎがあって然るべきなのだ。

しかし相変わらずそれを学ぼうとしない。終わりよければ全て良しではないのだ。良いスタートを切ったんだからその後も良いに決まってるじゃんか、といった逆ギレのご挨拶として「明けましておめでとうございます」なのだ。それなのに奴らはそれさえも無視して「あけおめ!」「あけおめ!」その意味するところは要するに「明智光秀がおめぇの首狙ってるぜ?」ということなのだろうが、余はすでにそんなことぐらい知っておる! 余を誰じゃと思うておる、天下の覇者・織田信長なるぞ! しかし遠慮は無用じゃ、せっかくの正月、騒がないでは運気も逃げてしまうというもの! さあ皆の者酒を持て肴を食らって正月が逃げ帰るぐらいの大騒ぎじゃ! ハハハハハ! まるで盆と正月が一緒に来たような騒ぎじゃのう!

ざくり。

2007年01月06日 04:33


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